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【経営と子育て】ストックパフォーマンスとフローパフォーマンスについて

コンサルタントとして仕事をしたり、中年パパとして子育てをしたりしている中で共通点がいろいろと見えてくることがあります。

今回は、会計的なストックとフローという視点と人の成長についてつなげて考えてみたいと思います。
これは、常々なんとなく思っていたことですがこの機会に改めて整理してみたいと思います。


ストックとフローの考え方

ストックとフローという表現があります。
ストックは積みあがっていくもの、そしてフローはその期間だけのもの、というイメージです。

財務諸表に当てはめて考えると、ストックは貸借対照表BSです。フローが損益計算書やキャッシュフロー計算書など一定期間におけるパフォーマンスを示すものです。
貸借対照表にある純資産は、会社が設立して積み重ねてきたものの積み重ねです。積み重ねたものは、損益計算書の利益部分です(厳密にはいろいろありますが、ここでは割愛します)。

人間のパフォーマンスにも、それが累積的効果として示されるパフォーマンスと、その時点だけのパフォーマンスで図られるものとがあると思います。

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ストックパフォーマンスとフローパフォーマンス

累積的効果で示されるパフォーマンスについてはストックパフォーマンス

その時点だけのパフォーマンスだから得るものとはフローパフォーマンスと呼んでみます。

ストックパフォーマンスについては、今までの積み重ねによってパフォーマンスを発揮するものです。例えば我々コンサルタントの仕事などはこのストックパフォーマンスに該当する部分が多く存在します。経験や知識を積み重ねることによって、パフォーマンスは確実に向上していきます。

そしてフローパフォーマンスで言えば、わかりやすい例で言うと100メートル走です。これは今までの積み重ねがどの程度のものであったとしても100メートルを走っているときのパフォーマンスが全てです。

フローの要素・・・身体能力や思考能力などのその場でのパフォーマンスによるもの

ストック要素・・・知識や技術、思考の蓄積、仕組みやフォーマットなど積み上げによるもの


今取り組んでいることが、どの程度のストックパフォーマンスとフローパフォーマンスの割合が求められるものなのかということを認識しておくことは生産性の向上や、人材育成の観点からも効果的だと思うのです。



人の成長とストック・フロー パフォーマンスについて

このストック的なパフォーマンス・フローパフォーマンスを人の成長に当てはめて考えてみたいと思います。

先ほどの100メートル走に当てはめるとわかりやすいですが、フローパフォーマンスであるほど才能に依拠する部分が大きいことになるでしょう。

ただ、100メートル走はすべてフローパフォーマンスかというとそのようなことはなく、一部ストックパフォーマンスが含まれています。ただ、その構成要素は大きくないです。

一方で、私の以前の職業でもある税理士業務(ほんの数年程度ですが)については、その業務のほとんどがストックパフォーマンスによって構成されているといってもよいと思います。経験と知識の蓄積によって業務のパフォーマンスが決まってしまうような感じです。

また、現在の仕事である経営コンサルタントの仕事はというと、その半分程度が経験や知識などのストックパフォーマンスで、半分程度はその場その場での状況判断などのフローパフォーマンスと言えるかもしれません。

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フローパフォーマンス次第でトータルのパフォーマンスがブレるのが100メートル走や(ある程度)コンサル業務などで、税理士業務については体調などのコンディションがまともであれば、同じ人の仕事は再現性が非常に高いと言えるでしょう。


■パフォーマンスの伸びしろ(成長余地)について

人の伸びしろには2つあるのではないか、と考えています。それは、

・「ストック化余地」・・・フローパフォーマンスと思われているもののうち、仕組み化や再現性が高められる部分

・「フロー改善余地」・・・フローパフォーマンスそのものの水準を高める(身体能力や思考力の強化等)

です。


■ストック化余地について ⇒ 再現性・生産性の向上

例えば、上記の図に対して、「ストック化余地」を検討してみると、以下のようになります。(イメージ)

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100M走においては、身体能力だけが全てではなく「かけっこ教室」などで教えてくれるような技術や知識を学ぶことによって再現性を高められ、結果としてトータルのパフォーマンスを安定・向上させてくれるのではないかと思います。

また、コンサル業務についても、もっと仕組み化など再現性を高める余地はあるのだと思いますし、その再現性が高まれば仕事の質も上がり、かつ効率も上がるものと思います。

例えば、このように自身の考えをアウトプットとしてまとめることも、フローでしか捕まえられていなかった自分自身の思考を顕在化させることによるストック化であると言えます。

ストック化できるものは、仕組み化できるともいえます。仕組み化できるものは、他の人にも伝えられたり、かつ、システムに代替させることも可能になるものもあるでしょう。

ストック化によりパフォーマンスを上げることについては、年齢に関係なく積み上げていくことが可能です。

ポイントは、ストック化によるパフォーマンス向上余地に気付けるかどうか、また、そのストック化の取り組みを行う気力があるかどうかです。

伸ばせる余地がある部分についての適切な努力は、特にストック化の努力が多いように思います。


■フロー向上余地 ⇒ その場のパフォーマンス力の向上

一方で、フロー向上余地について見てみましょう。ストック化余地については知識や仕組み化などの積み上げで再現性や生産性を上げていくのに対して、フロー向上余地とは身体能力や思考力の向上など、その場のフローパフォーマンスそのものの向上を指しています。

以下の図にあるのが、例えば子供と大人(中年以上)の差のイメージです。

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子供であれば、サッカーなどのスポーツをするにしてもフローパフォーマンスそのものが向上する余地が大いにあります。足が速くなったり体格が良くなったり、ですね。また、勉強においても同じです。子供は思考力の向上の余地がとてもあります。子供のフローパフォーマンスの向上は、フローパフォーマンスを上げるための知識や技術などの習得により加速度的に向上することもあります

サッカーなどのスポーツにおいては、大人のフローパフォーマンスの向上余地は多くはないでしょうが、知識や技術を構築することによってフローパフォーマンスについても多少の改善が可能な余地もあるでしょう。

一方で、勉強や仕事などの思考力や発想力などについてのパフォーマンスは大人になっても向上する余地は多分にあると考えています。(現に私自身もまだフローパフォーマンスの向上ができていると認識しています。強がりかもしれませんが。。)

少なくとも子供について、フローパフォーマンスを見ただけで成長余地について拙速な判断をするのはやめたほうがよいでしょう。


いい大人の成長について

例えばサッカーのパフォーマンスについてと、経営者やコンサルタントとしての仕事については成熟期が違うということもあり、いい大人としては、サッカー的なフローパフォーマンスの構成比が高い仕事をしていると勝てなくなってくるということです。

サッカー選手のピークは20代後半と言われています。中には30代になっても圧倒的なパフォーマンスを示す選手もいますが、さすがに40歳50歳になってパフォーマンスを示せるサッカー選手と言うのはあまりいません。(キングカズさんを除いて!)

私は40歳を超えた中年の大人ですが、今に至ってもスポーツでのパフォーマンスをあげたいと思っています。(フットサル)ただこの年齢になって上がるパフォーマンスと言うのはどちらかと言うとストックパフォーマンスの方だと思います。

フローパフォーマンスにおいて言えば、どこまでいっても100メートル走で若い人に勝つことなどは難しいわけです。
それでも、フットサルなど若者に負けずにがんばりたいし勝ちたいと思う今日この頃なのですが。。


■ストック要素の維持・向上と時間配分

人生長いこと生きてくると、すべてのストックパフォーマンス要素のメンテナンスに時間を使えなくなるのでどのストックパフォーマンスの維持・向上に時間を費やすかを決めなければなりません

若い人よりもたくさんの時間をトレーニングや持久走などにあてれば、若い人たちの中でも上位に食い込むようなパフォーマンスを維持できるかもしれません。ただ、それでは若い人の本当に優れた人たちには勝てません。

一方でコンサルティングや、その他の知識や知恵のストックが生きる仕事であれば、若い人たちには負けないパフォーマンスが発揮できます
それは結局、今までの積み重ねがストックとして生きてきてそのストックをパフォーマンスに生かせるからです。

昨今、若者の方がパフォーマンスの高いく発揮している分野はITやAI関係だったりします。この部分については、残念ながらおじさんたちにストックの蓄積ができない新しい分野であるということです。

このようにストック蓄積が通用しない分野は分が悪いと言えます。また、例えば単純な税務申告業務などの知識や技術などのストック要素については、AIによって代替されることで陳腐化されるリスクがあります。

ストック化はすなわち仕組み化や共有化ができる知識・ノウハウであるため競争激化による陳腐化やシステム化などのリスクに晒されていると言えます。

いい大人が、これからの世の中で活躍するためにはストックとして積み上げてきたパフォーマンス向上余地を活かしていく必要があります。強みの発揮できる特殊性や希少性があるストックパフォーマンスとフローパフォーマンスの総合力で勝負することで力を発揮するポジションを築き上げる戦略性が必要です。

人も会社と同じで、世の中に貢献をするためには自分自身のストックとフローのパフォーマンスを駆使して、お客様や働く仲間に選ばれなければならないということでもあります。



才能の壁を感じるのは早すぎないか?

子育てにおいても、我々中年以上の世代においても言えることですが、才能の壁を勝手に作らないことが大切であると思うのです。

何事にも才能といって切り捨てるのが早いのは、物事にフローパフォーマンスの要素を多く見積りすぎているのかもしれないと考えることが大切ではないでしょうか。
冷静に捉えれば、フローから、ストック型、再現性のある取り組みを高められるストック化余地があることがほとんどです。

人の成長は、物事の中に冷静にストック性を見出して積み重ねられるかということにあるようにも思います。子供の場合には、そのフロー性を伸ばすストック性によって一気にフローパフォーマンスが花開くことも期待できます。

論理的思考能力などは、フローパフォーマンスの際たるもののように思いますが、実は技術や知識の積み上げと実践の積み重ねによるストック要素の大きいパフォーマンスです。

それを「地頭」という言葉を多用して、あたかもフロー型が全てという印象を与えることによって、入り口のハードルを無駄に上げているように思います。

もちろん、思考力にも上には上がいます。ただ、フローパフォーマンスが求められるほどの論理的思考能力は、そもそも普通にビジネスをする上では相手に伝わらないのでそれほど重要ではないとも言えます。


まとめ

・特に子供の才能を早く見限らない!いい大人も成長をあきらめる必要はない

・パフォーマンスには、ストックパフォーマンス(積み上げ型)、フローパフォーマンス(一定期間内)がある

・フローパフォーマンスと思われているものの中にストック要素があり、それが人の成長や生産性向上のポイントになる

・経営における人材育成や子育てにおいても、フローパフォーマンス(=才能)部分と学習可能なストック要素を見極めることが大切 ⇒強みを活かす

・ストック化余地(人の成長余地)を甘く見ない ⇒フローパフォーマンスの向上につながるものもある

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