何も答えられないという苦痛 何も知り得ないという空虚 掴めぬ光 幽き闇の 静寂に暮れる
原っぱに寝転んだ 君と私で 青々とした 柔らかな芝生の上は ひいらり ひらりと 桜の花びらが 宙を舞う 夢みたいに あどけなく 私たちは 微笑った そよ風の 贈り物だ…
弛まぬ歩みを見せる二つの孤独 手を取り合うと生命の灯は宿り 斯くして二つは道を共にした 先々に敵は現れ 行く手に視線は立ちはだかった しがみついた体 生きることを選ん…
裡側に灯る 揺らめく 青い炎 どんな言葉も 灼き尽くし 胸の中で 静かに燃える 裡側に閃く 青い炎 焚べるのは 新しい言葉 冷たく 時には熱く 幽遠に 燃え続ける 其れは 微か…
足下に咲く露草の 薄っすら紅が差してあり 細やかな葉に隠れてる 其の愛らしさが心惹く 露を吸わない露草の 露は僕が持ちこもう 川に手浸して露草に 雨降る如く振り掛ける…
噫、陰を纏わせてくれ 十二分に頼む 陰だけに、浸りたい 誰にも知られず、悟られずに ただ陰だけに、塗れたい 頭の先から足の先まで 陰の余すこと、この上なく 陰の陰に、…
なすやなさぬのただそれのみよ 花と生きしも、いひけたれども 売れざる花なば、野に咲きやいいさ 咲くや咲かなのただそれのみよ 咲きぬる花のあるがままにし ただごとなら…
穏やかな春の午后 桜の星が散らばる中を 颯爽と横切る烏が居た 路行く人を意にも介さず 彼は枝から枝へ飛び移る 隣の桜に居る烏に 控えめな聲を一啼き二啼き 何かを報せつ…
さやかにそよぐ眼前の 芒野原の夜は更ける 連綿と続く畑は限りなく 提灯のみが畦道を照らす 文明の影は此処に及ばず 顕になるのは此の常世 しめやかに身を寄せる夜の 忘れ…
夢の中で戯れていた 君の手を取って 何処までも歩いていた 帰りたくないと言う君 ならば僕が守ってあげる 此処での僕は青年の姿 夢の中で戯れていた 海岸やゲーセンで遊ん…
庭に出でたる竜胆(りんどう)は 空の如くに青黒し 赫々と照る道標 虚げなるがいとをかし 人に踏まれき在りし日の されど鳴いてる鳥の子の 紺碧色やいとをかし 吸いぬる蜜の…
朝焼けが花々を揺り動かす 光の絨毯は大海の様に広がり 梢は懇ろに手を差し伸べる 花、光、木の葉、風… 流れる旋律は僕を纏い 其の輪郭さえ朧気にした 嗚呼、朝が始まる …
足柄山を逍遥す 桜風に吹かれ辿りし路の果て 地蔵堂の傍で はらりはらりと 吾にうららに降り掛かる花びらありや 山々に白々と霞たる桜のいと美しき 生垣には椿が落ちぬ 未…
青空を雲が流れている 堰を切った様に心早まる 秋告げしはじめの空は 今日読んだ言葉の景色にも似て 晩夏の蝶が吾の顎上げて 途切れし雲から出でる 玻璃の如き雨の降りし…
墨流椋
2023年4月11日 23:43
何も答えられないという苦痛何も知り得ないという空虚掴めぬ光幽き闇の静寂に暮れる
2023年4月10日 17:45
原っぱに寝転んだ 君と私で青々とした 柔らかな芝生の上はひいらり ひらりと桜の花びらが 宙を舞う夢みたいに あどけなく私たちは 微笑ったそよ風の 贈り物だねと空に向かって 微笑った芝だらけの背中 放心した心にただ花びらの 純白が通る
2023年4月8日 22:39
弛まぬ歩みを見せる二つの孤独手を取り合うと生命の灯は宿り斯くして二つは道を共にした先々に敵は現れ行く手に視線は立ちはだかったしがみついた体生きることを選んだ先に解り合えぬ孤独を兵どもが引き裂こうとするすると一つは果敢に飛び掛かった歩み留めぬ二つの孤独は己自身に打ち勝ったのだ
2023年4月6日 06:00
裡側に灯る揺らめく 青い炎どんな言葉も 灼き尽くし胸の中で 静かに燃える裡側に閃く 青い炎焚べるのは 新しい言葉冷たく 時には熱く幽遠に 燃え続ける其れは微かな光 深淵なる美この心 とこしえに立ち出でぬ 青い炎
2023年4月5日 05:50
足下に咲く露草の薄っすら紅が差してあり細やかな葉に隠れてる其の愛らしさが心惹く露を吸わない露草の露は僕が持ちこもう川に手浸して露草に雨降る如く振り掛ける足下に在る露草の薄紅清き露に咲く此の手に掛かる露にさえ溢れんばかりの紅が咲く
2023年4月5日 05:48
噫、陰を纏わせてくれ十二分に頼む陰だけに、浸りたい誰にも知られず、悟られずにただ陰だけに、塗れたい頭の先から足の先まで陰の余すこと、この上なく陰の陰に、狂気なる陰の、とこしへに
2023年4月4日 16:26
なすやなさぬのただそれのみよ花と生きしも、いひけたれども売れざる花なば、野に咲きやいいさ咲くや咲かなのただそれのみよ咲きぬる花のあるがままにしただごとならず、なぞも生きぬれ普遍と風の流るるごとに、時にこそ従順であらましやこやこそが老いを養ふとふものなり然らば棚引きゆ三昧の煙も、郷愁のごと 風に吹きぬれ、見や清閑なり、空へと融くらむ花吹雪く世に点く鴉の雅なり闇直中にある方
2023年4月4日 16:24
穏やかな春の午后桜の星が散らばる中を颯爽と横切る烏が居た路行く人を意にも介さず彼は枝から枝へ飛び移る隣の桜に居る烏に控えめな聲を一啼き二啼き何かを報せつ呼び合っていた春吹く風に其の歌を乗せ二羽は示し合わせたかの様に星が生まれた其の枝を折って行った
2023年4月2日 22:56
さやかにそよぐ眼前の芒野原の夜は更ける連綿と続く畑は限りなく提灯のみが畦道を照らす文明の影は此処に及ばず顕になるのは此の常世しめやかに身を寄せる夜の忘れられない或る日の追憶
2023年4月2日 11:16
夢の中で戯れていた君の手を取って何処までも歩いていた帰りたくないと言う君ならば僕が守ってあげる此処での僕は青年の姿夢の中で戯れていた海岸やゲーセンで遊んだリボンを着けてと言う君君の首にそっと手を回し大切そうに取り付けた此処での君は女の子の姿
2023年3月31日 19:29
庭に出でたる竜胆(りんどう)は空の如くに青黒し赫々と照る道標虚げなるがいとをかし人に踏まれき在りし日のされど鳴いてる鳥の子の紺碧色やいとをかし吸いぬる蜜の染み入れば口に含んで呑み込めばそこはかとなく戀の味標を欠いた竜胆の虚げなるも庭に咲く月影いたく古びゐぬ庭戸に人は寄り付かずただ一人居ぬ鳥の子の紺碧有りや空の中
2023年3月31日 06:53
朝焼けが花々を揺り動かす光の絨毯は大海の様に広がり梢は懇ろに手を差し伸べる花、光、木の葉、風…流れる旋律は僕を纏い其の輪郭さえ朧気にした嗚呼、朝が始まる心にも、朝が来る
2023年3月29日 14:09
足柄山を逍遥す桜風に吹かれ辿りし路の果て地蔵堂の傍で はらりはらりと吾にうららに降り掛かる花びらありや山々に白々と霞たる桜のいと美しき生垣には椿が落ちぬ未だ蕾の菫も咲き匂ふ哀しくも、儚くも、花々の命巡りけり
2023年3月29日 01:23
2023年3月28日 15:17
青空を雲が流れている堰を切った様に心早まる秋告げしはじめの空は今日読んだ言葉の景色にも似て晩夏の蝶が吾の顎上げて途切れし雲から出でる玻璃の如き雨の降りしきる蝶は雨粒を其の身に受ける虹の架からない其の路で起きた奇跡を辿りひとり夢見て狼狽えて視線は忽ち上を視る歩み早める吾が脚よ蝶の火よりも真っ直ぐに雨の止む頃背後では啄木鳥がたたと鳴いていた