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HANZO 売上予測の開発秘話

※2023.2.16 HANZO人件費に名称変更しています。


こんにちは。
株式会社Goalsコーポレートチームです。

Goalsは、食品産業サプライチェーンの課題解決に向けて飲食店舗向けにAIを活用したクラウドサービス「HANZO」シリーズを展開しています。

HANZOシリーズ「HANZO 売上予測」は2022年3月にサービスを開始しました。(プレスリリース

売上データ(POS・予約など)を連携し、AIが45日先までの売上予測を自動で行います。売上予測データを用いたシフト作成の補助機能も有している他、算出データはチェーン店本部に共有され、予算策定や売上目標の設定に活用できます。


HANZO 売上予測画面イメージ


今回は新規プロダクト開発チームに「HANZO 売上予測」の開発秘話をインタビューしました。

左から多田、中田、若林


【新規プロダクト開発チームメンバープロフィール】
CTO兼新規プロダクト開発チームマネージャー 多田 裕介
事業企画・開発企画を担当。顧客のヒアリングから企画立ち上げを担い、チームマネジャーとしてタスク実行スケジュールなど管理も担当。
 
中田 圭哉
企画したプロダクトイメージの実現を担当。
顧客の意図を汲み取るのが早く、ニーズをプロダクトに落とし込むのが得意。高速でプロダクトをリリースするのにかかせない人物。
実はGoals社内で最年長です!
 
若林 佳樹
2022年2月から新規プロダクト開発チームに。
要件定義が得意。顧客のヒアリングからニーズの種を探し、要件定義からソリューションに起こす。本プロダクトではコンセプトから画面の設計を担当。

Q.今回のプロダクト開発に至る経緯を教えてください。

多田 当社は「フードビジネスの利益率とスケーラビリティを最高水準に」というミッションの元、プロダクト開発をしています。そこでまず飲食店向けに、利益率を改善するプロダクト「HANZO」シリーズを提供しており、飲食店のFLコスト※の最適化を目指しています。
※FLコスト:Food(食材費)とLabor(人件費)の合計金額。
一般的に飲食店では売上比で6割を占める最大のコスト。
 
現在食材費へのアプローチには「HANZO 自動発注」(以下、自動発注)や「HANZO メニュー」(以下、メニュー)を既にリリースし、今回人件費へのアプローチとして「HANZO 売上予測」(以下、売上予測)を開発しました。
 
店舗の利益率向上にはFとL、両側面でサポートが必要です。自動発注の基幹機能として売上予測をコア部分に有していたので、人件費の最適化に活用できないかと考えたのが始まりです。実際、顧客から自動発注の売上予測機能をシフト作成にも活用したいという声は多くいただいていました。
 
若林 自動発注で売上予測ロジックの土台を作成したことで、売上予測単体でも広がるサービスになるのではないかと考えたこともきっかけの一つです。
「人件費の改善に向けた機能とは」というテーマからスコープを考え、売上予測から必要な労働時間や人数を算出し、人員配置を適正化するという視点に辿り着きました。
 
多田 その後も顧客ヒアリングを重ね、売上目標や着地予想、シフト作成に活用できそうとの声を多くいただきました。

Q.顧客へのヒアリングは多田さんが中心ですか?

多田 そうですね。人件費への活用目線で45日先の売上予測が算出されているコンセプトの提案をして、最初は「そんなの使えない」と言われることもありました笑

Q.プロダクトのキックオフはいつ頃だったのでしょうか?

多田 2021年10月です。コンセプト決定から半年でリリースしたので開発は順調でした。

Q.どのような意識を持って開発されたのでしょうか?

多田 売上予測に限りませんが、「顧客課題の解決」に視点を置いています。提供する機能やプロダクトは顧客のどんな課題を解決するのか。そこを外すとどんなにUI/UXがよくてもソースが美しくても意味をなしません。あとはその要求がNeedなのかWantなのか。顧客のニーズレベルの見極めも大切です。ヒアリング途中まで「いいじゃない」となっていても「金額としてはこれぐらいになりそうです」と提起すると途端に「いらない」となることも多いです。
 
中田 僕は汎用的なサービスにするため、顧客の業務や課題を深く認識し、広がりを想定して長く使える設計を意識しています。一社で使えた機能も新しい顧客が増えるたびに機能開発をしているといつまでたってもユーザーに開発コストを押し付けることになるので。
 
若林 運用定着まで含めたコンセプト設計にこだわっています。導入の意思決定は本部が多いので、本部が良い、となっても実際に店舗で使い続けてもらうインセンティブがないと定着しません。
 
多田 店舗の導入メリットへの意識は大事にしていますね。また、導入後に店舗で運用がされていないことに気付ける仕組みも用意しました。
 
若林 例えば今回はシフト作成システムではなく、営業に必要な労働時間を提案しシフト作成の参考にしてもらう機能ですが、本部は利用していると思うため、作成されたシフト表が乖離していると疑問がでます。そこで運営側でも利用の確認ができる機能をつけました。

Q.サービスは導入されれば使ってもらえるということではないのですね。

若林 使って欲しいですけどね笑
多田 定着するための壁があることは感じています。

Q.開発にはどんな苦労があったのでしょうか?

中田 顧客の業務を網羅的に把握することが大変でした。
シフト作成は想定しやすそうな業務フローですが、想定からの開発は上手くいかないことも多いので、一次情報を重要視しました。実際に想定と顧客のヒアリング内容は大きく乖離があったので、業務イメージを再構築することに苦労しました。
 
多田 あと開発の佳境が2021年12月〜2022年1月だったんですが、飲食店の繁忙期に入り顧客課題のファクトを一次情報で収集することを重視しているにも関わらず、ヒアリングができませんでした。
今思うと飲食企業にとって年末年始が繁忙期なのは当たり前で、想定力が足りないと感じました笑
 
若林 設計部分では運用定着と関わりますが、シフト作成や人件費の管理は既に店舗で確立している業務で、当たり前ですが顧客によって業務フローが違います。どのユーザーに対してもメリットを出すために、業務フローを抽象化していくつかのパターンに落としこんで設計しました。
私自身は、一からの機能開発経験はなく、コンセプトの”決め”を線引きすることが難しかったです。開発早期からPoCで意見を聞き改善するプロダクトアウトの方法と、コンセプトを当社である程度決めてから提供するマーケットインかの線引きに苦労や不安がありました。
 
多田 リリース後の仕様変更は、全店舗の業務変更に直結するので飲食店向けのサービスでは単純なアジャイルは難しいということもわかってきました。
 
若林 世の中のリーンスタートアップ的な手法で言うと、アジャイルがあって、最近はMVPがありますが、このプロダクトを作っている最中に自分はMVPが向いていると思いました。「これができます」という日本語的な括りの中で、最終的に作れたと感じます。
機能定義群に対して名称を付けて進めていくのがいいのではないかと思い、多田さんにも提案しました。
 
多田 顧客にサービスを見ていただくタイミングも悩みますね。
顧客の声を鵜呑みにアップデートし続けても、いざ販売したら結局不要な機能ばかりで誰も使わないなど、アジャイルのアンチパターンでよく言われています。
逆に、開発者がこれでいける!と思って販売したら実務に全く沿ってないものになっていたというジレンマもよく聞きます。
 
若林 その辺りのジレンマはチームでよく揉んで進めていきますね。
 
多田 若林さんが作成するモックを顧客に提案し、ヒアリングをひたすら行い生の声を収集することを徹底しています。既存顧客はCSが関係性を良好に構築しているので、前向きにヒアリング協力してくれスムーズにコンセプトの裏付けがとれています。

Q.役割分担は決まっているのですか?

多田 はっきりとは決まっていません。チームは少数ですし、現在は個々に裁量が多くあります。

Q.働き方についてはどうでしょうか?

中田 若林さんが計画を立ててくれているので、スムーズでした。リリース前は今後の保守性も考えてSpec(単体テスト)をひたすら書いていましたね。
 
若林 段階別でのスケジュールや、リリースの落とし込みは決めているので、スケジュールに追い込まれる精神的なプレッシャーはありませんでした。
 
中田 またリモートワークが可能なので、運動不足になりますね笑
毎週設定されているチームごとの出社日は自転車で出勤しています。

Q.リモートワークも多いのですね。コミュニケーションはどのようにしていますか?

多田 毎日スクラムをオンラインで行なっています。
 
中田 デイリースクラム後は作業をしますが、相談は随時MTGを密にしています。
 
多田 私はSalesとCSとは常にコミュニケーションをとっています。
顧客フィードバックの収集や、期待値コントロール、価格戦略にも関わってます。価格設定などは顧客と二人三脚で進めることもあるので、顧客への訪問も多いです。
プロダクト担当ががっつり価格の面に携わるのは多分珍しいんですが、顧客メリットを一番把握している自負はあるので、気づいたらマーケットよりの仕事も多くなっています。

Q.今後の展望は

多田 普及を進めて産業全体に提供できる価値を上げていきたいです。人件費・シフトについては利益に対するインパクトが大きく、多少費用が高くてもいいと言ってくれる顧客も多く、期待の大きさを感じます。
 
若林 導入コスト削減の面でも還元していきたいです。そもそも飲食店は普段の業務が多忙なことが多く、導入コストが高いと、システム導入にリソースを割ききれないといったケースもあります。CSが顧客に伴走してサポートしていますが、ある程度顧客が自走できて、SaaSとして自然に普及できるレベルまで落としていきたいです。

Q.Goalsのプロダクト開発に求められるスキルやマインドはありますか?

多田 顧客メリットから逆算して要件定義、開発ができる人はGoalsに向いていますね。
顧客メリットを一番に考えるという判断軸がないと自分の思いだけで開発しがちです。
 
中田 あとは、「なぜなぜ思考」といいますか、自分で要件を掘り下げて考える力は必要です。新規プロダクトは整備されていない部分も多く、手探りの中で自分で舗装しながら進められるのが理想です。また一人で考えすぎずに周りと擦り合わせる協調性も求められます。
そういったマインド・理想で仕事に取り組める人が入社してくれたら嬉しいです。
 
若林 飲食業界は業務の前提の厳しさや業態の多様さなどから、複雑性が高くプロダクト開発が難しいので、技術力もGoalsでは身につけられます。成長していきたいという思いには応えられると思っています。
 
多田 本部と店舗の喜びが相反することも多く、お手軽機能一つでも業務が激変します。利益に直結するので、顧客の要望もシビアです。顧客のコア業務にソリューションを提供するバーティカルSaaSならではの難しさではありますが、メリットを直接的に提供できている感覚があるのでやりがいはあります。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました!
これからもHANZOは進化を続けるため、一緒に成長してくれる方の募集も行っております!
興味を持っていただいた方はカジュアル面談なども行っているので、お気軽にお問合せください!

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