人種差別と女性差別とセクシャルマイノリティに対する差別と・・「THE UNITED STATES vs Billie Holiday」

昨日は最寄り映画館(とはいえ地下鉄で30分程度かかります)シネマリンに行ってきました。
THE UNITED STATES vs Billie Holiday」という映画観て参りました。

この映画、シネコンでも上映されていて、ミニシアターにもやってきた作品。
ここで見逃すと次はAmazonプライムでしか見れない!
やはり音楽が絡む映画は映画館で観たい!
うちの音響はしょぼいから!
そして大きな画面で観たい!
うちのディスプレイも小さいから!

という事でなるべく映画は映画館で!

今回、最終回に間に合ってよかった!
ほんとによかった!
そんでもって、もうちょっと早くいって、何回か見たかった!
そう思わせる作品でした。

音楽映画としてもすぐれています!
ビリー・ホリデーの曲たちが沢山ちりばめられていて、それだけで音楽好きにはたまらないと思います。

主演女優のアンドラ・ディがまたいいです!
子どもの頃から教会で歌っていたという彼女は黒人女性歌手という点しかビリー・ホリディとは一致しないほど、対極にある生活を送ってらっしゃる方とお見受けしました。そんな彼女が、映画の中ではビリーになりっ切って歌い演技されてらっしゃいます。
女優だから当たり前とか言っちゃえばそうなんですけど、
なんかね彼女って外見は少しもビリーに似てないんです。
以前にビリーを演じたダイアナ・ロスも外見は全然似てないですけどね。
それなのに、見ているうちに、この人がビリー・ホリディ!
と思わせ惹きつけられる演技でありました。

それと、今回とても私が強く感じたのは、このアンドラ・デイさんが演じているビリーはフリーダ・カーロにも似てるって事。
アンドラ・ディさん演じるビリーはフリーダにも見えちゃうんです。
ま、それは私だけかも知れないんだけどね。

ウィキで観てみると、フリーダ・カーロは1907年7月6日生まれ
ビリーは1915年4月7日生まれ
亡くなったのはフリーダ1954年
ビリーは1959年
ほぼ、同じ時代を駆け抜けた女性二人。

女性というだけで、いろいろ苦しさのあった時代(現代の日本もだけどな!)
そこを駆け抜けた二人。
この映画のアンドラ・ディさんがたまたまフリーダ・カーロに似てただけかもしれないんだけど、私にとっては、ここ重要な気がしたんです。

今までは麻薬におぼれて破滅的な人生を送っただけの可哀そうな女性のイメージだったビリーだけど、本当は強い意志で権力と戦った人だという事がこの映画では判ります。

本当に敵は強力過ぎた訳ですけどね。

この映画を観ると、ビリーの「奇妙な果実」という歌がどれだけ公民権運動を助けたことか・・・
歌の力を感じさせてくれます。

去年みた「ビリー」というドキュメンタリー作品も素晴らしかったのです。「ビリー」というドキュメンタリー作品は、実物のビリーを観ることができる良さと、多分陰謀でお蔵入りしていた映像たちを撮りためた女性作家の強い思いを感じさせる作品でした。
でも、それは、ドキュメンタリー作品としてね。

今回のこの映画は劇映画として見せる作品。
社会的なメッセージもあるけど、映画作品として楽しめます。
音楽映画として楽しめて
政治陰謀映画として楽しめて
ラブロマンスとしても楽しめる!
一粒でたくさんおいしい作品に仕上がっております!

ビリー・ホリディーには女性の恋人がいた時もあり、それについて差別的な事を言わるシーンもあります。
そして、それだけではなく、人種隔離政策によって
恋人の白人女性とホテルに入るところでエレベーターにビリーだけが乗れないシーン。
ビリーも怒り切ないのだけど、断るエレベーター係りの黒人男性の悲しくつらそうな表情に差別の切なさひどさが凝縮されていると感じさせます。

また若き黒人男性と言えば、FBIの若き捜査官の役どころは実際にいたかもしれないけれど、記録には残っていない人物だそうですが、この人の存在が物語を明かるく彩ってくれています。
この青年が居なかったら、かなり悲惨な物語で終わってしまったような気がしたのです。
彼が救いとなって、ひどい現実から幾分逃避させてくれるのです。
最後のタイトルバックで二人がワルツを踊るシーン。
このシーンで救われたと感じる人は多いのだろうなって思います。

そんないろいろな配慮が、この作品を娯楽作品として楽しめる、味付けが素晴らしいなと感じた次第です。
娯楽映画だけど、そこに政治的メッセージがしっかりちりばめられている、私はこういう作品大好きです。

昨日は、この映画の後に、横浜シネマリンでは「牛久」という日本の入管の非人道的な事を描いたドキュメンタリー作品と、夜には「チェチェンへようこそゲイの粛清」というゲイを弾圧するチェチェン共和国のドキュメンタリー作品とかが控えていたのですが、さすがにこの人権弾圧映画祭みたいなラインナップを続けてみる元気もなく、このビリーの作品だけでやめてしまいました。
チェチェンへようこそは、昨日限りだったんですけどね。。
最近何本も観る体力がなくなりつつあります。

それと、この映画の余韻を楽しみたい!
という気持ちも強く働いた次第です。
帰り道ビリーもうたっていたAll of meを口ずさみながら歩く私がいました。
観る順番が違って、この映画を最後に観るって順番だったら観たかもしれませんが、この作品の後にもっと悲惨な現実の映画はちょっと観たくなかったんです。

ま、次回からは公開最終日じゃなくて、早めに行くようにしたいと思いました!



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