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キャリアを積んだバンドが陥る罠。

ある程度キャリアを積んできたバンドが陥りがちな罠があります。それは新曲をリリースする際に過去の音源を皆んな知ってる前提にしてしまうことです。

あなたのバンドは未だ知られていません。

ブレイクを果たしたバンドであればわかります。多くのファンがいて多くの人が過去の音源を聴いてます。過去の音源を聴いた人に対して少し予想を裏切り「次はこれです」と差し出すのも良いと思います。ただブレイクを果たしたバンドこそ初めてバンドを知る人を対象にしてリリースをします。それを貫いたからこそブレイクを果たせたとも言えます。

バンドを始めた当初は初めて聴く人を対象に新曲を作りリリースしますが、リリースを何度か繰り返すうちにその新鮮な緊張感が薄れてしまいます。今度は新しいことに挑戦してみよう、前とは違った感じの曲想にしよう、深みを持たせるために少し難解にしてみよう、などと余計なことを考える始めます。

音楽的挑戦や実験や変化はシングルのB面に収めてください。アルバムにこっそり忍ばせてください。あなたのバンドを初めて聴いてみたらよくわからなかった、と思われてしまいます。そして1度あなたのバンドの音源を聴いてよく分からなかったらもう2度とあなたのバンドのライブどころか音源も聴きません。ファン候補を失います。

バンドを始めた頃の曲がキャッチーでキラキラしてたのにその後はどんどん地味になっていく、趣味性だけが現出してくる、そんなバンドが後を絶ちません。何度も聴けばわかるような深みのある永く聴いてもらえそうな曲こそを作りたい気持ちはわかります。アーティストとして当然です。そしてレコーディングすることも出来るしライブで演奏することも出来ます。

ただブレイク前のバンドにとって大切なのは何度も聴いて理解できる曲では無くて20秒で理解できる曲です。多くのバンドはそういう曲を、特にバンドを始めたばかりの頃に作ってました。バンドを知って欲しい、曲を知って欲しい、という気持ちが強いからです。そしてその頃作った曲こそあなたの本来の個性が出てます。本質が現れています。そこに変な作為、邪念、例えば、質の高いバンドだと思われたい、難しいことをやってるバンドだと思われたい、趣味が良いバンドだと思われたい、などの余計な感情が介在しません。

バンドを始めたばかりの頃を思い出してください。バンドを、曲を知ってる人が誰もいないと想像してください。そして20秒で良さがわかる曲をリードトラックとして出し続けてください。それをやって初めてブレイクのチャンスが産まれます。

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