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(連載87)DTM:ミシンのノイズで作った「ボレロ」がついに完成!:ロサンゼルス在住アーティストの回顧録:2016年


前回からの続きで、アップルストアの兄ちゃんたちに教えてもらいながら、ミシンのノイズのサンプリングを学び、あのモーリス・ラヴェルの「ボレロ」を作るという一大プロジェクトのお話です。


図書館から借りてきて、コピーしたオーケストラの楽譜

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それは、66ページ、楽器は25以上!

しかし、これさえあれば、なんとかなる!


と、

私はいつものようにたかを括っていた。


張り切って、ミシンのノイズ集めがはじまった。(前回に詳しく書きましたので、よろしかったら。。。。)

これはこれで、お気楽にやってて、楽しかったのですが、問題はそれ以外ですよ。

前回も申しましたが、「楽譜の記し方が楽器によって、違う」

皆様は、これ、ご存じでしたでしょうか?


(あ、もしかして? 知らなかったのは、私だけ???)

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たとえば、フルートとピアノは同じなのですが、ピッコロは1オクターブ低く記譜する。

コントラバスは1オクターブ高く記譜する

またホルンなどは、もっと複雑で、近代的にはドがFだが、古典派だとC、Bフラット、E、D

トランペットはBフラットか、古くは、A、 E 、 D、  G 

クラリネットはドがBフラットかAであることが多い。

あることが多い?ってどういうこと?そうじゃない場合もあるってこと?

などなど、もうーーーーー!!

なんかバラバラな訳です。

そのあたり、ちゃんと、統一しておいてほしいわ!!

もしかしたら、現在は何かもっと便利なシステムがあるのでしょうか?


この一音ずつ、楽器ごとに調べて、一音ずつ打ち込んでいく作業。

この超絶、地味作業をやりはじめて、気がついたら、あっという間に三ヶ月くらい経過してしまってて、、、、、。



この打ち込み作業の結末

クラッシック音楽や、DTMをやってる方は、もうとっくに、お分かりかもしれません。



ある日の事、私がこの話を映画などを作ってる音楽に詳しい友人にしたら、

そんな有名な楽曲は、すでにオケ譜面をデジタル化したのがネットにあるのでは?

というんですよ。


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え???? そうなの?




そして、ほんとにあったんですよ!!!!

そして、すぐダウンロードできた!

違法だったのか? そうじゃなかったのか?

くわしくは、興奮してたんで、覚えてないですが、普通に「ダウンロード」って書いてあるところをポチったら、すぐダウンロードできたんですよ。汗

知らんかった!

今まで一個ずつ打ち込んでいたのは、まさに、

無駄骨!

こんなんは私がやらなくてもネットに、あったのだ。

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とほほ。

この私の三ヶ月はなんだったのか〜〜??? いや、いや、このような無駄を含めてのプロジェクト!過去は気にするな。前だけをみて進め!!

人生いろいろあるのだ。苦笑



それで、ともかく、残りの3分の2は、あっという間に、コンピュータ君が勝手に変換してくれたのだが、、、。

ほんとに、このファイルが66ページの楽譜通りに、変換されているのか? 一音ずつチェックしてみました。結果、95%は、正しかったです。

でも、漏れてるところもありましたので、そこは、自分で考えて、手元にある楽譜通りに音を足しました。



アップルのショーンが録音はクローゼットがいいと言っていたので、これはクローゼットで作業中の図

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この時点ですでに四ヶ月経過

しかし、こういう作業はただ、時間をかければ、できるので、大した事ないのですが、

一番大変だったのは、チューニングです。

前回も申しましたが、ガチャガチャっていう音なので、どれがドなのかレなのか、わかりにくいですよね?

それで、何度も何度もノイズを聴いているうちに、ヘッドフォンのボリュームを間違えて、

爆音で、ノイズを聴いてしまい、

鼓膜がやぶれた!!


と思って、(そのくらい痛かった)



医者にいきました。


そしたら、破れてなかった、、、、、。

確実に、この瞬間から右の耳が変になり、そのあたりも調べてもらったが、

ただの加齢だと。。。

く〜〜!!!ここんとこ、この話多いわ!


これ以降、右の耳が調子悪くなり、今もそれは続いています。ある種の波形に敏感になり、聞こえないというより、聞こえすぎてうるさい。。。

自分的にはこれは、かなり凹みました、、、、、。


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しかし。


ベートーベンも耳が聞こえなくなったらしいし、片耳だけのボレロってのも、アリなのかもしれない、と。

なんとか自分のテンションを、再び上げようと、モーリス・ラヴェルについてもいろいろ調べてみたり。

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ルンちゃん、こんな事で凹むな!頑張れ!


彼の父親は発明家で、自動車の初期の製造に関わったことや、鉄道建設に従事したりなど、機械のエンジニア。また、弟は自動車の部品工場と同じ棟に住んでたことがある、、、などと、ラヴェルとその家族が機械のノイズ環境に囲まれていた事。

また、ミシンの会社、シンガーの娘 ウィナレッタ・シンガー という女性がいて、19世紀末から20世紀前半のフランスにおいて多くの音楽家を援助し、当時ブイブイ言わせていて、初期のラベルのパトロンだった事。

ここで、ノイズとミシンとラベルの関係も繋がった!!素晴らしいコネクション!

また、このプロジェクトの真っ最中に、2016年5月ですが、この楽曲「ボレロ」が なんと!!パブリックドメインになったというニュース!!

この偶然!!

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これで、全部が合体した!!!


これでテンションは、再び、上がった!!

耳が難儀してるくらいで、やめるわけにはいきません!!


そして、なんとかかんとかで。。。


その作業が終わり、完成いたしました〜〜〜!!!

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 ふぅ〜〜


そしてついに発表会

プレミアのコンサートの招待状!!

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この発表会のことを、周りに触れ回っていたら、たまたまKCRWというラジオ局がこのプロジェクトを特集してくれる事になり、番組でその一部を流してくれ、私のインタビューもしてくれた。

そしてまた、どうせだったら、このボレロのメーキングのビデオを撮影したらどうか?と思って、

アップルのレイに聞いたら、「出演してもいいよ〜。」となり、(もうひとりのショーンには断られた)レイに家に来てもらって、ふたりで、レコーディングしているところなどを撮影してもらった。

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そして、このメーキングのビデオを会場で、みんなに見てもらいました。


本番では、当然、もうミックスも終わっているので、それを流すだけなのですが、ビジュアル的にそれだとつまらないと思って、

自分がコンダクターになって、指揮棒をふった。

もちろん、やった事ないんで、めちゃくちゃですが、見よう見真似で。笑


バックにはミシンのイメージ画像を次から次に流す事にした。

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手をぐるぐるぐるぐる!!
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20分間、やりながら、私、なんでこんな事、やってんだろ?って考えた。笑


そんな努力の甲斐もあり、満員のソールドアウトの

大成功!!

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ちなみに、レイとはこの後も仲良くなって、いっしょに京都にいったりした。笑


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アップルのカスタマーサービスから始まったこのプロジェクトが、気がついたらこんな大きな結末になるなんて、考えもしませんでした。(このブログでは、3話分!!本当に、アップルをはじめ、読んでくださった皆様にも感謝しています!!


さて、これがどんな音だったのか?

読者の皆様、お聞きになりたいと思うので、先日YouTube にてアップしときました。オリジナルは17分くらいあり、ノイズなので動画で聞くのは大変だと思って、3分だけにしときました。

感想をコメント欄に書いていただければ、嬉しいです!

それでは。どうぞ!!!

L*






















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