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資産形成のために 円よりドルを持っておいた方が良い その理由とは

今回は 「円よりドルを持っておくべき理由」 を解説します。

先ず、この話の概要です。

図ー1

以下、順に図を使って説明します。

図ー2

・政府は毎年、巨額の借金をしています。赤字国債を発行して、社会保障などをまかなっています。
①その国債は銀行が買って、日銀に転売されています。
②ずっとこれを続けてきたので  日銀は534兆円も国債を保有しています。
③国債の代金を銀行に払いますが、そのお金は日銀内に預けられています。

図ー3

・日銀のバランスシートには巨額の国債と当座預金が積み上がっており、異常なレベルに達しています。

図ー4

・保有する国債の利回りは0.2%ほどで、金利収入はあまりありません。  
・一方、当座預金の方も巨額ではありますが、金利をほとんど払っていません。
・得る金利も、払う金利も少なく、バランスはとれています。

図ー5

中央銀行である日銀は、金利を上げて インフレを抑える役目 があります。
・日銀が金利を上げると言う時の金利は、当座預金の金利のことです。
・すると、金利の相場が上がり、銀行間の金利も上がります。
・さらに、貸出金利が上がり、預金金利も上がります。
・その結果、需要を冷やし、インフレを抑えることができます。

図ー6

しかし、日銀はインフレになっても金利を上げることができません。
・当座預金は543兆円もあるので、金利を1%に上げるだけで、年間5兆円も払わなければなりません。
・一方、その代わりの資産としてもっている592兆円がありますが、そこからの金利収入は増えません。
(借り換えで新しい国債に入れ替わることでゆっくりと金利は増えますが、時間がかかります)
・日銀の純資産は 3.5兆円なので、金利を1%にすると、債務超過になってしまいます。 そのため、日銀は金利を上げられないのです。

図ー7

この図のように、米国の金利とドル円はほぼ連動しています。  
そして、ここ数年の円安傾向は米国金利の上昇で説明できます。

なぜ、連動するのかについては、為替ディーラーがそう考えるからです。 債券投資家が実際に資金を動かすよりも、それを先回りして為替ディーラーが相場を作るのです。


図ー8

米国金利と円ドルの相関関係の図です。
例えば、金利が4.5%であれば、円ドルは150円前後になるという関係があります。

図ー9

ここに、ひとつのイールドカーブを書きました。
(イールドカーブは、期間が長い方が還って来ないリスクが高いので金利が高くなる傾向を示している)
過去の経験から、米国の経済が通常状態(インフレ率が2%程度)になると、政策金利は1~2%に設定されると考えられます。その時、イールドカーブにの傾きよって10年もの国債は4~5%になると予想されます。
ということは、今のインフレが治まり経済が通常状態に近づいて行けば、円ドルは150円前後になると予想されます。

図ー10

話は少し飛んで、円安がどういう効果を及ぼすかを考えます。
・先ず、円安はコストプッシュインフレを起こします。
・インフレになるとコストダウン競争よりも付加価値の競争が重要になり、日本経済が健全な方向に進みます。
・インフレの時には、高齢者の年金はなかなか上がらないのに対して、働く人の賃金の方が上がりやすい傾向があります。このことによって、将来世代はたくさんの高齢者を支えなくてはならないというような「世代間の不公平」が緩和されます。
・また、インフレで金利よりも物価上昇率が高くなれば、過去の借金が減る効果があります。
・さらに、増税しなくても税収が増えるので、将来世代にツケを払わせるような、日本の財政が改善します。
このように、円安はインフレを通じて日本経済を健全化する効果があります。

図ー11

最後のまとめです。
・日銀は金利を上げられないので、円高にはなりにくい、という話をしました。
・それから、円安は日本経済の歪を是正します。このことから「水が低い方に流れるように、中長期で円安になるのは自然の流れのようであり、必然ではないか」と考えます。
・よって、円だけを保有していると、資産価値が減ってしまうリスクが大きいと思います。

・以上のことより、「円よりも基軸通貨のドルを保有し資産を守りましょう」というのが結論です。

同じ内容をYouTube動画でも説明しています。↓ 


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