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【本】日本人の勝算

これは必読!という本に出会ったので紹介したいと思います。ここのところ私が夢中して読んでいた一冊です。

Amazonベストセラーですが、日本は「沈みゆく船」なのだと激しく実感した一冊。読んだ最初の晩はショックでしばらく眠れなかったほど。。。

著者のデービット・アトキンソンさんは、私は初めて読みましたが、在日30年、国宝・重要文化財の補修を手がける会社の代表をつとめるイギリス人アナリストさんとのこと。

この本の素晴らしいところは、日本への愛をベースに数々の提言が書かれていること。批判やダメ出しではなく、タイトルにも【勝算】とあるように、現実はそのまま示しつつも希望を持って「未来のためにこうしよう」「ああしよう」と繰り返し書かれていることです。

今回経沢香保子さんが以下の記事で触れていたので興味を持って読んでみたのですが、読み応えがあり、手にとって良かったです!

このあと、印象に残った箇所3つとわたしの感想を記しますが、ぜひ皆さんにも本を読んでいただいて、日本の現状や未来を知ってほしいと思います。


●印象に残ったところ3つ

1. 日本は、「少子高齢化」と「人口減少問題」を同時に考えなくてはならない唯一の先進国。

日本は「課題先進国」などと言われるのは認識していましたが、先進国の中で「少子高齢化」と「人口減少問題」がダブルで急激に進むのは日本だけだって、知っていましたか?私は、恥ずかしながら知りませんでした。

2060年まで見通した時にも、アメリカ、イギリス、フランス、カナダ、オーストラリア、、、などなど、他の先進国は基本的に人口がまだまだ増えるのです。アメリカは25.2%増、イギリスは17.4%増、フランスは11.3%増、、など。一方、日本は2060年までに32.1%減を見込んでいます。(※国連データより、著者が作成した図表から引用、本書p24)

これがほぼ確実にやってくる日本の未来であり、このまま手を打たなければ三流先進国、途上国に転落する恐れがあるとのこと。


2. 少子高齢化×人口減少問題を抱える日本では、「生産性向上」が必須。そのためには、企業規模を拡大するメリットが大きい=すなわち企業統合が必要不可欠。
しかし、日本は中小企業比率が高く、また中小企業が大好きなメンタリティを持っているように見える。下町の町工場や職人、老舗企業などの中小零細企業が頑張って大企業に対抗するストーリーがウケる傾向がある。企業統合を進めたり規模を拡大する過程は日本人にとって感情的に受け入れがたいものがあるのではないか。
後継者不足に悩む企業は多いが、その企業の持続性と収益性に魅力があれば後継者は自然と現れるはず。現れないなら多かれ少なかれ魅力がないことの証拠。であれば無理をして後継を探すより、統合してくれる企業を探したほうが良い。
国は企業統合促進政策を進めるべきである。


3. 真剣に高生産性への移行を目指すならば、本格的な成人の再教育制度が不可欠。今後、子どもの数が減り、2030年には24歳以下の人口は18%までにも低下見込み。とすれば18%をどう教育するか?ではなく、残りの82%をどう再教育するかが課題となる。


●全体の感想

ここに記していないところでもかなり学びが多くありましたが、特に2. 企業統合を進めようという主張のところは興味深く読みました。

たしかに日本人は中小企業好きのメンタリティを持つというのはよくわかる気がします。いまのテレビなどを見ても、零細企業がもつ独自の技術や職人さんの技を取り上げるものがやたらと多いですよね。

でも、まさに井の中の蛙というか、現実から目を背けているように感じるのです。過去の日本を礼賛して、その先の未来から目を背けているのではないか?と。この本を読んでさらにそんな思いを強くしました。


また、今回のまとめでは触れていませんが、日本を観光国化する話についても書かれていて、これは筋としてとても大事だと改めて感じました。なので、同じ著者デービット・アトキンソンさんが、日本の観光論、インバウンドについてもっと深く書いているらしいこちらの本も本日購入しました。面白そうです!


以上、ぜひ日本の現状を知るためにオススメします。ザッと流し読みするとしても、それでも余りあるほど学びがあると思います。皆様も、ぜひこちらの必読書、お読みください↓



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