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なぜシード期のプロダクトを外注で内製しているのか?<創発的開発のすゝめ>

こんにちは!GLOPLAのPOの松尾です。
GLOPLA LMSのプロダクトローンチからもうすぐ2年になりますが、おかげさまで利用企業も順調に増え、これから事業はシードからアーリーへの移行期に入っていきます。
今回は成長する事業を支えるプロダクトについて、どのように開発体制を拡充しているか、「内製」と「外注」の視点でご紹介したいと思います。


はじめに

GLOPLAはレガシーな企業内育成の市場をディスラプトするべく後発で市場に参入しています、このため先輩プロダクトは国内外に多いですが、顧客が本当に必要としている機能が何かを仮説検証しながら開発を進めています。
この時、開発チームの役割として最も重要なのが、仮説検証に柔軟に対応できることになります、GLOPLAではPOが判断したことをクイックにプロダクトに反映しフィードバックを受け改善する、というコントロールの強さを目的に内製という手段を採用していました。

  • 内製の特徴
    ドメイン知識(多)、機密性(高)、ノウハウ蓄積(多)、コストメリット(低)、コントロール(強)

  • 外注の特徴
    ドメイン知識(少)、機密性(低)、ノウハウ蓄積(少)、コストメリット(高)、コントロール(弱)

外注を検討した背景

開発は事業やプロダクトの戦略を実現する手段ですが、外部環境や内部環境に制約を受けます。
特に人材市場や技術スタックのトレンドなど外部環境は、自社の都合とは関係なく変わっていくので、事業成長のために都度環境に応じて最適な打ち手が必要になります。

  • 外部環境:採用難
    GLOPLAは投資フェーズで多くの予算を確保しているが、ユニコーン企業やIT企業などと競合しエンジアをなかなか採用できない。

  • 内部環境:異動難
    グロービス学び放題やナノ単科など各事業でスキル要件や開発スキームが異なるため、状況に応じたクイックな配置換えができない。

GLOPLAは新規事業として、既存事業のような売上やID数などのKPIによる評価ではなく、出来るだけ早く立ち上がること、スピードが求められていましたが、リソース調達の制約から計画がビハインドしていました。
ここでいうスピードとは開発の早さではなく機能の量と質で、どんどん機能を出して改善サイクルを回して早くPMFに到達する、という意味ですが、次のような開発上の懸念もありました。

  • スピードを優先すると品質が落ちる

  • スピードは人を増やすと落ちる

そこで、開発チームとしては従来のように品質や仮説にプロダクトアウトで取り組みながら、並行してデリバリーやペインにマーケットインでアプローチするために、内製(社員と委託)に追加で、2021年11月に外注の検討に着手しました。

  • 社員:雇用契約

  • 委託:準委任契約

  • 外注:請負契約

外注で内製した理由

検討に際しては、事業の状況から各要素について外注のリスクを洗い出し影響を評価しました。

  • ドメイン知識:課題なし
    チームにドメインエキスパートがいるため、エンジニアはメタスキルがあればいい。

  • 機密性:課題なし
    知財や技術的革新のあるプロダクトではないため、エンジニアの契約形態に縛りはない。

  • ノウハウ蓄積:課題あり
    できるだけ小さく作って改善することで得られる知見を共有出来ず、開発が強くならない。

  • コストメリット:課題あり
    プロジェクトマネージャーやブリッジのエンジニアが必要になるため、管理工数が嵩む。

  • コントロール:課題あり
    発注~検収という手順は、週次スプリントで開発している内製チームとの調整負荷が高い。

外注先の選定については、エンジニアリングマネージャーや技術顧問と意見交換し、オフショア含めリソースが充分なところから技術で定評のあるところ、サービス検証に強いところからリファクタ系に強いところ、UIUXデザイナーがいるいないなど14社リストアップしました。
そのうち7社に相談したところ、外注ではGLOPLAが最も優先したいコントロールの課題を解消できないことが分かったため、内製チームの中で開発できないか、という調整を始めました。
内製チームとのスクラムは、フェーズやファンクション単位、チーム単位のプロジェクト参画など一般的な受託案件とは異なるため、調整は難航しましたが、2022年5月、スクラム開発に合意した企業のうち、技術力が高くGLOPLAと価値観が近い外注先との取引を開始しました。
2023年1月には先行した1社の成功事例を基に外注先を2社に増やし、爆速で開発を進めています。

  • 社員:雇用契約

  • 委託:準委任契約

  • 外注外部パートナー):準委任契約

外注での内製は部門として初の試みだったため、先ずは小さく始めて上手くいったら面を拡げるという進め方が奏功しています。

開発チームの現状

GLOPLAのエンジニアは2021年5月ローンチ時の5名から、今ではフルコミット以外の副業メンバーを含めると15名になりました。
新規事業の立ち上げという不確定要素が高いフェーズなので、社員は20%以下に設定し、委託や外部パートナーの比率を高くしています。
新規事業はスピードが大事ですが、人事制度は既存事業と同じで社員は評価や研修などの業務に一定の稼働を割かれるため、委託や外部パートナーを活用することで開発への影響を最小化しています。
メンバーの契約形態は社員、委託、外部パートナーの3つ、スクラムは次の3チーム編成です。 ※()内の数字は人数

  • ねこさん:社員(1)、委託(1)、外部パートナー(2)

  • ばななさん:委託(1)、外部パートナー(3)

  • はちさん:社員(1)、委託(3)

チームを分けている目的はコミュニケーション密度を高めてパフォーマンスを上げること、1チームは最大4名、チームは新規や改善などのファンクションや、契約形態で分けていません、全員でDevOpsに取り組み、開発能力も各チーム同じくらいということを意識しています。
チームのメンバーに上下はなく、役割はバックエンド強系、フロントエンド強系はありますが職能専属ではなく、リードという職位や呼称もありません、これには次の2つの理由があります。

  • 契約形態が混成なので職位や呼称のコンテキストが低い、使う業務がない

  • 職能制によるサイロ化で、個人に組織の成果が依存するリスクを排除する

また、組織と開発の可用性を高めるために副業メンバーがチーム横断の技術検証や技術負債の解消に携わっており、各メンバーもチームを跨いで連携できるよう全員で開発チーム全体のOKRを設定し運用しています。

さいごに

今回は開発の「内製」と「外注」についてGLOPLAのアプローチをご紹介しました、エンジニアはフリーランスや副業など働き方は多様ですし、契約形態は個人の選択の自由なので、社員か委託か外部パートナーか副業かで開発への関わり方を変える意味が薄まってきています。
GLOPLAでは、プロダクトに実装する機能と供に、想いをかたちにするチーム編成とリソース要件も仮説検証しながら、創発的に開発を進めています
ここ数カ月、「GLOPLAが今の状態になるなんて1年前は想像もできなかった!」ということをよく言われます、嬉しく感じる一方で「散歩のついでに富士山に登った人はいない」という言葉を思い出しています。
プロダクト開発と組織開発は表裏一体ですが、機能リリースと異なり、組織には慣性の力が働いているので成果が現れるまでに時間を要します、これからも事業ミッションの実現に向けて様々なことに挑戦していきたいと思います。

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