(連載25)まるでディズニーランド?な家に引っ越した:ロサンゼルス在住アーティストの回顧録:1993年
1993年の時点で、私と夫のトッシュは、ハリウッドのギターセンター の(今でもありますよ。ロックの殿堂になってます。)裏のワンベッド・ルームのアパートに住んでおりました。
私がフリマに行き出して、そこに並ぶものに刺激をうけて、服が箱みたいになってきた頃(笑)また、スリフトショップといわれる、まあ、日本でいうと、リサイクル・センターみたいなところがあって、そこにも頻繁に出入りするようになってました。
服はもとより、ハンドバッグなども作りだしたので、前にも申しましたが、鍋のふたや、やかんのハンドルや、こわれたオモチャとか、家具もありますからね。そういうものを、片っ端から集めるようになり、スリフトショップは、もうなんでもあり、むちゃくちゃ安いですからねー。欲しいものを思いっきり買っても、2000円とかくらいだし。
なもんで、どうしようもないガラクタ(ゴミともいう)がだんだんと増えてきて、(なんせ、毎週、持ち帰ってますので、たまる!たまる!)
もともと夫のトッシュは私と住む前は、ミニマリストです。レコードと本のみで、家具なし。しかし、いっしょに住むようになってから、私がほとんどの物品をフリマやスリフトで買って家に持って帰るので、家にあるものは、全部フリマ・スリフトに売ってるモノなるのは、あたり間っちゃー当たり前です。食器から、服から、家具から全て、ユーズドのリサイクルですわ。
あー、さすがに、食料品だけは、新しいものでしたよ。笑
あ、あと下着とか。いくらなんでも、、、、ね〜?
そんなこんなで、ともかく家の中が、お客のいないフリマみたいになってきてた。
壁で囲まれてるアパートだから、フリマに見えませんけど、もし何か災害などで、壁が、パターーンって、とれてしまって、青空会場になったら、そのまま、すぐにフリマ(ガレージセール)がはじめられたと思いますねー。
で、そんなガラクタに囲まれて、しかも、それを解体したり、くっつけたりするので、トッシュがレコードかけてるそのすぐ隣で、ノコギリでギコギコと板を切ったり、ヤスリでサンディングしたりするみたいな状況になってきたので、だんだん、「もっと、広いとこに引っ越したいなあ」と思うようになってきた。
今のハリウッドじゃなくても、ちょっと中心から離れててもいいから、一軒家に住みたいなあ。と。
ただ、トッシュは前も申しましたが車の運転はしない、ロサンゼルスでは、めずらしい「バス・ライダー」なので、あまりサンセット・ブルバードから離れると、不便になるので、場所の選択がなかなか難しい問題でした。
で、友達に相談していたら、シルバーレイクとかエコーパークだと、家賃もハリウッドほど高くないし、サンセットもずっとダウン・タウンまでつながってるし、と、オススメされました。
今でこそ、シルバーレイクは「住みたい街、ナンバーワン!」とかになってて、ヤッピー化してますが、その頃はぜんぜん、でした。
ロサンゼルスの治安自体も悪かったし、ギャングもいたりして(エコーパークは今も)まあ、そんな関係で家賃もそんなに高くない地域だったので、なんとなく、候補にあげていたのでした。
そんなある日、新聞に「シルバーレイクの丘の上に建築家が建てた家!!貸します!」と、あり、しかも家賃も、頑張ったら払える!くらいの金額でした。
ほほーと。さっそく、ふたりで行ってみました。
ロサンゼルスは、ほとんどが平地なのですが、シルバーレイクという場所は、めずらしく小さな丘の上が幾つも重なっていて、上がったりさがったり、地形的に面白い区域でした。そのせいか、「シンドラー」とか「ノエトラ」とか、有名な建築家が建てた、サンプルのようなケース・スタディ・ハウスがいくつもあったのです。その広告にでてた建築家の名前はそこまで有名な人ではなかったですけど、ここもおそらく、その手の物件だったのでしょう。
で、シルバーレイクまで、ドライブして、グルグルと丘を登って、その家につきました。
外から見たらあまり目立たない家だったのですが、ドアを開けたら、もう
空に浮いているような、でっかい窓!! 身長の2倍くらいあるような窓!
そして、自分の視界をハミ出て広がる景色!!
昔のジェットソンていう漫画があったんですけど、これです。
こんな、空間にぽっかり浮かんでる宇宙船のようなリビング!!
ミッドセンチュリーまんま、ではないですが、まあ、それを意識してるような。
ロサンゼルスでは、もう丘の上というだけで、ワンランク上なんですよ。
丘の上、そして、この景色!
そしてそんなに高くない家賃。なので、ものすごく珍しい物件にはちがいなかったです。
ただ、、、、つまり家賃がそんなに高くないということは、狭い。を意味する。ピタゴラスの定理だったかどうか、忘れましたけど。
ワンベッドルームで、リビングもキッチンも、自分らがその時住んでたアパートより、ちっちゃい〜。汗
それに、この家を作った建築家の理想のテナント(どういう人がこのスペースに住むのか?)というのが、すぐ想像できた。それは。
「すでに若くて成功した、お金もってる独身!!」
それが見え見え物件!!
素晴らしい景色を、ブランデー片手に、夕日を眺めるイケメン!
モテようとしてないのに、なぜか女がよってくる男、、、、、。
お金にガツガツしてないのに、目の前にお金が落ちてるような運命の男。
日本人のワケわからんサーカスみたいな服を作ってる女が、毎週、持ち込むフリマからのガラクタで、びっちりと埋まってるリビングを見たら、この建築家の先生は、びっくりして、気絶するでありましょう。
また、私のような「クリエイちぶなのに食えないアーティスト」が、万が一、落ち込んだ日にゃ、その素敵な大きな窓も景色も
いつでも、とびおり自殺オッケー!のサイン
に、変わるにちがいない。。。
また、トッシュにとっても、マイナスの要因がありました。
この家の構造です。急な丘の斜面に、斜めのつっかい棒で、立っているような家。 ま、よくあるっちゃー、ありますよね?
。。。実際はこの家じゃないですけど、こんな感じの。斜面に出っ張ってて、つっかい棒で立ってるような。
実は、夫のトッシュは5歳の時に、土砂崩れの悲惨な経験があったんです。親子3人が瞬時のタイミングで、命は助かったのですが、家そのものを、すべて一瞬で失ったそうです。涙
彼はそんな経験がトラウマになってて、いくら建築家が建てた家だといっても、その形状がいかにも、すぐポキって壊れそうな、、、。
もう、見るからに。。。でした。
いや〜〜〜これってどうなの??
で、断念。
ふたりで、「まあ、しょうがないよね〜〜」と言いながら、ちょっとガックリして、登ってきた丘を再び降りていったら、その麓にまるでディズニーに出てくるよう家が建ってたのでした、、、
それは、コレです!!
「わ〜〜!!めっちゃ、かわいい!!」
こんなとこに住みたいよね〜?って二人で言ってたら、
なんと!!!
FOR RENTのサインが!!
これ、夢??奇跡???ミラくる???
因縁??じゃないや、因果?でもない、、なんか運命か???
ともかく、うっっそぉーーーーーーー??????
ふぉふぉふぉふぉおおおおおれんとって書いてあるよ!!ね?ね?
ひえ〜〜!!!
もう、興奮して、すぐに車を止めて、近寄ってみたら、チラシがおいてあった。
それがこれです。(今でも保存してました!そんくらい感激した)
で、もうこうなったら、すぐに電話!!まだ決まってない!中を見せてもらう!!
もう〜〜〜〜、かわいいってもんじゃない!!
「フレンチ・ノルマンディスタイル」というらしく、階段を登って、フロントのドアを開けると、
塔のような丸い部屋につながり、階段を降りてゆくとベッドルームが二つありました。斜めになった階段、ドア、窓なにからなにまで、凝りまくり!!
そして、おまけに小さいジャグジまであったのですよ!!
今まで私が集めたプラスティックのガラクタ・バロック装飾がまんま、すべてイケる!
まるでこの家が私が来るのを、待っていたかのようでした!!
「お待ち申しておりました〜〜。ルンナ様!」
後でわかったのですが、シルバーレイクはもともとディズニーのスタジオがあったのです。なので、その辺もディズニーに勤めている人がたくさん住んでいたと見られ、そういう人が建てたのではないかと思われます。
そして、もーすぐに、申し込んで、連絡待ち!
一週間くらいで、この夢が現実となったのでした!!
早速、引っ越しました。そして、この家を、トッシュの苗字がバーマンなんで。
「シャトー・デ・バーマン」
と呼ぶ事にした。
彼は、私と結婚して、この時点で4年たってますが、初めて自分の部屋ができましたよ!おめでとう!!
私はガレージとリビングを作業部屋にして、丸い部屋でふたりで食事をした。
そして、また屋根裏の空間も発見して、そこを改造すれば、もう一部屋、ゲスト・ルーム?みたいにできるかも!! なんて、夢はどんどん広がる!
で。。。。。。
この屋根裏!!
ここで、バーマン家にずっと伝わるであろうある事件が起きたんです!!
それを次回、お話します!
お楽しみに!
L*
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