天気雨

青空を雲が流れている
堰を切った様に心早まる
秋告げしはじめの空は
今日読んだ言葉の景色にも似て

晩夏の蝶が吾の顎上げて
途切れし雲から出でる
玻璃の如き雨の降りしきる
蝶は雨粒を其の身に受ける

虹の架からない其の路で
起きた奇跡を辿り
ひとり夢見て狼狽えて
視線は忽ち上を視る

歩み早める吾が脚よ
蝶の火よりも真っ直ぐに
雨の止む頃背後では
啄木鳥がたたと鳴いていた

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?