見出し画像

(連載83)伊豆大島で地域密着型のランウェイショーをやった:ロサンゼルス在住アーティストの回顧録:2015年

前回の続き、2015年の伊豆大島のアーティスト・イン・レジデンスのお話です。

こういうアートフェスといえば、クリシェな言い方ですが、アーティストはその土地の空気感を自分なりに表現し、また地域、環境とのコミュ二ケイションが一つのミッションとなるので、たくさんのイベントや、ワークショップなどで、島民の方々との交流ができる機会がたくさん用意されておりました。

アーティストの制作のお手伝いをしてくれたり、材料を島民の方達が提供してくださったり、などなど、本当に有難うございました。それら、すべてをご紹介しきれないのが、大変残念なのですが、、、。

たとえば。

これは島の方達から寄付していただいた、靴を材料にしていた南 優さん作品です。

タイトルは「無いコトの存在」

以前は小学校だった会場にはいると、廊下や教室、いたるところがこんなふうに靴が竹で止めてありました。

画像1

靴が壁や天井にくっついていて、足跡のようでもあり、また、竹から「通せんぼ」されてるようでもあり、ユーモラスで、面白かったです。

それから、
戸野倉あゆみさんの作品、というか、インスタレイションでもありますが。

学校の保健室だったところを研究所に見立てるというもの。

黒島と白い島の研究所

大島というところは火山でできているので、砂が黒いんです。それに比較して、近くの新島は砂が白い。その二つの土の比較を研究し、文化の検証をするという仮想空間。土をゴリゴリと擦って、パウダー状にして、作品に使っていました。


そして、もうひとつ。
「これぞ、地域密着型!!」
だと感じられたアートパフォーマンスをご紹介したいです。

この会場になった(今はもう学校としては機能していないのだが、)この学校の用務員さんという役を会期中ずっと、やり続ける。。。

なんだかタイムスリップしたような??不思議な現実と時間を超えたシュールな演劇?

用務員さんとは、今の若い方はご存知ないかもしれませんが、ウィキには。

1980年代前半までは、学校用務員が校舎内の専用室や学校構内の一角に設置された住居で、住み込みで働くのが一般的だった。その場合、学校用務員の本人だけではなく、家族(あるいは夫婦)単位で住む例も多かった。施設の管理や小規模な営繕、学校内で出るごみの焼却処理などの他、深夜の校舎の巡回、忘れ物を取りに来た幼児・児童・生徒や保護者への対応も行った。しかし、機械警備が普及したため、かつてのような住み込みの学校用務員は、公立の学校ではほぼ完全に姿を消している。私立校でもごくわずかに見られる程度である。

旧制度では使丁(してい)・給仕と称された。俗に「小使い」「小使いさん」などと呼ばれたが、現在では「差別的」であるとされ使われない。

と、ありました。

昭和生まれの私の年代ですと、小学校の時には、用務員さんがいて、生徒から、「ようむいんのおいちゃん」って呼ばれてて、それなりに存在感がありました。

いつも学校にいる大人で、何かあったら、判断を仰ぐと、ちゃんと「こうしたら?」と教えてくれる。「先生」ではないので、「怒ったりしない」ので、気軽に話かけたりしていた。子供といっしょに遊ぶ事はありませんでしたが、その用務員さんは、部活のソフトボールのコーチも兼ねていて、娘さんがピッチャーで、ものすごい剛腕のスピード投手でした。

そして、学校の校舎の一部に家族全員で住んでいたので、なんかちょっと、普通の家庭とちがって、楽しそう見えた。。。。笑

当時の学校の運営システムでは大事な存在であったにちがいないですが、、ウィキにもあったように、今ではもうなくなり、警備会社がその役割を引き継いでいるんですね。


で、今回。つまりこのアートフェスの会期中、この学校内で、今はいない用務員さんを復活させるというテーマのパフォーマンス?演劇?てな訳です。

これをやったのは、古川守一さんというアーティスト。

ヘッドクォーターはもちろんここです。笑

画像2

古川用務員さん登場の図!!

画像4


スケジュール表が、書いてあって、毎日、何をするかを表示している。

よくみたら、お茶の時間が長い!笑


近くの喫茶店で、たい焼きを食べている用務員さん

画像5

普段は、上の黒板のスケジュール表のとおり、会場の掃除をしたり、草むしりをしたりしていました。

会期中、約一ヶ月。。。毎日休まずに、欠勤なし。。。。でした。

画像3


彼の用務員室が私の作業場の校長室のおとなりだったので、

質問があると、昔のように、何かと、用務員さんにお尋ねしました。

どんな質問にも、ほとんどのことは、すぐ答えてくれました。笑


御礼に麦わら帽子にでかいシャネルの偽ロゴを作ってさしあげました。笑

(ちょっとよく見えませんが)

画像6
画像32

ちゃんと写真にしてなかったおかげで、今のところ、本社からは苦情なし。笑



さて、いよいよ、自分のお話ですが、地域密着のファッションショー

題して、

伊豆大島コレクション2015!


島のテーマ、島にある素材、もしくは、この時周りにあるもので、いらないものを服として復活させたものです。

場所は、もちろん、

学校の体育館!!


モデルは島のボランティアの方や、そこにいたアーティスト達。

そして、音響や照明はキッドアイラックというパフォーマンスのグループが手伝ってくれました。

音楽はマックのガレージバンドにはいっていたもともとのリズムトラックに都はるみの「あんこぉー」ってのをサンプリングしたものを自分で作ったのですが、現在は、その部分だけ著作権にひっかかって、消されています。とほほ。当時はこういう問題は今ほど、厳しくなかったのでした。。。。。


それでは。いつもの写真レポートで、報告いたしましょう。

最初から順番にいきますと。。。。。

まず。。。。。

先ほど作品をご紹介した、アーティストの南さんはサックス奏者でもあるというのが、わかって、、、、早速、出演を即興オーダー!!


まずはランウェイにて、サックスの怪しげな即興演奏から〜。

画像7


そして、そんな官能的なサックス演奏にあわせて、これまた、先ほどの用務員の古川さんが登場し、、、、

まずは、ランウェイの掃除!!


画像8


そして、ボランティアの娘さんがお手玉しながら現れたのち。。。。

最初の服はこれです。

まずは、前回もお見せしましたが、校庭の松ぼっくりを拾ってきて作った松ぼっくりドレス。

モデルはk.a.n.aちゃん。彼女はダンサーなので、ポーズがキマッてて、かっこよかったです。

そして、ライトの影がすごく効果的でした。

画像9


学校の周りに生えている草で作ったドレス

画像12


同じく、雑草のサンプル見本のようなスリップ

画像10


フィッティングの時に撮影

画像11


こちらは、メンズ仕様。モデルは島にお住まいの峯尾さん。

画像13
画像14


それから、アーティストの手塚さんが使っていた、マスキング用のシートがいらないっていうので、もらってきた。

画像15


ガムテープの部分などそのまま、残して、デザインしてみた。


画像16

モデルは島に住んで島でカフェをやっているという美人のお母さん、金森さんと娘さん。


ショーではこんなかんじ。モデルはアーティストの尾形さん。後でみんなからイケてると言われてました。笑

画像17
画像20

そしてアーティストのバル・スミス

画像18
画像19



それから、みんなが合宿で寝ていた「かやテント」を着用物としてみたらどうなるか?

フィッティング中のこのモデルは、モデル体型のアーティストの戸野倉あゆみさん 

画像21


本番での、緒方さん、アゲイン!

画像22


先ほどの金森さん、親子。ライティングも素敵です。

画像23

母と子で、入ると、まるで繭のよう??

画像24



そしてこれは、ちょっとわかりにくいのですが、

伊豆大島の地図が、木枠にはってあるのですが、

表と裏の間に隙間があって、そこの体を滑り込ませて、着てもらってます。着用可能のオブジェ?

画像25



画像27
画像27



これは島の雨水を集めて、小さいビニールにいれて、

画像28

雨水コレクションをして、それを舞台用の木枠に吊るし、


その延長として、モデルの戸野倉さんのドレスにも雨水を着装してもらっい、ランウェイではその木枠ごと歩いてもらった。

画像29
画像32


画像30

これも、ライティングのおかげで、モデルが動くと、ビニールが揺れて綺麗でした〜!! 早川さん、素敵な照明を有難うございました。



これで、伊豆大島報告は終わりです。

画像33

滞在が3週間の間、このファッションショーと作品の制作、展示とで、ものすごく忙しかったですが、大変貴重な経験をさせていただきました。

いろいろと手配してくださった、キュレーターの高田さんに、心から感謝いたします!


では、また次回!

L*


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?