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こんにちは、ゴール・システム・コンサルティング&リ・デザイン研究所です。2021年7月より私たちの会社にジョインする、渡辺薫さんの連載第6回です。また、これからは毎週火曜日に渡辺薫さんの連載を公開していきます。
ぜひ火曜日(の夕方)に私たちのnoteをチェックしてみてください!

これまでの連載は、以下のマガジンからご覧いただけます。

“Focus, Flow & Harmony”は、私が「マネージャーとして自分の組織で実現したいこと」であり、「コンサルタントとして組織の課題を分析する際の最も基本的な着眼点」です。また、いずれ私が独立する際にはブランドもしくは商号として使おうと温めておいたものでもあります。
今回はこの、”Focus, Flow & Harmony”についてお話します。

1,私のTOCの理解です

TOCの開発者である故エリヤフ・ゴールドラット博士は、「TOCを一言でいうとしたら何ですか?」という問いに対して「Focus(集中)」と答えたそうです。また「オペレーションの目的はFlow(流れ)の改善である」ことを強く訴え、講演Videoの中では何度も「フロー―――」と絶叫しています。日本におけるTOCの成果報告を聞いた博士は「Harmony(和)」がTOCの実現する重要な価値であることを改めて認識したとおっしゃられています。

ということで、私はTOCを「Focus, Flow & Harmonyを実現するための実践的な理論と手法」であると、勝手に理解しています。勝手にとは言いましたが「的外れ」とか「間違い」であるとは思っていません。私なりの「表現」である、という意味です。

2,目的(ゴール)を達成するための組織に必要なことです

以下は、私の定義です。

Focus(集中)とは、組織の目的を達成するために必要なことに集中することです。「やること」と「やらないこと」を明確にすること、「やると決めたこと」にリソースを集中することです。
Flow(流れ)が良い状態というのは、組織の目的を達成するための仕事が滞留なく、サクサク進む状態を示しています。仕事のスピードが速いこと(短いリードタイム)や変化への対応がすばやいことも含まれます。
Harmony(和)とは、組織のあらゆる要素の調和です。「人の和」だけではなく「組織、制度、ルール、プロセス等の調和」や「コラボレーションを促す文化や仕組み」等も含みます。

「Focusできてない」「Flowが悪い」「Harmonyが欠如している」は、いずれも組織が目的(ゴール)を達成するうえで、重要な阻害要因になります。そして、それは製品やサービスの種類、ビジネスモデルや組織の性格(営利企業、公共、NPO等)を問わず共通の要素、すなわち「目的(ゴール)の達成のための組成された組織」の全てに求められるものだと、私は考えています。

3,全部つながっている

「まったくFocusできていないのに、Flowは素晴らしい」とか「Harmonyはメタメタだけど、Flowは素晴らしい」というのは、とても考えにくいです。また「Focusできていて、Harmonyも素晴らしいに、仕事のFlowは全然ダメ」とか「Focusできていて、Flowも素晴らしんだけどHarmonyは感じられない」とかというのも信じにくいと思います。

● FocusとHarmonyはFlowの前提条件
● FocusとFlowはHarmonyの前提条件
● FlowとHarmonyはFocusの前提条件
私はそう考えています。(連載の中で詳しく書いていきたいと思います)

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これが、私が”Focus, Flow & Harmony”と、三点セットにしている理由です。
組織の目的(ゴール)達成に向けて”Focus, Flow & Harmony”を改善しようとする場合には、個別に分解して施策を考えるのではなく、このつながりを十分に意識して「好循環」を作ることを目指すべきである。私はそう考えています。

4,課題分析の基本的な着眼点

「組織のFocus, Flow & Harmonyは完璧である」と言い切れる組織は、少なくとも通常の経済活動を行っている営利企業には無いのではないかと思います。少なくとも私は「組織の大多数の構成員が、自信をもってそう言い切る」会社に出会ったことはありません。(そう言い切る経営者やマネージャーは見かけたことがあります)

また、私の経験上、どのような問題・課題であっても、分析していくと、「現在の望ましくない状況(UDE)」の背景・原因にFocus, Flow & Harmonyの要素が含まれますし、ほとんどの良い課題解決策にはFocus, Flow & Harmonyの改善が含まれます。

まだ、理論的に説明できるわけではありませんが、Focus, Flow & Harmonyは組織の課題を分析するうえで、また解決策を考えるうえで、幅広く役に立つ、基本的な着眼点である。私はそう考えています。

渡辺 薫 (わたなべ かおる)
ゴール・システム・コンサルティング株式会社 
チーフ・カスタマーサクセス・オフィサー(CCSO)※2021年7月より就任予定

プロフィール
ハイテク企業でR&D、経営企画、マーケティング等を経験したのち、90年代のデジタルマーケティングの黎明期にはエバンジェリスト&コンサルタントとして活動。その後、外資系ITサービス企業等でITサービスのマーケティング、コンサルティング等に従事し、2010年日立製作所に入社。超上流工程のコンサルティング手法の開発と指導にあたるとともに、日立グループ内でのTOC活用に尽力。2018年からは日立製作所社会イノベーション事業推進本部エグゼクティブSIBストラテジストとして、日立グループのデジタルトランスフォーメーションの戦略策定・実行のサポートと人財育成に注力し2021年3月に退任。
TOCICO認定Jonah(思考プロセス)
TOCICIOからThe TOC Company of the Year を受賞(2018年)
TOCICO理事(2018年~)
日本TOC推進協議会顧問(2018年から2021まで理事長を務める)
(TOCICO=Theory of Constraints International Certificate Organization)

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