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博士がゆく 第38話「はじめての学会発表-発表編」

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それでは本編をどうぞ。
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発表当日の朝。博士(ひろし)は入学式のために両親に買ってもらってスーツに3年半ぶりにそでを通す。久しぶりのスーツ姿は全然パッとしないし、朝から腹の調子もずっと悪い。文句を言っても急にスーツが似合う男にはなれないし、腹のキリキリもおさまらないだろう。

「すぅー。はぁー。」

すこしでも緊張が和らぐことを祈って深呼吸をしてみても、慣れないホテルの空気が胸に入ってくるだけだ。もしかしたら、これが出張というやつなのかもしれない。昨日の夜にチェックインしてホテルに入室した際には胸がときめいたものの、そのときめきは一晩で消え失せた。

博士は緊張と、知らない部屋の空気感のせいでほとんど眠れずに学会発表当日の朝を迎えることになってしまったからだ。

「さて、行くか」

博士の発表はセッションの1番手だ。指導教員にも、当日は学会登録も済まさなければならないから発表時間より1時間前には会場に到着するように言われていた。

学会登録が何のことだかわからないが、1時間前についておくに越したことはなさそうだ。幸い寝坊の心配をする必要はない。

ホテルを出発して学会会場までは歩いて20分ほど。その間も発表の暗唱を欠かさない。

学会1週間前に改めて指導教員にプレゼンテーションを見てもらい、直すべきところを指摘された。それを2日かけて修正してからは、ひたすら発表練習を重ねたから台本は完ぺきだ。

10分の発表の暗唱を2度繰り返せば目的地の大学に到着する。大学構内のいたるところに学会会場への標識が立っているので迷わず会場に向かう。受付
で学会登録をしなくてはならない。

学会会場に入ると参加者であふれていた。特に受付の人だかりがすごい。これが1時間前には学会会場についておくべき理由か。

博士は受付の列に並んで自分の番を待つ。5分も待たずに自分の番だ。コンビニの順番待ちより早いかもしれない。

「今日発表するものなのですが…」

と言うと受付の人に名前を聞かれ、自分の名前が記入されたネームプレートを渡された。これで学会への登録は完了だ。

次はスライドデータの提出か…。

(つづく)

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