発達障害の友人にどう接するべきか

Twitterで「子どもが発達特性のありそうなクラスメイトに悩まされている、どうすればいいか?」というご質問をいただきました。

推測するにおそらくお子さんは小学生か、大きくても中学生くらいなのかなという印象を持ちました。

ご事情を伺うと、どうやらお子さんと友人Aが話していると、発達傾向がある友人Bがいつも会話に割って入ってくるとのこと。しかも会話に混じるわけでなく自分の話をするわけでもなく、声をかけて割って入ってきてもゴニョゴニョ……。

ただただ友人Aとの会話を邪魔されてばかりで、こういうことを繰り返されるうちに相談者のお子さんはストレスを蓄積し、悩むに悩んでお母さんに相談した──という流れなのだと思います。

ASD特性は、一人の人間に執着する傾向が確かにあると思います。彼らはそう簡単に人に気を許しませんが、一度気を許した相手には絶大な信頼と好意を寄せて「好き好き好き」というモードに入ります。もちろん人によってあるいは特性の程度によって事情は変わりますが、象徴的な特性の一つと言ってよさそうです。

まずはこの問題に対する私なりの考えをお話ししてから、最後に同様の案件で私が過去に実際にとった行動をいくつかお伝えします。

問題の本質を見極める

お子さんが発達特性の友人に悩まされている。

一見するとこれは発達障害のトピックのようですが、私の見方は違います。これは「人生」という大局的なトピックです。

もし私がカサンドラとして助言を与えるなら「離れなさい」というでしょう。しかし親が子に対して「離れなさい」と助言を与えるのは、私は適切でないと考えます。あるいは「その子を気にかけてあげて仲良くしてあげなさい」でも「はっきり拒絶しなさい」などに言い換えてもいいですが、要するにお子さんが友人Bに対してどう決断するか、親はその苦悩と選択、決断の機会を奪ってはいけないと私は考えるのです。

苦悩は人生に必ず伴います。苦悩との上手な向き合い方は、苦悩して失敗して後悔して反省してを繰り返さなければ身に着きません。

自分の子どもが悩んでいるとき、具体的な解決方法をアドバイスしてあげたいお気持ちはよくわかりますし胸が痛むのもよくわかります。ですがそこは子どもを一つの人格と尊重し、可愛い子には旅をさせろではありませんが、お子さんが人間として成長する様子を温かく見守ってあげる──というのも選択の一つだとお留め置きいただきたいと思いました。

親はただいつでも話を聞いてあげて、理解してあげて、「いつでもあなたの味方だよ」というスタンスを見せてあげるのがいいのかなと思います。

私の体験による実例

実は私も過去に、特性のある子に執着された経験があります。実例として二つのケースをあげますので、参考になれば幸いです。

【実例その1】ASD傾向のあるA君のケース

中学生のころ、私はASD傾向のあるA君と同級生でした。私は活発なタイプ、A君はどちらかというと孤立したタイプです。A君はどうやら恋で悩んでいたらしく、勇気を出して私にそのことを相談してきました。

私は相談に乗り、彼の告白を実現できるよう協力もしました。結果的には振られてしまいましたが、それからというものA君は私に絶大な信頼を寄せ、ことあるごとに私に絡んできたのです。

ところが私は変な奴が大好きなものですから、彼のことをいろいろと知りたいと思いたくさんの会話を重ねました。結果、A君とは親友になり今でも家族同様、私の大切な友人です。

このケースは、私が相手に対し寛容であったことが功を成しています。「うざい、しつこい」と一蹴することもできたと思います。相手の特性や個性をどう受け止めるかで、その後の関係性が二極的に大きく変わる一例かと思います。

ちなみに下記のスレッドはこの友人のエピソードです。

【実例その2】女王様とその取り巻きのケース

高校生のころ、別の高校の女子生徒に告白されました。この女子生徒Aさんはおそらく自閉症と診断された子だったのだと思います。周囲の子たちも「あの子は自閉症だから私たちがちゃんと協力してあげないと」というムードでした。

取り巻きの様子はAさんにとても献身的かつ福祉的でしたが、私の目には友人というよりもむしろAさんの家来のように映ったのを覚えています。このAさんも普段からちやほやされているせいか、どうも女王様気取りで厄介。そんなAさんに執着されたというお話です。

告白といっても本人が直接言ってくるわけでなく、取り巻きがその子の気持ちを代弁して伝えてきたという形。私はやんわりと断りましたが、それからことあるごとに、その子と取り巻きが一丸となって私にアプローチしてきました。

やがて私は、たまたまAさんと同じ学校の女の子と交際を始めました。そうしたら始まった始まった、Aさんや取り巻きたちの彼女への嫌がらせやいじめが。

これじゃいかんということで、私はAさんとその一味を指定の場所へ呼び出して、きっぱりと「迷惑だから金輪際かかわるな。もしこれ以上自分の彼女を悩ませるようならただではおかない」と伝えました。この件はこれにて一件落着です。

これは先の私の親友の例と違い、拒絶したパターンです。

私は怒っていましたが、自分の意思を感情的に伝えたわけではありません。ただし厳しい言葉は使いました。おそらくAさんは私のきつい言葉に傷ついたことでしょう。要するに「イヤなことはイヤとはっきり伝えれば伝わる」ということだと思います。

どちらも極論的で恐縮ですが、何かのお役に立てば幸いです。

結局どうすればいい?

さて、話を戻します。

これらを踏まえ冒頭の相談者のケースでは、実際にどういう対応が理想的でしょう。これはあくまで私の考えですが、もし私が自分の子から同じように質問されたら、以下の三つを教えてあげたいと思いました。

・人は誰にでも長所と短所がある。長所を見てごらん。
・気持ちは言葉にすればちゃんと伝わる。自己表現を恐れないで。
・君には拒絶する権利がある。その代わりトラブルを甘受する覚悟は必要。

お子さんに必要なのは親からのアドバイスや慰めの言葉ではなく、「自分にはどういう選択肢があるのか」を理解することだと私は思います。選択肢とそれに伴うメリットとデメリットはちゃんと教えてあげて、あとの判断は本人に委ねるのがいいでしょう。

もしかするとこの一件からお子さんがBさんを過度に非難してしまったり、あるいは周囲を巻き込んでトラブルを起こしてしまったりするかもしれません。ですがそれは仕方のないこと。起こるべくして起こったものだと現実を受け止めるしかありません。悲観することはないのです。失敗してはじめて学ぶものが人生にはたくさんありますから。

どうしようもなくなったときに手を差し伸べ責任をとってあげるのが親の役目であり、教育の本質なのだと私は思います。

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