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プロダクトマネージャー14年目の学び直し

人事トレンドワードのリスキリングについて、PdMとして自らがどんな取り組みをしているかを振り返りました

こんにちは!GLOPLAのPOの松尾(@tamatsuo)です。
ここ数年 PdMという職種の認知の高まりから、何からやればいい?どうやってなったの?と聞かれることが多くなりました。
巷にはPdMについて書かれた本や情報が溢れているので、今回は何を意識してキャリアを進めてきたか、その中で学びをどう位置付けてきたかを紹介します。


はじめに

キャリアや学びに対するわたしの考えがこちらです。

  • 何を意識してキャリアを進めてきたか:仕組みによるアウトカムの最大化

  • 学びをどう位置付けてきたか:アウトカムを高める予備実験

学び直しについて、現在 取り組んでいる内容を以下のように整理しました。

  • リスキリング(会社の意思):アジャイル、スクラム

  • リカレント(個人の意思):経営学、人間中心設計

PdMについては、約10年前にプロダクトマネジメントトライアングル(https://productlogic.org/2014/06/22/the-product-management-triangle/)というスキル要件のようなものが公開されました。
PdMは仕事の範囲が広いですが、全てを1人で網羅しなければならないというよりは、自分自身がどこが強みでどこが弱みかを認識したうえで、プロダクトの成功にとって必要なことを何とかする・実践するスキルが必要になります。
また、技術や社会の変化、事業や顧客の状況、プロダクトのライフサイクルを考慮するなど、常に学び適用し続けなければならないという特徴があります。

プロダクトマネジメントトライアングルと実践サイクル

リスキリング

わたしは2010年に初めてPdMにアサインされました、それまでは半年毎に組織が変わるような急激な事業拡大の中で様々なプロジェクト案件に従事していました。
これからは技術に詳しくならないといけないと思っていたら、PdMは開発やデザインの他、会計や法律、統計などの知識も必要という事で、リスキリングを始めました。
また、当時 PdMは1プロダクト1人ということもあり、研修はなくOJTで先輩から業務を引き継ぎました、最初に担当したのが衰退期のプロダクトだったのでかなり凹んだことを覚えています。

  • ザ・ゴール
    PdMに必要なシステム思考はこの本で学びました。
    人事部門でPMIを担当していた時に元北米トヨタのコンサルタントに勧められたのですが、優先順の付け方や業務設計など直ぐに実務に活かせました。

  • PMP
    PdMに資格はありませんが、業務部門の先輩に勧められて取得しました。
    これは複雑な事象を構造化し、不確実耐性を高めるのに役に立ちました。

アンラーニング

既存事業のIT通信サービスのPdMを担当した後、新規事業のIoT/AIサービスのBizdevを担当しました。その時は、以下の違いからリスキリングで太刀打ちできずアンラーニングが必要になりました。

  • IT通信サービス:厳格な総務省要件、数百万の個人と数十万の法人が利用、数千名の営業体制、成熟期でARR3桁億円、評価に紐付いた厳密なKPI、ウォーターフォール開発

  • IoT/AIサービス:法令は未整備、事業体制は未定、チームは4名体制、オープンイノベーションやアライアンス、KPIは未設定、アジャイル開発

Bizdevは、IoT/AIという手段・社会課題という領域・ARR3桁億円の事業規模、の3つがスコープになっていました。
具体的には、デスクリサーチ後に業界インタビューから一次情報のインサイトを仮説し、アジャイルに検証を進めていく手法をとりましたが、なかなか芯を喰った企画やサイズを見込めるモデルを作れず難しい時期を過ごしました。
また、社内では新規事業立ち上げのための「忘却」の合意形成が大変でした。
ただ、同時期に社内起業に挑戦し、子会社に出向して定期的に投資チームのフィードバックを受けていたので、それを「借用」しながら進めることができました。

  • 学習(リスキリング):リーンやアジャイルという手法、IPやPRの戦略、エッジコンピューティングやデジタルツイン、ブロックチェーンやAI/MLなどの技術

  • 忘却(アンラーニング):新規事業と相性の悪いウォーターフォール開発、既存事業のNPVやIRRなどのKPI、プロダクトアウトの事業企画、パートナーとの契約条件

  • 借用:R&DやPoC用の設備や人、社内外からのM&Aやアライアンスのリード、社内起業支援のスキーム

リカレント

現在 新規事業のPdMとBizdevを担当する中で以下の学び直しをしています。
年齢を重ねるにつれ自分の見たいものや知りたいことにしか触れなくなるリスクを感じていたので、リカレントに取り組みました。

  • リスキリング:専任のスクラムマスター・アジャイルコーチの指南を受けてスクラム開発に取り組んでいる

  • リカレント:経営大学院に通いながら学んだ内容を実務で検証したり、過去の業務を棚卸して振り返りしている

リスキリングは、部門がスクラムを採用していることから、RPO(Registered Product Owner)を取得したり、実績が豊富なスクラムマスター・アジャイルコーチを採用したりして、スクラム開発を実践しフィードバックを受けています。

  • Team Topologies
    スクラムは開発手法の1つですが、事業と開発と組織の3つを整合する部分について、この本は分かり易かったです。

リカレントで経営大学院に入ったのは、機会により自らを変える・実践してきたものを体系的に整理して再現性を高める・ケースメソッドにより事業運営の選択肢の確度を高める、という3つの目的がありました。
来春卒業予定ですが、PdMやBizdevの業務やキャリア開発について多くの引き寄せがあります。
また、10月から半年間インキュベーションプログラムを受講するのですが、またしても投資家のフィードバックを受けながら起業活動に取り組めることが楽しみです。

改めてPdMのキャリアを振り返ると、トライアングルやライフサイクルを概ねカバーしていますが、弱みも分るので、チームで協力しながらプロダクトを前に進めています。

プロダクトマネジメントトライアングルとプロダクトライフサイクル

さいごに

PdMはプロダクトの成功を担いますが、確率を上げるためには、数多くのトライアルとフィードバックをつうじて判断の質を高める必要があります。
その時 学びは予備実験になりますが、公開されている情報は氷山の一角なので、自分たちに適用できる学びなのかを評価する視点が大切になります。

実践サイクル
  • 効果:自社で優先的に必要なものか、効果によるプラスとマイナスは何か

  • 打ち手:効果との相関の度合い、別の打ち手で同じ効果を得られないか

  • 外部環境:公知の事実か、個社に固有の機会があるか

  • 内部環境:自社と制度や体制、運用や文化、事業特性や状況は同じか

誰にも先のことは分かりませんし、どんな選択肢にもメリットとデメリットがあります。いい事が起きる確率が高い方を選択できるよう、これからも学び続けたいと思います。

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