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【合コンで行こう】コンパな男その2 暴走運転手との合コン

昔、通勤で大変お世話になっていた市バス。まさかその市バスの運転手さんとコンパするなんて思ってもみなかった。バスといえば最近は<次はー>の放送もほとんどコンピューターになっているので少し寂しい・・・あの何とも言えない行先を告げるタイミングでのピンポンを押す勝負が大好きだったんだけどなぁ。

さて、焼き鳥屋の奥の座敷で 5対5の人数で合コンは始まった。女子メンバーは20代後半の最近知り合った アキバ系・ヲタク系とは全く縁遠い健康的なGちゃんとその大学仲間同士。男子は先ほど紹介した、バス運転手3人と、あくまでも自称デザイナーとエンジニアである。一体どんなつながりなんだろう?

席に座った瞬間にすぐにげんなりしてしまった・・・・

うるさい・・・とにかく うるさい・・・

運転手の一人 もう名前もやっぱり忘れちゃったから62系統(バスっぽいでしょ)にしておこう。品川庄治の品川似の62系統が本当によく喋る。他の運転手、仮に57系統と58系統は物静かな人達だった。

<いやーーーあなたが噂の道場長さん!!どーも!どーも!どーも!まあ飲んでよービール?ビール?ビール?>

3回もいわなくていいよ。ちゃんと聞こえるし、それくらい自分で頼むよ。

そしてお次は、

<いやーー57系統さん、58系統さんも喋ってよーそんなんだったら運転手が暗いってイメージじゃないー>

喋らないんじゃなくて、喋れないんです!

かわいそうなお二人さん、<ハハハ>と力の無い笑い。更にはGちゃんと家が近所だとわかるや否や、

<Gちゃーーん ○○知ってる?あそこ美味しいよねー!☆☆知ってる?今度行こうよ~>

Gちゃん、本当はその店を知っていたのだが、あえて<いいえー知らないです・・・>

と うつむきかげんの笑顔でかわしたにもかかわらず、62系統は全くもって停車しない。

<なんだよー知らないのかよーそれじゃ非住民だよーしょうがないなー今度俺が連れて行ってやるよー>

<いやーイイです イイですよー>Gちゃん明らかに嫌がっているのに

<なんだよー照れるなよー>とまだまだスピード上げてどんどん暴走。

さすがのGちゃんも顔は笑ってるが目つきが怒り始めている・・・

<もー嫌がってるんだからーやめなよー>と私が言えば言ったで、

<なんだよー道場長、妬いてるのかよーー困ったなー俺ってやっぱモテてるじゃん!>

いや、違いますから・・・あなたがモテてるのは敬老パスを持った70歳以上の方限定ですから・・・

それでもうるさいから、<じゃあバスのアナウンスやってよー>と他の女子が救いの手を差し伸べてくれた。

品川62系統、待っていましたと言わんばかりに、

<いやーーそれは言えないな~。車庫に電話して俺のバスの時間に合わせて乗ってくれよ。君のためにアナウンスするからさー!>

なんだそりゃ

あなたのためにわざわざ車庫に電話するのか?って言うか車庫に電話って?意味が分からない、そんなことわざわざ聞く人がいるのだろうか?個人情報とかいいのか?と頭の中がぐるぐる、もう私の行先が分からなくなってしまった。

最初は<えーーー聞かせてよーねーねー>とお義理 で言ってはみたものの、<だ・か・らぁー車庫に電話してスケジュール確認しておくれよ>とあまりにもしつこく言うので、<もーいいやー>と言ったら言ったで、<えーーなんだよーそりゃーつれないなーノリ悪いなーー>って、降車拒否される始末。私たちはいったいどこに連れていかれるのだろうか?

ほかのメンバーといったら、圧倒的に62系統にやられっぱなしで、ものすごく静か・・・デザイナーとエンジニアなんて職業と名前だけ言って、焼き鳥をもぐもぐ食べて2人でコソコソ喋るだけ、もはや打ち合わせ状態。57系統も頑張って喋ってくれているのだが、

<あのドラマ見てるー?○○チャンかわいいよねー続き気になるよね!>ってそりゃ昼休みのOLの会話だろー的な、お粗末な話題・・・しかもそのドラマ知らないし。もう一人の58系統はすでに車庫入りしてしまい、完全ストップ状態。

結局、合コンが始まって約3時間半・・・ほとんど品川62系統の暴走バス に乗せられて、行先のわからないバス旅に悪酔いしてしまった私達なのであった。

帰り道、大人しかった57系統がこっそり、<あいつ、普段はあまり車内で喋らないらしいからさー許してね>と逆襲爆弾発言を投下してきた。

普段無口なドライバーさんはいったん走り出したら止まらない・・・・

もし今度バスに乗る時は、どんな人が運転手さんなんだろうとじっくり見てやろうと、こっそり思った私なのであった 。

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