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母のそばで♡体の病は海へ行け!篇

95歳の母は元気だ。
肺ガンの末期で訪問診療と訪問看護を受けている人に見えない。
元気なのは見かけだけとわかってはいるが。

不思議だ。良い意味で。
病気に負けない強い体と心を持っているのか?

妹がポツンと言った。
「毎日、海を見ているからじゃないかな?」


母の日課


私の家で療養するようになって、4か月。
毎日、家から海を見ている。

母の家からも少し歩けば海が見える。
しかし当然ながら風景や趣は異なる。

私の家から見える風景が気に入って、飽きずに眺める毎日。
夜中にトイレに起きた時は、漁船の灯りがキレイと言う。

夜が明けて洗面に向かう時もしばらく海を眺めている。
昼は昼で「今日の波は少し立っている」とか
「波が全くなくて鏡みたい」とか観察している。

夕陽の頃はため息つきながら「キレイねぇ!!」とつぶやく。
太陽の光の道が海面にチラチラと見える時などは
「あの道を歩いて行きたい」なんて独り言。

酸素濃縮器から酸素を吸っているけど、それ以外は全く普通に見える。

血液検査


訪問診療で何度目かの血液検査。
結果を見せてもらう。もちろん母の見えない所で。

前回も驚いたけど、今回もビックリだ!!
腫瘍マーカーがすごく増えている。

ハッキリ言って母は今、病人に見えない。
なのにこの数値は何だ?

先生は「家族のサポートのおかげ」と言う。
確かにそういう面もあるだろうけど、不思議でならない。
持って生まれた何かがあるのだろうか?

母は小学校に入学してから片道4キロの道のりを通学したという。
しかもその時代は運動靴がなく、父親が作った下駄で歩いた。
女の子だから可愛い柄の鼻緒を付けてくれたそうだ。

すごい山の上の家で、上り下りが激しい道。
数年前に久しぶりに訪れてみたが、車道でさえ恐ろしいほどの急こう配の所がある。
きょうだい達と歩いて登下校したことを想像してみる。
ここで基礎体力がついたのだろうか?
それが今の母の身体を支えているのかもしれない。

とにかく、母が見かけだけでも元気ならそれで良いか。

確かに「ここ(私の家)に居ると安心」と言っている。

「安心」するとこんなに元気でいられるものなんだろうか?
「安心」とは安らかな心、と書く。確かにね。

では安心できない環境にいると、寿命が縮むのだろうか。

考えたこともなかったけど、そうかもしれないーーー。

身体の病は海へ行け、心の病は山へ行け


母は昔から
「身体の病は海へ行け、心の病は山へ行けって言うんだよ」
と教えてくれた。
ふーん、海や山などの自然は人間に良いのだろうな、そんな程度に聞いていた。

母の病気が進んでいるのに元気に見えるのは
妹が言うように
毎日、海を見ているからということもあるかもしれない。

初めて「身体の病は海へ行け、心の病は山に行け」を検索してみた。
「ことわざ」として巷に伝わっているようだ。
今しみじみとことわざの重さと意味をかみしめている。

私の家の後ろは山だ。
玄関に出ると山からの何とも言えない香りが漂ってくる。
深呼吸すると森林浴をしているようだ。

深く考えていなかったけど、これまでもイラっとする時は外に出ていた。
深呼吸して、夜なら月を眺めて、宇宙のことを少し考える。
すると、モヤモヤが晴れる。

心の病を、病になる前に癒してもらっていたのだろう。
よく考えると、良い環境だ。私にとっても母にとっても。

「身体の病は海へ行け、心の病は山へ行け!」

この言葉は真実かもしれない。

花畑をつくる


毎日母が海を眺めているので、視界に入る場所を花畑にしようと思った。
草ぼうぼうだった土地を夫が耕運機で耕し、半円形に畝をたてて、さまざまな花の苗を植えてみた。

中心にゼラニウム。半円形にサルビアを40本。中心から右はブルー、左はレッド。
それにマリーゴールドも。
次の畝にはカランコエ赤、黄、白3種類。芝桜、ポーチュラカを。
次の畝にはミニヒマワリの種を植えた。

大きく育って賑やかになると楽しいな。

丈の短いコスモスも植えてみよう。

松葉ボタンを頂いたので、これも増やしてみよう。

今回は苗を買って植えたが、種から苗を育てたら経済的にも良い。
さらに、花が終わって種を取れたらスゴイ。

花畑の向こうに夕陽が沈む光景を想像するとワクワクするな♡

母を喜ばせようと思って始めたが、自分が楽しんでいる。

ターシャ・テューダーに憬れる私に夫が言う。
「〇〇ガーデン、と名付けたら?」。
〇〇に何と入れるか、思案中。
決まったら可愛い看板を立ててみようか?
そうなれば、パラソルを広げて椅子を置いてお茶したい。

そこで母を囲んでみんなでゆっくり過ごすのもステキだ。

夢は勝手に膨らんでいく。



最後まで読んでいただいてありがとうございます。







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