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人口ボーナスが大英帝国の世界征服をもたらした

 歴史の教科書にはあまり描かれないが私は人口ボーナスこそ大英帝国が世界の頂点に立たせてパックスブリタニカを迎えたのだと考えている。一般的な教科書や中学・高等学校の先生の教えでは産業革命による圧倒的に進化したテクノロジーを武器に世界征服を優位にさせたかのように教えていると私は思っているが、シンプルに今ほどの人口がなかったにせよ、世界征服をするだけの頭数(人口)がイギリスにいたとはとても思えない。全員が兵隊をやっても全く不足する。

  下記のグラフの通りイギリスの人口の増え方はあまりにも急だった。今ではマルサスの罠と余裕を持って語られる過去もマルサスが人口論を執筆していた頃はこの急増する人口に耐えられるだけの食料供給は間に合わないと真剣に危惧していたのは間違いない。

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 共喰いと言うのはある種がある一定密度以上になった場合に発生するらしいが、当時のイギリスも共喰いまでは起きなくとも人口を減らすための策がたくさん取られていた。その一つは囚人として別の国に送ると言う手段である。パンを盗んだだけで流刑地に送られた。それくらい密度が濃かったと言うことだ。送られた先はニューワールドで米国、オーストラリア(流刑地ゆえ流刑記録が多い)である。

  また当然だが他の国を侵略すると言うことが先に発想として起きていたはずだ。北アメリカ、南アメリカ、オーストラリアなどは資源もあるのでとても魅力的だっただろう。もちろんアフリカやインドは労働力を搾取する先として利用したことは教科書でも明らかにされている。そしてイギリスだけでなくヨーロッパ各国でも産業革命が起きたがゆえに植民地争奪戦が起きたと言うわけだ。フランスもオランダもそれに続いたわけだ。また海洋国として先に海外に出たポルトガルやスペインが突き抜けることなかったのはあくまでその国々の支配層を支配した程度で、イギリスのように国民まで送り込んで人口的にマスな優位を築くところまで至らなかったためだろう。

  この人口ボーナスが来ると国は勢いづく。日本も人口ボーナスで勢いずいたバブルの時代にはエンパイアステートビルを買収したり、ゴッホの”ひまわり”を購入したり。今も東南アジアの街を旅すると古びたビルの古びた看板には哀愁を感じさせる日本語が残っていたりする。日本の栄華だったのだろう。今の中国人の素行を見ると30-40年前の日本の姿を思い出さずにはいられない。だがその中国も人口ボーナスが終えて失われた時代が訪れることになるだろう。 

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