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博士がゆく 第43話「大学院に誘われました①」

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カーテンから漏れてくる明かりがまぶしくて目を覚ました。

時計を確認すると朝の10時だ。やっぱり自分のベッドが1番だな。

一昨日の夜に学会から帰ってきた博士(ひろし)は疲労と睡眠不足が重なり、昨日は土曜日にもかかわらず何もすることができなかった。

今日は研究室に行って、簡単に月曜日の準備をしなくてはならない。別に午後から行ってもいいのだが、せっかく目が覚めたし早く終わらせて今日もゆっくりしよう。

支度をすませて外に出ると、涼しい風が肌に心地いい。8月もおわり、ようやく涼しくなってきた。

結局、学会期間中に”彼女”と再会することはできなかった。名前と所属研究室だけでも聞いていれば大学で会うこともできたのだろうが…。博士は、彼女の勢いに負けて、あの時一言も発することができなかったことをすこし恥じた。

お互いに最初のセッションで発表する以上、あの場でゆっくり話していることもできなかったしな。そうやって、誰に聞かれたわけでもないのに言い訳してみる。

まずはバックパックを自分の机に置こうと学生室に入った博士は違和感を覚えた。自分の机が妙に片付いている気がする。そして見知らぬペン立て…。

このペン立てをよく見てみると、人形を飾れそうなスペースが用意されている。おそらく想定されている人形のサイズはこぶし大…。アイツだな。

「やぁ、ひろし君。おかえり!新しいペン立ては気に入ってくれたかい?」

「やっぱりお前か!」

(つづく)

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