【コラムvol.4】口腔機能にも”経験”は必要
幼い頃に「よく噛みましょう」と言われたことがあると思いますか?
「よく噛む」とはどういうことでしょうか。
「よく噛むこと」は、硬いものを噛むことと思っている方も少なくないと思います。
しかし、現代の「よく噛む」とは準備運動をしないでいきなりダッシュするようなものです。準備運動をしないでダッシュをすると・・・怪我をする可能性があることは予測がつきます。>>現代の「よく噛む」については後に触れます。
よく噛むとはどのようなことでしょうか?
柔らかいものでも
回数をかけて
食感を楽しみながら
丁寧に
左右前方満遍なく
ここまで意識しなければならないの??と思われますが、
実は、 食質の変化により、知らず知らずのうちに身の回りにはあまり噛む必要のないものが増えています。無意識に生活してると気がつくと歯応え、歯触りを意識した食品は少ないのではないでしょうか?
現代の「よく噛む」について
あえて現代と付け加えた理由には、現代人に多いあごの動きが 奥歯の特定のところ (得意な噛みやすいところ)を使った噛み方の特徴があること、さらにその背景には、食質の変化、食文化の変化があると考えます。食の欧米化は噛む能率がそこまで求められません。
現代人の噛み方は、奥歯で回数をかけてすりつぶす必要のないぐらいに調理・加工された料理(食品)が増えていることから極端に表現するとお魚のようにパクパクとした動きが多いです。 すりつぶしても僅かな噛む回数で済むでしょう。
口・歯を満遍なく使うことは、口腔機能の”経験値”をあげること
例えば、とうもろこしを食べるときをイメージします。
とうもろこしを食べることだけを考えると缶詰でもよさそうですが、 ”食べ方”を意識するとどうでしょうか。 前歯でかぶりつく行為は省かれています。
まずはいつも食べている食品で試してみてください。
少し意識して噛んでみることで、いろいろな食感があることに気づかされます。 また丁寧に噛もうとすると口の中で 舌や唇の動きも工夫がいるものだなと感じます。
「噛む」という口周りの筋肉を使うエクササイズで 顔周り、首周りの血流にも変化がうまれます。 むくみが少なく、若々しい顔の礎を得ることができます。「輝く笑顔は、よく噛む口から」です。
口腔機能を育む成長過程である子どもにとっては、様々な食感の食べ物を食べることは口腔機能の経験値を上げることにつながります。
現代は、食事の時間が短縮され他の時間に充てられてしまっています。
生きる上では欠かせない食にもかかわらず・・・。 ただ、栄養のある食べ物を選べば良いということではありません。 どのように食べるかも視野に入れるということです。 知らず知らずのうちに食質が変化したからこそ、意識して食事することは必要ではないでしょうか。 身近な人と味を共有すること、食感を共有することは、自然と噛み味わうことになります。
まずは、大切な人と共有することから始めてみると良いでしょう。
※2018年掲載コラムの改訂です。
3月5日(日)に第32回歯科衛生士国家試験がありました。
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