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【ホテル業界分析】#2 ホテル椿山荘


前回の記事を読んでいない方は
予備知識としてはじめに運営方式についての記事をぜひ読んでください~!


そのなかでも今回は所有直営方式を深堀りしていきます~!
こんな堅苦しい単語でわかりづらいので「ホテル椿山荘東京」を勝手に分析しながら説明していきます。


1.【おさらい】所有直営方式の特徴

復習です。
所有直営方式とは??

ホテル運営会社がホテルの建物と土地を所有し、運営も行っている方式。つまりひとつの会社が「所有」「経営」「運営」のすべての責任を負っています。特徴は豊富な資金力があること社会的信用があることです。

2.ホテル椿山荘 東京

「ホテル椿山荘 東京」は目白にある老舗ホテルです。東京都とは思えない広大な日本庭園があり、コロナ以前はお庭を自由に散策することができました。庭園演出のひとつである雲海のニュースを見たことがあるひとも多いのではないでしょうか?


ホテル椿山荘東京概要
設立年月日:1955年11月7日
客室数:267
宴会場:38
挙式場:6
レストラン:9

ざっとわかりやすい数字を並べてみましたが、ホテルの規模が大きいことはわかっていただけましたか??
結婚式場が6つもあるホテルは日本でもすごく珍しいです。

このように知名度もあり、規模も大きいホテルが所有直営で運営を行っていることが多いです。


3.椿山荘の歴史

椿山荘の歴史は古いです。驚くほど古いです。

椿山荘の運営会社「藤田観光株式会社」の起源はなんと1869年創業の藤田伝三郎商社まで遡ります。

この会社は鉱山事業へ進出するなど、大正初期には大手財閥を肩を並べるほど成長しました。そこから不動産業、鉄道業、観光業に分離独立した「藤田観光株式会社」が誕生しました。

現在椿山荘がある場所は昔、椿が自生する「つばきやま」と呼ばれる土地で、山縣有朋が私財で購入して「椿山荘」と名付けたそうです。

一部の特権階級が所有していた別荘や邸宅を大衆の憩いの場として活用することが、これからの経営者が進むべき社会的事業であると考え、当時は既に財界で主導的地位を築いていた藤田家が山縣有朋から受け継いだ土地や建物を活用し「椿山荘」を開業しました。

つまり大正・昭和時代から確立された社会的信用は十分にあり、
財閥ということから資本力もあります。

参考:


3.藤田観光株式会社の事業

ホテル椿山荘を運営する藤田観光株式会社は現在3つの事業形態を持っています。

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1.WHG事業
こちらは所有直営方式とは異なる、フランチャイズ方式でのホテル事業です。ビジネスホテル「ワシントンホテル」、観光のニーズにこたえる「ホテルグレイスリー」などがありホテル数は全国に34個展開しています。フランチャイズなのでそれぞれのホテルは藤田観光株式会社の本社とは別の人が所有・運営していますが、ブランドや経営・運営ノウハウは椿山荘と同じものです。


2.ラグジュアリー・バンケット事業
ホテル椿山荘東京をはじめとする、婚礼・宴会施設やラグジュアリーホテル、ゴルフ場などを運営する事業です。


3.リゾート事業
「箱根小涌園 天悠(てんゆう)」、「箱根小涌園ユネッサン」をはじめとする旅館、リゾートホテル、グランピング、レジャー施設などを運営する事業です。

これからの分析でこの事業はそれぞれの強み弱みを補っていたりします。

3.SWOT分析

実際に椿山荘(所有直営方式)の分析をしてまいります!

強み(Strength)
何度も言っていますが、椿山荘には既に強力なブランド力と知名度があるので社会的信用は揺らぎません。これは会議や接待、婚礼の会場として椿山荘が選ばれたり、毎年同じ時期に来るリピーターさんがいたり、ゲスト側に深く根付いた存在になっています。社会的信用があることは、金融機関からの融資を受けやすいという強みもあります。

また、ホテル椿山荘のような歴史ある建物に多いのが、建物の増築や改築です。この場合も所有直営方式であれば、流行やニーズに合わせて建物の工事もできます。つまり大きな投資を伴う意思決定がスムーズにできます。

例えば、コロナ渦で売り上げが低迷した藤田観光株式会社は大阪に保有している「太閤園」という宴会場を売却することを発表しました。これによって特別利益329億円を2021年1~3月期決算で計上できます。このような会社の救済策も太閤園を所有直営していたからなのです。


弱み(Weakness)
所有・運営・経営が一体となっていて、すべてをひとつの法人、もしくは個人で担う経営体系です。言い換えると、単独経営なので売り上げが低迷すれば収入も連動して下がります。比較的リスクが高い運営方式になります。

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機会(Opportunity)

新規事業を始めやすいです。運営や経営をまとめて藤田観光株式会社が行っているため、ノウハウが既にあります。ホテル・旅館業やリゾート事業だけでなく、ラグジュアリー・バンケット事業(ブライダルなど)を手掛けることができます。

脅威(Threat)
ホテル椿山荘の強みは信用があることだと先ほども書きましたが、信用は諸刃の剣でもあります。例えば、食中毒などのスキャンダルが出たり、ホスピタリティの観点でおもてなしでゲストを満足させてあげられないだけで、不満の声はあっという間に広がります。

また、競合の存在もあります。東京都内のラグジュアリーホテルは競合になるので、日本のホテル御三家(ホテルオークラ、帝国ホテル、ホテルニューオータニ)や雅叙園東京など多くの名門ホテルがあります。


4.競合分析:帝国ホテル

こちらは思ったより長くなってしまったので下記のnoteにてお伝えします!

以上、ホテル椿山荘東京を分析してみました。

椿山荘の古すぎる歴史やIRから見るコロナによる影響が思ったより激しいことなどを学ぶことができました。投資家目線やゲスト目線、ホテル運営目線での分析ももっと盛り込んでいこうと思います。


長い文章をここまで読んでいただき、ありがとうございました。
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