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【ものづくり現場でドラッガー編1:マネジメントとは】


上記、トヨタ生産方式/TOC編が終了し、今回から三本目のマガジンとなります。本マガジンでは、ドラッガーの「マネジメント」について、ものづくり現場目線で対話方式を使って解説していきます。この本はだれもが知っている古典であり名著といったところですね。しかしながら、、なかなか難しい本です・・。
 ものがたりは、前マガジンのトヨタ生産方式/TOC編から1年が経過したという設定です。紫耀(ショウ)は、去年トヨタ生産方式とTOCを組み合わせで現場改善に成功し、主任として日々活躍している様子です。そんなとき、ある夕方、ショウは工場の食堂に、健(タケル)を呼び出します。ショウの隣に、別の課で働く同期の雄大がいました。悩みを抱えているとのことです。今回マガジンは彼が主人公です。

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新たなものがたり

🧒;タケル先輩。こんにちは。すみません。急に呼び出してしまって。

👱🏼‍;ショウ、久しぶり。元気かい?なかなか同じ工場でも会わないね。というか、聞いたよ。去年工場長表彰をもらったんだって?

🧒‍;はい。実際、倫也課長のリーダーシップがすさまじく、正直ついていくのがやっとといったところでしたが、何とか生産の遅延もなくなり、在庫が減ってスループットが増えたことで、業績もよくなりました。継続して改善は実施していますが。

👱🏼‍;それはすごいね。元気そうにやっているじゃないか。ところで今日はどうしたんだ?

🧒‍;なんとか、、ですけどね。あ、紹介します。課は違うんですが、同期の雄大です。実は今日はこいつがちょっとタケルさんと話をしたいって言ってて。

👶;こんにちは、雄大といいます。ショウとは入社の時から仲良くしてもらっていて、タケルさんの5Sの話やリードタイム改善の話は聞かせてもらっていました。

👱🏼‍;そうなんだ。で、話って?

👶;実は、タケルさんにちょっと相談させてもらいたいことがあって。

👱🏼‍;おお、どうした、どうした?

👶;いま、正直、俺自分が主任している現場のマネジメントができていないんです

👱🏼‍;マネジメント?マネジメントができていないとは?

👶:チームがばらばらというか、業績や歩留、リードタイム等成績が悪いのもあるのですが、その以前に皆のモチベーションが低く、私自身も鼓舞できておらず。。。何とかしなきゃとは思っているのですがなかなか一歩が踏み出せなくて、悩んでいます。

👱🏼‍;そうか、、大変だな・・。いきなり現場管理って、なかなか上手くいかないことあるよな・・。

👶:実は、ショウからタケルさんの話を聞いていて、俺も指導してもらいたいなと思っていました。唐突で本当に恐縮なんですが、僕にマネジメントを教えてもらえないでしょうか?

👱🏼‍;むむ?うーん。マネジメントを教えるということは難しいと思うけども、解説しながら実践をサポートしていくことはできるかもしれない。君にやる気があれば。

👶;やる気あります。同期に負けないで成長したいです。

ドラッガーはもう読まれない?

👱🏼‍;そうか、では分かった。やっていこう。でも、そもそも、マネジメントってなんだい?マネジメントって言葉はすごく難しい言葉だよね。

👶:管理ではないですか?すみません。特に深く考えないでマネジメントといっていました。

👱🏼‍;いやいや、謝る必要はない。でも、まずマネジメントとは何かということ、自分がどんな役割を果たせばいいかということを勉強していくことから始めてもいいかもしれないね。ちなみにマネジメントはウィキペディアには“物事や一定の事務を管轄し取り仕切ることである”としか書いてない。では、P・F ドラッガーという人は知っているかい?

👶;すみません。わからないです。

👱🏼‍;世界で最も有名な経営学者といっても過言ではないだろう。マネジメントの父とも言われている。もちろんたくさんの本を出していて、その中でも“マネジメント”という本が最も有名だ。この本は、これから管理者を目指すのであれば理解しなければならない必読書だ。なおドラッガーは「マネジメントとは、人の強みを生かして組織の成果につなげること」としているよ。

👶:そうなのですか・・。知らなかったです。

👱🏼‍;この本は1973年に初版がでて、いまだに多くのビジネスマンに読まれている本なんだ。具体的には下記のような章立てになっている。

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日本の読者へ
まえがき - なぜ組織が必要なのか

 序 - 新たな挑戦

 Part1 マネジメントの使命(マネジメントの役割)
  第1章 企業の成果
  第2章 公的機関の成果
  第3章 仕事と人間
  第4章 社会的責任
 
Part2 マネジメントの方法(マネジメントの必要性)
  第5章 マネジャー
  第6章 マネジメントの技能
  第7章 マネジメントの組織
    
Part3 マネジメントの戦略
  第8章 トップマネジメント
     
  第9章 マネジメントの戦略
  結 論 
  付 章 マネジメントのパラダイムが変わった

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大まかにいうと、パート1ではマネジメントとは何か、どんな役割を担うのかを記載し、パート2でマネジメントしていくにはどのような難しさがあって、何をしなければならないかが記載されてる。そして、パート3で実例を記載しているといったところだ。要約は、倉沢建設株式会社さんのweb ページが素晴らしいまとめをされている。ちなみに俺も昔、本を買って全部読み、自分のノートにまとめたよ。


👶:すごいですね。50年近く経った今でも読まれているんですね。マネジメントというのは年月が経っても変わらないテクニックみたいなものがあるのですね。

👱🏼‍:いや、それはちがうんだ。本の本質はテクニカルなところではない。実際テクニカルな部分というのは、時代とともに変わっていくし、実はすでにテクニカルな経営学を求めるアメリカの経営学者はドラッガーの本はもう読まないともいわれているんだ。早稲田MBA准教授の入山先生の著書にあるよ。だからと言って役に立たないというわけではなく、いまだに多くのビジネスマンが参考にしている。

👶:一番大事なのは、テクニカルな部分ではないのですね。もちろん、基本は抑えられるとしてですが。

👱🏼‍;そうだ。ドラッガーの本とほかの経営学の本との違いは、人間的な部分にあるんだ。そして、これは言葉では表現しにくいことなんだ。例えばドラッガーの有名な言葉に、

 「人は弱い。悲しいほどに弱い」
 「マネージャーに必要なのは才能ではない。真摯さである。」

という言葉があるんだけど、なんというか経営学ではなくて、お坊さんの説教みたいでじゃない?

👶;は、はい。ちょっとしっくりとこないです。

👱🏼‍:こういう表現がいくつもあるのよ。だから、単純にドラッガーのマネジメントを読むだけでしっくり中身が入ってくるという人は非常に少ないと思う。単純に覚えるという意味で、覚えている人は多いと思うけども。少なくとも俺は自分でまとめてみてもイマイチだった。だから自分でストーリー性をもって読んで、かつ実践していく必要がある

👶;それって、結構大変では。。

👱🏼‍;そうだ。そこでだ、もう一つの本がある。テクニックを説明しながら、ドラッガーの言葉をものがたりを使って表現した本があるんだ。それが、2009年に発売された岩崎夏海氏による「もしドラ」だ。たぶん、ものがたりを使ってしか、ドラッガーが伝えたいことを感じてもらうことはできないと思う。

👶:え?、”もしもし、ドラえもん”ですか?

👱🏼‍;ちがう。「もし高校野球のマネージャーがドラッガーの「マネジメント」を読んだら」という本だ。この本は、ある女子高生が野球部のマネージャーになってチームを強くして甲子園を目指すという内容なんだが、場面場面でドラッガーの言葉を用いてマネジメントの本質を教えてくれる。その本の骨子を参考にして、製造現場でのマネジメント実践を解説していくよ、その内容を君が実践し、フィードバックしていくようにしていこうと思う。

👶:ぜひ、よろしくお願いします。内容は違いますが、ショウが5Sの勉強をした時と同じですね。

👱🏼‍;そう。じゃあ、来週月曜日朝からだ、6:30に食堂集合。がんばっていこう。

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今回のマガジンではドラッガーのマネジメントについて説明していきたいと思います。マネジメントはタケル先輩が言った通り学術書のようになっており非常にわかりにくいのと、読み手に感性および経験がないとドラッガーが伝えたい人間の本質のような部分が伝わりにくいと思います。その問題を解決した「もしドラ」のように、ものづくりの現場目線での活用方法を対話形式で連載していきます。どうぞよろしくお願いします。

次の投稿は下記です。

なお、今回は下記を参考に投稿をしております。

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