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大義と情理をもった破壊者であれ:Galapagos Supporters Book③(後編)

株式会社ガラパゴス

シリーズAで累計13億円の資金を調達したAIR Designのガラパゴス。
そこには株主や顧問、社外取締役という形でガラパゴスを支える、たくさんの支援者の存在があります。
ガラパゴス・サポーターズブックでは、そのような外部の支援者と、ガラパゴス代表・中平の対談を通して、ガラパゴスとAIR Designの魅力をお伝えしていきます。

本記事は、シリーズ第三弾・ローランド・ベルガー日本法人の会長を歴任された遠藤功さんとの対談記事の後編です。前編については、以下よりご笑覧ください。

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個人商店から脱却するための経営マインド

中平:遠藤さんもローランド・ベルガー日本法人の立ち上げの際、ある意味ではスタートアップをご経験されたと思います。当時から経営者としての意識というのは確立していたんですか?

遠藤:ほとんどゼロの状態からローランド・ベルガーを東京に進出させたんだけど、「このままだとぼくの個人商店で終わるな」と感じるタイミングがあったんだよね。売上が10億、社員が30~40人程に成長はしていたけれど、やはりもっともっと存在感のある会社にしなければいけない、と。外からも新しい血を入れて、大きくなっていく組織をどのようにしたら円滑に回せるのかという、コーディネーター側にまわろうと少しずつ意識を変えていきました。

中平:なるほど。例えば大企業を変革してドラスティックに変えていくような、コンサルティングの現場仕事って楽しいじゃないですか。それを捨てなきゃいけないと。

遠藤:そうだね。会社のステータスが上がって次のステージに行くためには、経営者である自分自身がどこかで変わらなくちゃいけないよね。

中平:そうでなければ会社の知名度も上がらないし、優秀な人も採用できないですもんね。

遠藤:既存の社員と衝突するかもしれないけど、マネージャーレベルの人間をもっと採用しようとか、レベルの高いチームをちゃんとつくろうとか。発想を転換していくことで、共感してくれる人が集まった。そこからは大きく成長していって、面白かったですよ。

中平:それがなかったら今のローランド・ベルガーの規模はないということですね。

遠藤:はい、ないです。

中平:社長が楽しいことを独り占めせずに(笑)現場に任せていくと。

遠藤:そうそう。やっぱり個人商店は自分の裁量で人が動くし楽しいんだよね。でもそれをやるために立ち上げたわけじゃないと思い直した。ローランド・ベルガー氏(ドイツ現地法人であり同社創業者)と相談した際も「もうひと皮向けないとだめだ」という話があって。グループはすでに3,000人くらいの規模で、全世界で大きくなっていたから。それを創り上げた彼自身の目から見れば、個人商店レベルの会社では全然満足してくれないんだよね。

「遠藤商店ではなくローランド・ベルガーなんだから、もっとダイナミックにいこうよ」と。当時三年かけて黒字化していたんだけれど、「赤字にしてでも良い人間を採用しなさい、それは先行投資だから」と言ってくれました。彼はコンサルタントでもあるけど経営者でもあって、どちらかというと起業家精神が強いんです。それぞれの国で起業して、グローバルレベルでそれを束ねてきたので。僕からするとせっかく黒字化したのに赤字覚悟はちょっと…って感じだったんだけど(笑)気にするな、どんどんやれって煽ってくる。彼の影響は大きかったですね。

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海外でも通用するケイパビリティの証明

中平:ローランド・ベルガーではドイツでやっていたことを日本に輸入しましたよね。ガラパゴスではAIR Designを日本から輸出したいんです。これは勝手に使命だと思っていて、日本のお家芸である製造業であれば世界で勝負できる。僕たちはデザイン領域の製造業として、輸出をして広げていきたい。

遠藤:まずはアジアに展開したいよね。アジアはカイゼンや見える化の考え方も含めて、欧米より理解してくれる余地がすごくある。ガラパゴスのビジネスモデルを現地にカスタマイズしながら、各国に新しい風を吹かせてもらいたいね。あとは現地に想いを共有できる分身を見つけること。日本は早く仲間たちに任せて、中平さんには全世界を遊びまわってもらえたら。

中平:分身。ベルガー氏にとっての遠藤さんのような存在ですね。楽しそうです。

遠藤:日本の新興企業の海外進出はなかなか難しいところではあるけどね。

中平:ケイパビリティ(競争優位性のある強み)で勝負できない分野で戦っているからだと思うんですよね。自動車も白物家電も、結局そこで勝負してブランドになった。そう考えるとやっぱり製造業であれば戦える気がします。僕たちはモノサシを創ろうと言っていて、デザインにおける品質のモノサシ、それとデザイナーを評価するためのモノサシ。この二つが今全くないので。テクノロジーによって測ることができるモノサシを創りたい。それができたら国内はもちろん海外でも通用すると思ってます。

遠藤:どこの国でもデザイナーって人気がある仕事だと思うけど、皆が一人前になってお金を稼ぐイメージは持ちにくいかもしれないね。

中平:そうなんですよね。例えば自分の子供が医者や弁護士になりたいと言ったら、お金はかかるものの「いいじゃんやれやれ」ってなるじゃないですか。それがデザイナーになりたいと言ったら、いいじゃんと思う一方で、稼げるかどうか少し不安になるかもしれない。僕はそれをなくしたい。

遠藤:そこを変えていくのは大きな国際貢献だね。

中平:はい、SDGs案件だと思っています。どれだけ持続可能な仕組みにしていくかが大事ですね。

遠藤:まずは日本で証明して見せたいね。デザイナーの給与や価値が上がっていくというような。その成功モデルを導入したいという海外の企業も出てくるだろうし。

中平:十分に戦える自信はあります。困難があることも分かっているので、それをどう乗り越えていくかって感じですね。

遠藤:ガラパゴスは若くて有能な人が集まっているから期待してます。人に恵まれているよね。

中平:本当にそうなんです。こんなにも優秀なメンバーが集まってくれていることに驚いています。

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日本に必要なのはイノベーターよりもディスラプター

遠藤:みんな魅力を感じてきているよね。日本では珍しいディスラプター(破壊して刷新する存在)だから。ある意味既存の業界やビジネスモデルをぶっ壊しに行っているわけじゃないですか。いろんな業界が岩盤的に凝り固まっていて、ガチガチなのが日本の閉塞感の理由だと僕は思う。イノベーターはたくさんいるんですよ。SONYも任天堂もユニクロもそう。この存在はもちろん大事だけど、もっとディスラプターが出てこないと日本はよくならないよね。

中平:ディスラプターとしての自覚はありますね。ただ、敵を作りながら破壊していくというより、ビジネスを大きくすることによって、結果として自然に壊れていく状態を目指したいです。

遠藤:結局お客さんに選ばれることで壊れていくからね。選択肢の無い市場に対して、ディスラプターである企業側が新しい選択肢を提示する。お客さんがそれを選択することで市場が広がって、結果的に古い概念が崩れる。やっぱりお客さんから支持されるというのが、錦の御旗ですよ。よりカスタマーファースト、カスタマーセントリックで行くべきだと思うしそれがディスラプターと評される勲章だと思う。

中平:サービスを立ち上げてから二年経って僕たちは三つの指標を追い求めてきました。ちゃんと売れること、ちゃんと使い続けてくれること、ちゃんと粗利が出ること。売れるのと粗利が出るのは証明できたので、ここ数ヶ月でやり切ろうと思っているのは、使い続けてもらうこと。それができればあとは広げるだけ、というフェーズにきているので、まずは選んでいただきたい。

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遠藤:ディスラプターに対して既存の勢力は、お客さんから目線が離れて既得権益でなんとかなっているっていう構図なんだよね。だからこそディスラプターはお客さんに近づかなきゃならないし、お客さんに選ばれるアプローチをしなきゃならない。これがディスラプターたる所以です。お客さんから選ばれた結果として壊れていくというこのチャレンジを、日本でも可能なんだってことを証明して欲しい。

中平:おこがましいかもしれないですけど「あいつらにもできたんだ」と言われるような存在になりたいです。

遠藤:イノベーターも立派だけれど、スクラップ&ビルドをやらないと日本の再生はないからね。何と戦っているのか、ということは大事ですね。

中平:何と戦っているかというと、どこか特定の企業などではなく、ずっと業界や産業構造と戦っている気がしているんです。古くからある商習慣と戦っている感覚。

遠藤:そうだね。商習慣を作ってきた人たちもいるけど、もはやそこと戦うというものではないですね。

唯一のディスラプターであり、イノベーターでもあるのがリクルートかな。自分たちで創っては壊し、創っては壊しみたいなことを繰り返している。ある意味では固有の資産や本業がないというのか、大きな器はあるけど中は無であるというような。だから、なんでもできるし時価総額も高い。今時価総額が上がる会社は、良い意味で中身が空洞の会社ですね。例えばテスラって、電気自動車だけの会社じゃないですもんね。そしてこの無からの可能性をどこから感じるかっていうと、やっぱり働いている人なんですよ。この人たちだったら何かやってくれそうだなってことを感じるんです。

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業界を変えるために必要なのは大義

中平:僕たちはフィロソフィーとして「プロセスとテクノロジーで人をよりヒトらしく」を掲げていて、デザイナーの労働環境を是正したいんです。「本当はすごい人なのに待遇が悪い」という産業を変えたい。また、個人的にはデザイン以外にもあと二つテーマがあって。飲食店のシェフとお笑い芸人なんですよ。「食べること」と「笑うこと」は尊いことで、それができる職人なのに食えていないということは構造上、何かしらおかしいというか、ディスラプト(刷新)されていないんだと思う。僕たちのフィロソフィーはデザインに限られないと思っているんですよね。

遠藤:待遇改善の観点で、僕が社外取締役をやっているSOMPOの例をあげると、介護の業界に参入して5年くらい経つんだけれど、介護業界の給料を100万円以上あげてますよ。さらにまた改善しようとしている。それでもすごい収益あげています。成長分野というだけじゃなくて、「介護の現場を変えなくてはいけない」という想いを持っているんですね。これから確実に必要とされていく仕事なのに、低い待遇と過酷な労働環境のままでは、この国のためにならないと。介護ロボットを導入したり、現場を改善したりしている。

なぜかといえばそこには大義があるんですね。大義があるから、業界に対して素人だけど、どんどんやっていく。最初は「保険の会社が介護なんてできるか」とも言われたけど、じゃあ「保険の会社は新しいビジネス何もできないの?」という話で。単純に経験があるとか、競争に勝てるとかそういう次元の話じゃない。そもそもやる意味はあるのか?っていう大きなところから議論をしないといけないくらい、実はこの国のあり方そのものが問われている。

中平:仰る通りですね。お客さんに選ばれることが重要なのはもちろんですが、働く人に選ばれるということも大事な時代。大義を持って業界を良くしよう、そのためにちゃんと待遇も良くしよう、だから人が集まる。そういう図式だと思うんですよね。

遠藤:お笑いと食の分野でもそれをやるんでしょ?

中平:そうですね(笑)いつになるか分からないですが、70、80歳くらいになっても、そういうことを考えられるおじいちゃんでいたい。

遠藤:確かに日本の食の文化なんかは、今ご時世的に厳しいけどもっと守られるべきですよね。

中平:日本の食もお笑いもレベルが高くて、世界で戦えると思うんですよね。落語の歴史、漫才の歴史。欧米のスタンディングコメディとはまた違う奥深さがある。もっと人が集まっていいと思う。

遠藤:僕は落語が好きで寄席を見に行くこともあるけれど、大衆芸能で何百年も残っているってすごいこと。後進を育てる仕組みもできているよね。

中平:そうなんです。そういう繰り返しで長年続けられる仕組みを目指したい。でも「食べていけなさそう」というイメージがつきまとうのがもったいない。変えられるかというより、変えたい。そういう変化を絶えず起こして、社会を良くしていくことが、生きている意味のような気がしてます。

遠藤:そういう意味だと、ガラパゴスって名前は何でも通用するよね。

中平:そうなんですよ。器というか、そういう可能性を秘めていると思っています。

遠藤:無だと。

中平:はい、無だから何でもできること、独自の進化を遂げること。大事にしたいです。

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ーー最後に遠藤さんから、ガラパゴスに興味を持っている皆さんに一言お願いします。

遠藤:会社にはたぶん、就職する時の旬のタイミングがあって、ガラパゴスはまさに旬のタイミング。今入ったら一番エキサイティングですごく楽しめると思う。旬を味わうことが大事です。興味を持った人は、すぐにでも手を挙げてもらうといいんじゃないかと思いますね。

ーーありがとうございました。最後まで読んでいただいた皆様、ぜひご連絡お待ちしております!


(文責:武石綾子・髙橋勲)