バハレイヤ 白砂漠と黒砂漠
【海外写真放浪記】Egypt 5 バハレイヤ 西方砂漠
前回スエズ運河で拘束された僕は、そのままカイロに戻ってきていた。
久しぶりのカイロはゴミゴミとしていて、紅海やシナイ山を回ってきた僕にとっては苦痛に近い場所になってしまっていた。
エジプトに来る前から何となくだけど砂漠が漠然とあるイメージでやって来たけど、広大な砂丘と何処までも広がる砂の大地みたいなものはここまで見ることは出来ていなかった。デューンと呼ばれる砂丘は意外と見るのは難しいのかもしれない。
カイロから砂漠ツアーへ申し込むと西方砂漠のツアーが一般的になる。ナイル河の西側、リビア方面に広がる砂漠地帯を「西方砂漠」と呼び、オアシスを拠点に2−3泊のツアー。
エジプトは国土の90パーセントが砂漠地帯なのだが、世界地図で見てもアフリカの上部、そしてアラビア半島に草木は見当たらない。
ツアーなので、バスに乗り込み先ずは一番近くにあるバハレイアオアシスへと向かうのだが、オアシスとは名ばかりの朽ち果て掛けた街に到着する事となる。
子供の頃から映画のオアシスといえば砂漠の真ん中に湖があって、椰子の木と綺麗なホテルがあって、火を囲みながら生演奏で夕飯のイメージだったはずが、オアシスと言うよりもスラムに近かったのがこのバハレイヤオアシス。
唯一椰子の木だけはあった。
そしてこのオアシスは湖の代わりに温泉が沸いていて、その源泉が町中を巡る様に水路が築かれていた。
温泉が湧くって事は地下水がふんだんな証。
やっぱり来ないと分からないもので、砂漠のオアシスに温泉が沸いているなんて日本にいたら考えもしなかっただろう。
砂漠、椰子の木、温泉、硫黄の匂い、不思議な光景だ。
宿の目の前に水路が来ていて、入れる様になっていたので水着で入ってみたのだがすぐに人集りが出来て全く落ち着いて入れなかった。
大して人も歩いていない様な町で人集りが出来るってことは誰も入らないのだろう。
このオアシスの歴史は古く、旧石器時代に遡る。ベルベル人の独立国家があった程面積自体は広く、行商の中継地としても栄えたらしい。確かにこの周りには何もなく、ただただ荒野が広がっている。今なら幹線道路が来ていてバスで簡単に来られるが、昔の人たちはラクダで移動して来てここで休んでいたのかと思うと少しだけロマンを感じる事ができた。
先ずはこの街の宿で一泊して、ここからはランクルでの移動になる。
砂漠と言えばランクル。
トヨタのランドクルーザーの略で、日本の生産は終了したものの今でも海外の需要が根強くあり海外で作り続けられている名車なのだが、砂漠を走破出来たり、山を分け入ったりと確かに日本での使い道はあまり見込めない。
今でも日本のコアなユーザーの間では人気車種だ。
インド、ネパール、オーストラリア、モロッコ、ニュージーランド、ペルー、アルゼンチン、カナダと至る所でランドクルーザーを見かけて来た。
運転手とその件で盛り上がりながら先ず目指したのは黒砂漠と呼ばれる地帯。
砂漠と一言で言っても色々な砂漠があり、ここは丘クラスの黒い山が風化によって残された面白い砂漠。
この黒さは玄武岩由来でこのバハレイヤオアシス近郊に広がっているのだそう。
どことなくピラミッドに近い形の山がいくつもあるので、もしかしたらピラミッド自体はこうした自然由来の造形物だったんじゃないかと考えたりしながらいくつか登って景色を見ていた。
玄武岩を近くで見るとこんな感じ。
一つを登るのに15分程度で登りきれてしまう。
玄武岩自体は火山由来なはずなので、侵食でこの山が形成されたとしたら山の周りが侵食されて出来たのだろうか?
そうだとしたら途方もない年月が掛かるはずだ。
次に訪れたのがクリスタルマウンテン。
名前の通り、丘全体がクリスタルで覆われていて、光の角度によってキラキラと輝いているこれまた不思議な場所。
クリスタルと言っても透明度は低く、学名的には方解石(カルサイト)と言うそう。こんな塊が至る所に落ちている。
記念にいくつか拾った筈なんだけど、どこ行ったかな。
そして最後に訪れたのが白砂漠。黒砂漠とは対照的に真っ白な石灰岩が多く残っていて、侵食の仕方も下が削れていくので至る所に奇岩がゴロゴロと並んで残っている。
数十キロ離れただけで砂漠の景色が代わり、砂漠の概念を変えてくれた西方砂漠。
期待していなかった分割と楽しめたと思う。実は各オアシスに歴史的壁画や遺跡なども多く残っているのでそちらも一見の価値があると思うので是非訪れてみて欲しい。
帰りはバハレイヤオアシスへと戻り、もう一泊してまたカイロへと戻るのだけど、この後カナダで働く予定だった僕のビザが書類不備で通らず結局色々あってオーストラリアで働く事になる。
丁度この頃、日本を出発してから半年近く過ぎていて海外で働く事も考えたら資金の心配もあったので、取り敢えずタイへ行く事に。
エジプトからタイへはサーチャージ込みで2万円の格安航空券をゲット出来、久しぶりの豚肉に心踊らせながらバンコクへと向かうのである。
次回 Thailand バンコク1
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