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#この経験に学べ
鶏から!鶏から!鶏から!
――本を三冊買う、という楽しみかたの方針を、現在の僕は確定されたものとして持っている。
これは、最近読んだエッセイの冒頭部分を抜き出したものである。書き手は、作家の片岡義男。その独特の言い回しに、あるいはピンときたひともいるかもしれない。
この文章のツボは、ひとことで言うと「本を買う」ことにではなく、本を「三冊」買うということに目をつけたところにある。じっさい、片岡義男のエッセイというと、こう
パンがなければケーキを食べればいいじゃん
新宿まで眼鏡を作りにいって、家に財布を忘れてきたことに気づいたのだった。
そこそこ長く生きてきたけれど、財布を忘れて出かけるのはこれが初めて。気づいたとき、慌てるよりも先にまず驚いてしまったのは、財布を忘れるということにかんしてはなぜか自分は大丈夫という変な確信があったからだ。
それにしても、恐ろしいのは「刷り込み」である。
そのとき、よりによって頭の中に流れたのはサザエさんのテーマソングだ