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好き過ぎることで世界を開け「クイーンズ・ギャンビット」

「ペ・ドゥナまつり」は1回お休み。
何を書こうかな、と考えて、最近NETFLIXで見た「クイーンズ・ギャンビット」を取り上げます。面白過ぎて時間を忘れるドラマにまた出会ってしまった。
2週間も毎日、韓国映画の話ばかりしてきた挙句に言いにくいですが、実はペ・ドゥナの作品以外は韓国ドラマはあまり見ていません(笑)
ただ、女優好き、というか女性が主役の映画が好きなのかもしれません。

一言で言えばチェス版「ヒカルの碁」


孤児の主人公・ベスの孤独、義母との奇妙な関係、チェスとの出会いからメキメキ強くなるところ。・・・からの薬と酒に溺れての破滅。
男性しかいない世界での女性差別もあるが、ほとんど問題にならないのはチェスが好きすぎて強すぎるから。「好きすぎる」ことはあらゆる困難を乗り越え、世界を開く。
ベスが強くなればなるほど服を買って、だんだんおしゃれに素敵になる。その衣装がまたいいんだ〜特に最終回のクイーンになったときのドレスは本当に素敵でした。

美しく不思議な女優、アニャ・テイラー・ジョイ

以前「スプリット」という怖い映画を見た時は「奇妙な女の子」という印象でしたが、ベス役は全く印象が違い堂々たるものでした。素晴らしい。

破滅どん底の惨めさから最終回でベスの孤独がチェスで解消されていくひとつひとつのシーンが愛おしい。
最後の試合は、ベスの今までの生き方を盤上に現した、という話をどこかで読んで、慌てて図書館に行ってチェスのルールブックを借りてきました。
「ポーンを捨てて捨ててクイーンになる人生」、ということが少しわかりました。

壁紙好きの方は必見


特筆すべきは、チェスの大会会場やベスやベニーの家のインテリア、ため息出る壁紙、壁紙、壁紙…笑
そしてベスが天井に見ているチェス盤と動く駒も美しくてとても好きでした。あの天井が出てくるたびに、孤児院の夜中、一人ぼっちのベスが見ていた天井を思い出すようになっています。

「クイーンズ ギャンビット」つながりの映画が面白い


●「クイーンズ・ギャンビット制作の舞台裏」
メイキング、というか製作者たちの思いを語る短い映像。こちらも合わせて、ぜひどうぞ。ドラマを見て、知りたくなったことが、だいたい分かります。アニャ・テイラー・ジョイのベス役に対する解釈を語る姿が個性的でしっかりしていてかっこよかった。

●「ある女流作家の罪と罰」(2018年)

「クイーンズ・ギャンビット」では、ベスの継母役のマリエル・ヘラーが、なんともだるーい雰囲気ですごく良かったのです。この女優さんは別の作品では監督もしているんですね。あとから知りました。
こちらは、プライドは高いが偽造文書にハマってしまったおばちゃん女流作家の話で、正直、この人何やってんだろ?何でこれで映画になるんだろ?っていう弱い女性の人生を見せつけられてる感じなので、同世代なだけに見ていてつらい映画でした。
ところが、継母の役マリエル・ヘラーを見た後、映画の雰囲気と彼女の雰囲気が似すぎていて、妙に納得してしまった。
こんな生き方もありっちゃ、あり(笑)と思い直した不思議な映画です。

●「ボビー・フィッシャーを探して」(1993年)

チェスの映画って他にあるのかな?と探して見ました。チェスの天才少年ジョシュの優しさ、繊細さに心が温まりました。とにかく可愛い。
子どもが小さいうちは、親はどうしても期待してしまい、小さな心の有りように気づきにくい。価値観を押し付けて傷つけてしまうことも。どんな親も経験があるのでは?私もちょいと思い出したりして。この映画のパパは途中で気づいて自分が変わろうとする、そしてそれを黙って見守る母親、その有り様にジーンとしました。子育て中の方に見てほしい映画です。

●「ハリポタ・シリーズ」

チェスの天才で、ベスを支え、自分のプライドの高さを克服して成長するナイスな青年ハリー役のハリー・メリングですが、なんとハリーポッターシリーズの、意地悪なダドリー・ダーズリー役の俳優さんだったそうで、びっくりです。「ハリー」って名前が多すぎて誰が誰かわからん状態…(笑)


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