むーちゃんの事②

むーちゃんが3歳になる前の3月に私達家族は転勤で横浜に引越しした。
引っ越しして半年は私は仕事をせず子育てに専念した。9月からは幼稚園のプレクラスで週に2回通いそしてそのままそこの幼稚園の年少に上がった。プレからのお友達もいてそれは楽しく通っていた。
むーちゃんが通った幼稚園はとても恵まれた環境で、広大で裏山には自然の森の地形を活かしたアスレチック並の遊具があり、畑には果物や野菜が実り、庭には鯉やニワトリなどが飼育されていた。園児達はそんな環境のなか自由に駆け回り毎日体操服がドロドロになって帰って来てた。そして園児数も県内有数だったと思う。一学年9~11クラスあり、1クラスあたり34~5人はいた。なので全園児合わせると1000人近くいたと社思う。
むーちゃんは一人っ子、色々な子ども達触れ合って物怖じしない社交的な子に育って欲しいという私のいたって勝手な願いもあり、敢えてマンモス幼稚園を選んだのだ。お陰でむーちゃんは迎えに行くといつも沢山のお友達と走り回って遊んでいた。
「新しいお友達出来たんだね!なんて名前のお友達?」
「え~と…○○組の… 名前忘れちゃった!」
「wwwそっかぁ」
なんてやり取りがしょっちゅうだった。
私は子供は小学生まではしっかり身体を動かすのがダイで、ひらがなや数などは自分がそうだったように月齢が上がれば自然と自分から興味を示し、そのうち身につくだろうと思い、学習系の事は殆どやらせなかった。ただ、文字に関しては早いうちから始めた。なので年少の冬にダンボールに書かれた「ながいも」という文字が読めた。それを見てすっかり安心しきっていた。
反対に数に関しては少し不安があった。
幼児向けの教材を少しやった時のことだ。そのページにはクマやウサギ、キツネやリスといったイラストが並んで、ウサギは前から何番目?クマは後ろから何番目?という質問に答える問題だった。
むーちゃんは答えられなかった。前から何番目、後ろから何番目が分からない。
私はもう一度ゆっくり説明して、問題の解き方もやってみせた。けどむーちゃんは正解とは全然違う動物を指さした。
今度はもっとシンプルな問にしてみた。
クマさんが一番前だとするとクマさんの次は誰?確かそんな感じだったと思う。
これはさすがに正解出来るはず。
しかしむーちゃんは正解出来なかった。そもそも、〜の次、〜の前という事の意味を理解してないみたいだった。
そしてもう一つ。例えば1,2,3,4…と10までの数を一緒に教材を見ながら数えたとする。その後に「2の次は何?」
と聞く。これも答えられなかったのだ。
むーちゃんは数の概念が圧倒的に弱かったのだ。
でも私は、すごく不安を感じたけれど、
まだ年少だし…と、自分自身を納得させて、これもまた時間が経てば理解出来るだろうと勝手に思ってしまった。
そう思いたかったんだと思う。

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