見出し画像

迷走、傍らに風

風が歌う
少し開けた窓と
厚く閉ざしたカーテンの隙間で
外に出て来い、と誘っている

風が走る
日向ひなたと日影の狭間で産まれて
当てもなく走る
行き先など特にないのだろう

風が歩く
人生の岐路で立ちすくむ横を
渦を巻いて煽る
時間と同じで待ってはくれないらしい

羨ましく思う
駆け抜ける、その爽やかさが
眩しく映る
迷ってばかりの私の目には

上手く生きることが出来るか
誰かより幸せに終われるか
何か残すことが出来るか
君の、風の色を文字に表せる日が来るのか

答えはない
だが、いつもかたわらに
答えが出ても出なくても
終わる時まで止みはしない

追い風に急かされながら
向かい風とじゃれ合いながら
微風そよかぜと語らいながら
迷って走ることが人生ならば

風と歌う
窓を大きく開けて
分厚いカーテンを端に纏めて
今日も行くか、と席を立つ

風と走る
日向と日影がまたがる道を
行き先はまだ決まらない
道を探すために走るのだ

風と歩く
人生の岐路で迷いながら
間違ったとして、かまうものか
傍らにはいつも君がいる

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?