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香川 隆登/GOCKO
2021年1月19日 19:36
冒頭から、ガラス越しの風景に重なる葉子の姿の描写が印象的だ。終盤の激しい情景とは打って変わって、このシーンは謎めいた葉子の妖しい魅力が美しく静謐に描かれている。(引用始め)島村は彼女のうちになにか澄んだ冷たさを新しく見つけて、鏡の曇って来るのを拭おうともしなかった。(引用終わり)p.12旅の途中、ガラス越しに写る葉子に不思議な魅力を感じる島村。この時の島村はまだ知らない。葉子が胸に
2021年1月19日 19:18
私は千里眼や予言のような、いわゆるスピリチュアルにまつわるものは信じていない。竜枝の語る、幼少期の荒唐無稽な霊感めいた話は、ただの狂人の戯言か、あるいは彼女が都合良くついた嘘にしか思えなかった。ただ、彼女が語る輪廻転生に関しては、唯一共感するできる事ができた。恋人を亡くした彼女は、物語の始まりから終わりまで、終始ぶっ飛び続けている。その様々な妄想の中でも、"あの世で恋人になるのではなく、この世