【ホテル業界分析】#6 AMAN RESORTS
今回は前回の星野リゾート分析の続きとして、同じホテル運営会社の競合であるAMAN RESORTSを分析していきます🖊
AMAN RESORTSとは??
1988年にAdrian Zecha氏によって設立されたAman resorts。
彼は当初タイのプーケットに別荘を建てようと物件を探していました。しかしそこで、別荘だと使っていない期間の管理が大変だからという理由でリゾートホテルに変更しようというアイデアが浮かんだそうです。そこからAMAN RESORTSが誕生しました。
最初のコンセプトはスモールラグジュアリーホテル。今でこそ、客室数が少ないラグジュアリーホテルは数多くあります。しかし当時は部屋数が少なすぎるという理由で銀行からの融資がおりず、自己資金を投じて作ったそうです。
そこからAdrian Zecha氏が会長とCEOを解任されたり復帰したり、インドの不動産会社が支配権を買収したりと様々なことが起こりましたが、2000年からAMANはカンボジア、インド、ブータン、スリランカ、カリブ海に進出したりと徐々に大きくなっていきました。
現在日本にあるのはAMAN東京、AMAN京都、伊勢志摩にあるアマネムの3つです。が、開業予定のニセコや近日公開予定の東京にできるアマンレジデンスが増えます(((o(*゚▽゚*)o)))
AMANのホテルはほとんどが50部屋以内のスモールラグジュアリーホテル。基本的にゲスト1組につき、4人のスタッフがつくそうです。。。!!
私がAMAN東京のアフタヌーンティーに行った時も感じたのですが、レセプションデスクがないそうです。ロビーやベルボーイも置いていないそう。。
宿泊施設は通常プライベートヴィラやパビリオン、テントで提供され、多くの場合プライベートプールや屋外のラウンジがあります。
世界のAMAN
AMANは東京のホテルが有名(だと感じている)ですが、もともとはインドネシア在住のAdrian Zecha氏が創業したリゾート。なので、日本はたったの3つしかありませんが、海外には35個(開業予定含め)も施設があります。
Amanpuri(タイ、プーケット)
その中でも最初に創業したのがタイのプーケットにあるAmanpuri(アマンプリ)。ビーチに面したココナッツ畑の跡地にあり、「禅」のスタイルとタイの伝統様式を掛け合わせたアジアンラグジュアリーなdesignのホテルです。
左がパビリオンタイプ、右がヴィラタイプのお部屋。
現在は残念ながらコロナの影響で休業していますが、2021年の7月1日に再度オープンする予定です。予約直前までいってみると、Amanpuriに2人で1泊するためには約10万円かかるそうです。😵
Amangiri(アメリカ)
グランド・ステアケース・エスカランテ国立公園の南側にあるAmangiriでは砂漠の風景の中で、モダンなスイートルームやキャンプ・サリカ(Amanのグランピング施設)のテント式パビリオンに滞在できます。HPを見ても圧巻の風景で映画のなかに飛び込んだようです。。。
秘境に泊まりたいならココですね😙
キャンプ・サリカは砂漠でのグランピングではありますが、スパや温水プールも完備しているそうです。隣接されているAmangiriにはジムやスパ、図書館まであります。。!
Amanzoe(ギリシャ)
ビーチに面したペロポネソス半島にあるAmanzoe。Aman東京や、Aman京都、Amanemuの建築を担当したKelly Hill氏ではなく、Edward Turtlle氏が建築を担当しました。彼はAmanpuri(タイ、プーケット)の建築も担当しています!Amanpuriはタイの様式を取り入れたヴィラが多かったのですが、今回はまったくコンセプトが異なっている石造りの建物。
ギリシャの神殿をモデルにしたホテルがこちら。。。
ギリシャの海が良く見える土地に、周りはラベンダーとオリーブの木に囲まれた素敵な空間です。天国みたい。。
ビーチからクルージングやアイランドホッピング、マリンスポーツを楽しむこともできるそうです!
世界のAMANを知らべてみて感じたのは、自然や文化を尊重したホテルを創っているということです。ビーチに面した丘にはその土地をいかしてヴィラを建てたり、ユネスコ世界遺産に登録されている街にAmanが溶け込んでいたりします。
現地の文化を楽しむもよし、自然を体験しに行くもよしですね^^
中国雲南省にあるAmandayan
ところで、なぜAmanは1988年創業と比較的最近誕生したリゾートブランドであるにも関わらず、こんなに世界中にホテルをつくることができているのでしょうか。
次は分析をしていきます!
SWOT分析
Strength(強み)
Amanresortsの強みは「アマンジャンキー」と呼ばれるAmanのビジネスの50%を占めるリピーターのお客様です。Amanは広告も出さず、料金を下げることもなく、お得なロイヤルティプログラムもありません。客室数が少なく、ベーシックなお部屋で平均約15万円、ヴィラタイプの部屋ではさらに高い金額がかかります。また、稼働率も30~40%らしく、このレベルのラグジュアリーホテルではかなり低い水準になっています。ですが、Tom HanksやMark Zuckerbergなど世界の富豪たちがAmanの熱狂的なファンだそうです。
Amanにリピーターのお客様や熱狂的なファンが付く理由は、禅のホスピタリティとホテルスタッフの「イエスサービス」(勝手に命名)だと思います。
1つ目の「禅のホスピタリティ」とは、足し算よりも引き算を重視する部分です。Amanの建築を見ていると、非常にシンプルなデザインが多いように思います。アメニティや必要な家電がシームレスに隠されていたりする工夫が人気のひとつですね!
2つ目の「イエスサービス」(もき命名)は、ゲストのどんな要望に対してもイエスと言ってきたAmanのおもてなしが人気だと思いました。
調べると、ゲストを飛行機に間に合わせるために法定速度ギリギリで送迎する、記念日記念のワインを忘れてしまったので母国まで取りに行く、雪が見たいといったゲストに対して雪を降らせる車を10台チャーターするなど様々なエピソードがでてきました。
それ以外にも同じ国のホテル間では、あなたがいつ昼食をとりたいか、前回の滞在時にリクエストした枕の種類、コーヒーの飲み方、さらには交際ステータスなどの情報がファイルとして共有されているそうです。
ちょっとこれらの例は極端かもしれませんが、こんなにもゲスト第1で考えていたらリピーターが多くなるのも頷けます。。
Weakness(弱み)
価格が高価で顧客基盤が限られているといった弱みがあります。富裕層でない人にとってはハネムーンや記念日で訪れるようなホテルです。また、広告やプロモーションにかけている予算が限られているために、顧客基盤を拡大できていないことも弱みになります。
また、世界中に展開しているAman resortsならではの弱みとしては、辺鄙な土地にホテルがあることです。先に述べたAmangiriは砂漠にありますし、フィリピンにあるAmanpuloに至っては、7000もの島の中のひとつをホテルにしたもので、200人のAmanpuloホテルスタッフも島内に暮らしているそうです。仕事とプライベートを完全に分けることができなかったり、不便な生活をすることにおいて、スタッフのストレスが高まると生産性もサービスの質も低くなってしまう恐れがあります。
Opportunities(機会)
SNSの普及とコロナ渦による旅行スタイルの変化は良い機会になるのではないかな~と思います!
1つ目のSNSの普及については、Aman resortはInstagramアカウントを使用して多くのフォロワーを獲得しているため、広告やプロモーションに予算を割く必要があまりないことです。また、Amanに訪れた人々の投稿にAman公式アカウントや場所のタグ付けが行われるため、Aman resortsは何もしなくてもホテルの評判が広がることになります。
最近ではYouTubeなどで、誰でも気軽にAmanの宿泊体験を視聴することができるので、既存の顧客基盤は広がり、認知度もUPすると思います。
2つ目のコロナ渦の旅行スタイルの変化はAman resortsのゲストを増やすことになると考えます。なぜなら、これまでは観光重視の旅行が多く、ホテルの役割は安くて寝るところがあればそれでよいといった考えが基本だったように思えます。しかしコロナの影響により、だんだんとおこもりステイが主流になってきました。週末に少しだけ良いホテルに泊まる、観光目的ではなく、特別にリゾートホテルに泊まって非日常を感じたいなどです。
実際にInstagramの投稿では、ハネムーンやプロポーズ、記念日にAman東京を利用しているゲストが増えたように思います。
Threats(脅威)
ホスピタリティに定評があることや、リピーターが多いという強みを考えると、やはり星野リゾートが競合として考えられます。ターゲットを富裕層に設定している部分が非常に似ています。星野リゾートはこれから日本ならではのおもてなしの文化を海外に発展させていくでしょう、、!
また星のやバリのように建築様式にもこだわっていると、建築デザインで評判を集めているAmanにとっては大きな脅威になります。
空中に浮いているかのようなジャングルの上のカフェ
部屋と部屋を繋ぐ運河をイメージしたプール
星のやは現在バリと台湾のグーグァンにあります。Amanのほうは既にヨーロッパやアメリカに進出しているので、海外展開の面では優勢になります。ですが、星野リゾートがこれからぐんぐん成長して「星のやパリ」とかできたらどんなサービスをするんだろう??とわくわくしました。
逆にAmanも森ビルと提携して、2023年に虎ノ門に「Amanレジデンス」という独立型レジデンス専用物件を初めてオープンしたり、Amanの姉妹ブランドであるジャヌ東京が日本初進出したり、さらに規模を広げていきます。
Amanと星野リゾート2つの成長を同時にみていきたいなと思いました。
おわりに
ここまで、長くなってしまいましたが、星野リゾートの競合としてのAman resortsの紹介と世界のホテル、SWOT分析をしました。世界各地にあるAmanや、そのサービスのエピソードについて調べると、星野リゾート全体の競合というよりは星野リゾートの中の「星のや」のブランドに似ていると感じました。
しかし、星のや以外のブランド(リゾナーレとかOMOとか)が海外展開するとなると競合は別のホテルブランドになるんだな~と理解したのでもう少しリサーチが必要だな、と思いました。
また、世界各地にあるAMANにくらべ、星野リゾートはまだアジアにしか展開していません。そこで、星野リゾートのブランド別に展開できる地域などを絞っていく必要があります。Amanの場合はラグジュアリーリゾートであるがゆえに、セレブでも非日常感を味わえる文化的建造物や自然の中にホテルを作っているのだと分析からわかりました。
総じて、このnote作って感じたのは海外のホテル調べるの楽しい!!!!です。日本だけにとどまらず、海外ホテルの動向も調べていこうと思いました。(笑)
久しぶりにとてつもなく長いnoteになってしまいました。
ここまで読んでくださった皆さん本当にありがとうございました(泣)
これについても調べてほしい!等ありましたらリクエストお待ちしております^^
最後に!スキ(ハートマーク)を押してくれると泣いて喜びます😍
ありがとうございました~!!
p.s. 次回はホテル投資について書こうかな。。。
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