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【要約①】働く女性と労働法(著:東京都)

 こちらを紹介します。働く女性と労働法 2022年度版。
 東京都のHPから章毎に見ることが出来ます。

 ※全文はこちら→

https://www.hataraku.metro.tokyo.lg.jp/shiryo/hatarakujosei2022.00-zenbun.pdf

 私は法律を学んだことがありません。素人として読んで、学んだことをまとめます。

本冊子の目的

 少子高齢社会において活力ある社会を実現していくためには、女性の就業 継続と能力発揮が図られるとともに、公正な処遇と家庭と仕事の両立が可能な就業環境の整備が、極めて重要です。労働者が働きやすい職場づくりの一助となるよう、働く女 性はもとより男性や労働組合、事業主の皆様にもご活用いただければ幸いです。

はじめに

働く女性の現状

 令和2年(2020年)の統計において、女性の労働力人子うは3,044万人。そのうち女性の雇用者は女性就業者全体の91.1%で、働く女性の大部分は「雇われる働き方(雇用労働)」をしている。
 雇用労働における女性の現状を見ると3つの問題がある。

 ① 男女間に処遇や賃金の格差があること
 ② 女性労働者が非正規化していること
 ③ 男性と女性の勤続年数に格差があること

働く女性に関する法

 雇用労働(雇われる働き方)には労働法が適用される。働く女性の労働法は下記。

①男女雇用機会均等法(1986年施行)
 雇用の入り口から出口までの男女平等を定める法律。令和元年(2019年)の改正では、労働者がセクハラに関する相談を行ったことを理由ととして、その労働者に不利益な扱いをすることが禁止された。 

②女性活躍推進法(2016年施行)
 常時301人以上の労働者を使用する民間事業主を対象として、民間企業に女性活躍推進の計画と実子を義務付ける法律。役職を占める女性の数が少ない場合のポジティブ・アクションを認めたり、女性活躍推進の優良企業である「えるぼし」認定を設けている。2019年に改正され、義務の対象が101人以上の民間企業となる。また、女性活躍に関する情報公開が強化された。

③労働基準法
 人を雇う側が守らなければいけない最低の労働条件を定める。この中では女性労働基準規則というものがあり、現在は妊産婦の保護を中心とした規定を置いている。全女性労働者に対して生殖機能への有害物質が発散する場所での就業禁止を拡大している。

④育児休業法(1992年施行)、育児・介護休業法
 すべての事業主に適応される。育児休暇・育児中の看護休暇等の取得方法や、育児休業に関するハラスメントの相談をしたことによる不利益な扱いをすることが禁止されている。

⑤次世代育成支援対策推進法
 仕事と育児の両立をはかる法律。令和7年(2025年)3月31日までの時限立法。プラチナくるみん、トライくるみん等の認定が定められる。令和4年(2022年)4月からは、不妊治療と仕事との両立に関する認定制度も創設された。

⑥パートタイム労働法、労働契約法、労働者派遣法
 非正規雇用に関する法律。同じ企業の中で、正規雇用と非正規雇用の間であらゆる待遇に関して不合理な待遇差を設けることが禁止されている。

この冊子を読まれる方へ

この冊子の特徴、
①法律の解釈の基準として、女子差別撤廃条約をはじめとする世界共通の理念を明 らかにしている
②法律の細則を一緒に記載することで法律の全体像が把握できるようにしてある
③関連する主な判例についてふれることで、裁判所の考え方も理解できるようにしている(判例付)
④困った時の相談窓口などを最後に掲載

1.女性労働権の意義

1-1.憲法

該当する条項は下記。

  13条「個人の尊重」
  14条「法の下の平等」
  25条「生存権」
  27条「労働の権利」

 13条と14条は日本国憲法の人権保障の基本的原理。13条は、すべての人が個人として尊重されることをうたっている。14条は、すべての人が性別により差別されないと定めている。かつては、「男は仕事、女は家庭」というような性別役割分業に基づく「平等論」が根強く、女性は男性に扶養されるのだから、結婚したら退職させても(定年を早くしても)差別ではないと主張されたりしていた。
 27条は、すべての人に労働の権利を保障し、労働条件に関する基準を法律で定めるとするが、その基準は健康で 文化的な生活を営めるものでなければならない。つまり、一人ひとりの女性が差別されずに、自ら健康で文化的な生活を営める労働条件の下で働き、自らの生活を維持していけることを基本的人権として保障している。

1-2.女子差別撤廃条約

 女子差別撤廃条約は「世界時の女性の憲法」とも言われる。1979年に国連総会で採択され、1985年に日本も批准。1975年は国際女性年。女子差別撤廃条約は、締約国に女子差別を禁止する立法や措置を義務付けているため、日本はこれに批准した年(1985年)に男女雇用機会均等法を制定した。
 
 

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