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【第44位 本将棋 内藤九段将棋秘伝】 羽生さんや藤井さんより強かった(!?)亡き父との思い出

こんにちは、ハルリです。
今回は、第44位に選んだ「本将棋 内藤九段将棋秘伝」を紹介します。

こちらのソフトはファミコンで発売された初の将棋ソフトです。
将棋にまつわる父との思い出を中心に書きたいと思います。

父の死

2020年11月、父が亡くなった。

2020年といえば1月にコロナの国内初めての感染者が確認され、一つの時代の節目となった年。

父が入院した9月はコロナ禍の真っ最中であり、例え家族であっても面会は禁止されていた。

当時、コロナで亡くなられた場合、最後の対面が出来ないという、残された遺族にとっては、あまりにも酷い現実が待っていた。
心中察するに余りある状況であった。

私の父は、幸いという表現が適当かどうがわからないが、コロナではなくガンだったため、葬儀は家族葬でシンプルではあったが、しっかり見送ることができたのは良かった。

しかし、入院前日まで見た目は普通に元気で、しかも入院は急遽決まったこともあり、入院前に父と特別何か話をしたわけではない。

そのような状況で、面会禁止となったため、父と最後に何を話したのかは覚えていない。

死期が目前に迫って、はじめて面会のOKが出た。
出たというより、そのような状況にならなければ、当時は面会OKは出なかった。

しかし、面会した父はもう直接会話ができる状態ではなかった。
ただし、私が話しかけると、瞳がうごき、口元が緩んだように見えた。
私の声がかすかに聞こえていたのだと思う。

それから約3時間後、父は息を引き取った。

全敗

将棋を覚えたのは、確か小学2年か3年のころだ。
初めて買った将棋に関する書籍は、いまやすっかり有名人となったひふみんこと加藤一二三さんが書いた入門書。
穴があくほど、その本を読んだ記憶がある。

友達と指すようになるのは、小学5年生ぐらいから。
もちろん、今みたいにスマホで気軽にコンピュータ対戦なんて出来ない。
相手はもっぱら親父のみ。

それにしても勝てなかった。対戦成績はおそらく全敗。
相手に自信をつけさせる甘い考えなんて、うちの親父には無縁だった。

親父は記憶の限り、ほとんど矢倉を組んで居飛車で戦うスタイル。
(将棋良く分からない方、細かい説明なしでごめんなさい。)

私もその影響か、矢倉を組むことが多かったが、いつの間にか2五、3五、5五あたりに歩を進出されて、全体的に攻め込まれいつも劣勢な印象がある。

同じ負け方ばかりだったので、たまには、慣れない振り飛車美濃囲いのスタイルで挑んでも、返り討ちにあう。

親父との対戦はそんな苦い記憶ばかりである。

小学校高学年になると、友達と将棋をやる機会も増え、またファミコンにはまっていったということもあり、親父と将棋を指す機会は減っていった。

それでもたまに小学生時代は親父と将棋を指していたが、相変わらず負けていた。

コンピュータ将棋の登場

そんな小学6年生の夏休み、ファミコン初の将棋ソフトが発売された。
それが「本将棋 内藤九段将棋秘伝」。

内容はシンプルなコンピュータとの対局ソフトだ。

私はこのソフトで練習して強くなり親父を倒そうと思い、貯めていたおこづかいでソフトを買った。

しかし、このソフト・・・弱かった(苦笑)
中盤までイイ感じでも、途中、必ず訳の分からない手=親父では絶対指してこない悪手を打って、必ずこちらが優勢な局面になる。

普通は、勝てれば嬉しいものだが、強くなっているという実感がまったくわいてこない。
勝てるのが当たり前になっていくと、このソフトも段々やらなくなっていった。

中学生になると、部活や塾で急に忙しくなる。
中学生以降、親父と将棋を指した記憶はほとんどない。

コロナでなかったら、病室に小さな将棋盤を持ち込みたかった。
私の親父への初勝利をかけて、最後の一局を指し、人生最後の親孝行ができたのではなかったのかと考えたりもする。

50代の生きがいを探して

2023年1月。

藤井聡太王将(現七冠)に羽生善治九段が挑戦する、王将戦七番勝負がはじまった。
将棋ファン大注目の戦いは、藤井王将が4勝2敗で勝利した。

将棋好きではあるものの、毎年数多く開催されるタイトル戦の結果をそれほど気にしたことはなかったが、この王将戦は本当にワクワクさせてくれた。
レジェンド二人には感謝しかない。

50代の人生を楽しむ方法の一つに、子供のころ熱中したものに、改めて取り組んでみてはどうか、といった記事を読んだことがある。

大人になってから対戦したのは、友人と温泉旅行に行った時に、お酒を飲みながら指したヘボ将棋ぐらいしかない。

でもやっぱり将棋は面白い。
ひふみんの入門書を再度買って、もう一度、チャレンジしてみようかな。

強くなって、天国にいる親父と再度勝負がしたい。

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