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【イギリス】10歳くらいの白人の女の子から、差別を受けて思ったこと

だいすきなミュージカルが復活した。
ロックダウンを乗り越え、ようやく公演が再開。
ずっとその日を楽しみにしていた。
なのに、近くに座っていたイギリス人の10歳くらいの女の子と母親の差別的な態度によって、最悪な日にされてしまった。

「最近はイギリスでの日本人(アジア人)差別は少ない」は本当なのか?

イギリスに長く住んでいる日本人に話をきくと、今はだいぶ差別がなくなってきたよ、という。
私は、あからさまなアジア人への差別を受けたことは、めったにない。
めったにないとはいえ、あるのが事実。

人から聞いたものも含めると
・イギリス人(白人)だらけのウェディングパーティーに参加したら、会話中、自分(日本人)だけ存在していないような態度をとられた
・道を歩いていたらツバを吐きかけられた
・道を歩いていてニイハオと絡まれる
・ハロウィンパーティーで、アジア人はこのキャラクターの服装はできないといわれる
・顔を見てコロナと叫ばれる
・アジア人だとわかると、内見を断られた
などなど

今回は、幼い差別主義者からの攻撃ということもあり、かなりショックが大きかった。
そして、思い出す。差別を受けた側はいつだって屈辱的だ。

幼い少女と母親からどんな差別を受けたか

劇場でミュージカルを見るために席につこうとしたところで、近くに座っていたイギリス人の白人の女の子が、突然ブチギレてどなりつけてきた。
おそらく10歳くらいの子で、母親と来ていた。

女の子がわめく内容を要約すると、
・自分たちが購入したチケットは、もっと舞台が見えにくい、別の席である
・空いている席があると思って、親子で勝手に移動した
・私が空いている席の持ち主だと思い、「おまえがきたせいで私たちがまた舞台見にくくなるじゃねえか、ひどい」

私の席はさらに中心の方の見やすい席で、空席とはなんら関係ない。
それに買ってない席なら座るなよ。
なんで私がいきなり知らない女児にブチギレられなきゃいけないの?

いきなりヒステリックにキレ出した女の子は、マナーを重んじるイギリス社会からしたら、お育ちがそのていどなのだろう。
赤の他人にF**kとどなりつける女の子を注意しない母親も、まちがっても上流階級じゃないでしょう。
英語圏でF wordをだれかにいったり、中指立てたりするのが
どのくらいやばいかと言うと、相手に殴り返されてもおかしくないくらい、侮蔑的な言動なわけで。

結局、私が女の子の支離滅裂な主張の意味がわからず「は?」ってききかえすと
母親は「いいから、いいから」と娘のヒステリーをなだめるだけだった。
2人とも、私に対する無礼な態度への謝罪は何もなし。

正直、公共の場でいきなり赤の他人(しかも子供)にどなりつけられて、私はパニック状態だった。
ネイティブ相手に英語で喧嘩できるほど流暢じゃない。
仮に、簡単にできる対応として、私がF**k youって言ったり中指立てたりして、女の子と同レベルの反撃をしたら、
きっと母親がうまく「うちの幼い娘がいきなりアジア人に暴言を吐かれた」という方向にもっていくんだろうなと思った。

そのときは何もできずに、ミュージカルの1部が始まった。
始まってから、正直、何も楽しめない。
頭に入ってこない。

なんで私が小さい女の子にいきなり暴言はかれなきゃいけないの?
なんで母親は止めに入らないの?
私が白人ならそんな無礼な態度をとらなかっただろう。
私がアジア人だから、母親は娘の非礼を注意もせず、謝りなさいとも言わないんだろう。
アジア人に無礼をはたらいても、謝る必要なしと考えているのが透けて見える。

イギリスの白人による、差別主義者の教育・躾が今まさに目の前で行われたのがショックだった。
母親がそういう思想だから、とうぜん10歳の娘もそのように育っているのがはっきり見て取れた。

彼女たちに言ってやりたい言葉が、いくつもいくつも浮かんだ。
「私が白人でもあなたはそういうこと言うの?」
「私に謝らなくていいと思ってるのはなぜなの?」
こんなとっさの英会話なんて習っていない。
絶妙な返しができなかったのが悔しい。

彼女たちの態度はdisgasting、反吐が出そうだったし、poor little racist、あわれな幼い差別主義者だねと思った。

差別的態度をとられて私がとった行動

私にはまったく非がないし、そもそも購入した席より良いところに、勝手に座っている親子がおかしい。
泣き寝入りはしたくなかったので、ミュージカル2部が始まる前の休憩時間に、私は劇場のマネージャーに事実を報告することにした。

スタッフとマネージャーが私からヒアリングすると、今度は裏でマネージャーがその白人親子にヒアリングをしているようだった。(私はその現場を見ていないので、マネージャーがちゃんと対応したのかを知らない。後述の結果からすると、話したとは思えない)

マネージャーは私に「あの親子の前を通って席につくのは不快でしょうから、あなたが席を移ることをお勧めします」と提案してきた。
ソールドアウトしているので、チケットを購入したけど当日来なかった人の空いてる席なら座れるとのこと。

結果、私が自分が購入した席よりもっと見にくい席に移動することに。
あの親子はたぶん、チケットの再確認もされず、自分たちが買った席より良いところで、ミュージカルを楽しんだことだろう。

なんだこれ?クレイジー親子だけが得をしておわり?

2部だってほとんど楽しめずに終わってしまった。
鑑賞中に、悔しくて何度も涙がこみあげてきた。

終始、劇場のスタッフのEmmaが私を気遣い、勇気づけてくれた。
「私にも似たような経験があるよ。あなたは何も悪くないし、もっとこうすればよかったなんて考える必要はないからね」
「せめて後半は楽しめるといいね」
「コロナでソーシャルディスタンスが…でもいっか、ハグさせて」

Emmaは私と同じように、母国からイギリスに移住してきた組で、これまでにいろんな辛い経験があったのかもしれない。
劇場を出るときに、何度もハグして励ましてくれた。

また差別を受けることがあったら

今回の私の体験は、白人→東アジア人に対する、言葉の暴力だった。
差別は言葉、態度、視線、物理的な暴力、人種、性別、ジェンダー、職業、階級、地域などさまざま。
みんな、差別を受けたらどんな反応を返してきたのだろう。
やり場のない屈辱と悲しみ、言い返せないくやしさを抱えて、どうやって乗り越えようとしているんだろう。

差別を受けたら、私は絶対に差別してきた人と同レベルになりたくない。
だから言葉や物理的な暴力では反撃しないようにしたい。
そうか、そうか、つまり君はそんなやつなんだな。
と冷静に、差別してきた人を見据えてやる。
絶対にヘラヘラ笑ってごまかすことだけはしたくない。

今回、しかるべきところにエスカレーションできたのは本当によかった。
イギリスに来たばかりの頃だったら、自分の正しさを主張できなかったから、成長したね自分と褒めてあげたい。

イギリス人に差別を受けたらイギリスが嫌いになるの?

一部のイギリス人に差別を受けたからと言って、「イギリスがきらい」「イギリス人がきらい」にはなっていない。
差別してくる人単体をみて、いやだなとか問題があるなとは思うけれど。
もちろん中にはいい人もいるし、国が私を差別しているわけではないから、まだ愛着はある。

人種差別だけじゃなく、いろいろな差別と悩み苦しみ悲しみ闘うみんな、私たちは善き人と仲良くして生きていこうね。

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