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食品輸出の基本知識③「輸出商社・ディストリビューターを理解する」

~輸出営業先は2つだと知る~

海外に食品を定期的に大量に輸出販売しようと考えると、その方法は主に2つです。今回は、その売先(直接の営業先)について説明します。

海外に日本食品を広く輸出して売る場合、どの会社に売れば良いのかというと『日本国内の輸出商社』か『海外のディストリビューター』に売ることになります。これは両方取り組む必要があります。(但し理想は、自社がシッパー<輸出者>となり、海外の小売企業や飲食チェーンやEC企業に直接貿易取引で販売することです。)

輸出商社とは、船便コンテナ単位又は航空便カーゴ単位や箱単位で、食品を定期的に特定の海外の会社に貿易取引で販売している会社です。既に、売り先を持っている会社です。

1ヵ国1法人に売っている食品輸出商社もあれば、日本最大の食品輸出会社は100ヵ国以上の国に食品を輸出販売し、年商2000億円を越える食品輸出商社もあります。

特に食品輸出商社大手3社は、規模も輸出先国も大きいので、ここを攻めていくのが1つのポイントです。但し、大手輸出商社にアプローチしようと考えても、食品添加物のグローバル対応が終わっていないと門前払いとなるので、まずはそちらから進める必要があります。

日本で認められている食品添加物は828(指定添加物365・既存添加物463)あり、主要18ヵ国(地域含む)で認められている食品添加物の平均数は307なので、日本の感覚で商品開発すると、海外で認められていない食品添加物を使ってしまい、海外で広く販売できる商品にはならないので、大手輸出商社は商談時に、食品添加物を物質名で特定した仕様書の提出を求めてきます。それに事前対応しておくことが、第一歩なのです。その辺りは別途詳しく解説します。


日本と海外では商品の流れが異なります。日本と海外で一番異なるのは卸の存在です。日本はモノ作り大国であり、要はメーカー(製造業)や工場が多いのです。それは食品業界にも当てはまります。日本は第2次世界大戦で敗戦したあと復興を遂げました。その際、電気や水などの社会的基盤がしっかり整備され、製造業があちこちにできました。

多くの製造業の商品を日本中に届けるために、道路が整備され路線便ができ卸の機能が発達しました。製造業が物を作って、卸が広く商品を届けるという仕組みができたのです。

しかし、この仕組みは日本独自ということを知っておく必要があります。卸という機能は日本の特殊な機能であり海外には卸売業という形態がほとんど存在しないのです。韓国には存在するようですが、それ以外の国である程度の規模の企業として卸売業をいう業種が存在しているという話を聞くことはありません。(インドネシアには超小規模の担ぎ屋さんがいますし、台湾や韓国にも担ぎ屋さんはいますが、そういう個人商売はヌキで考えます。)

笑い話になりますが、日本のメーカーの社長が海外に視察に行って「卸に行きたい」と話をされ、通訳が「WHOLESALE(ホールセール)」と訳し、コストコやメトロやマクロなどの倉庫型小売業に案内されて怒り出したという話があります。海外には卸という業態がないから、日本語の卸を直訳されるとそんなことになってしまいます。海外には、そんな卸売業はないのです。

食品や輸入食品を取り扱うディストリビューターには、広く輸入食品を取り扱う会社や、日本食品に特化して輸入販売を行う会社や、お酒など特定の商品に特化したディストリビューターもあります。

ディストリビューターが日本の卸と異なることが主に3点あります。
(1)食品メーカーと小売の間に入らないこと。
(2)路線便を使わず自社配送便で全国に商品を届ける仕組みをもっていること。
(3)2次卸を使わず小売や飲食店と広く口座を持って直接取引をしていること。

食品メーカーも自社で上記の機能を持っていればディストリビューターと言えます。自社でディストリビューター機能を持たない輸出専門食品工場も海外にはあります。

ディストリビューターのうちメーカー機能を持たず、輸入食品を取り扱うディストリビューターを攻略することが海外で日本食品を売る1つのポイントと言えます。

海外の小売店舗は商品陳列もロクにせず、発注起案もしないし、何でも返品してくる・・・という説明を前にしました。店頭で商品を陳列するのは小売ではなくディストリビューターです。発注数量を決めるのは小売でなくディストリビューターです。エンドや催事の詳細企画を考えるのはバイヤーではなくディストリビューターです。結局アジアではディストリビューターがいないと小売が何も決められないのです。

こんな状況でも日本の食品メーカーさんは一生懸命海外の小売と商談をしたがり、商談がまとまらず、結局行政や小売が主催する店頭即売会に出品して、海外出張して店頭販売をして1回だけの店頭催事で自社商品を販売して終わる・・・こういう食品メーカーさんがほとんどなのです。そんな一時的な催事の開催に必死に取り組もうとされている食品メーカーさんが多いのです。まずは輸出商社やディストリビューターを探すということが重要だと認識する必要があります。

ディストリビューターにはいくつかのタイプがあります。野菜は野菜のディストリビューター、米は米のディストリビューターがあり、酒には酒のディストリビューターがあります。

以前野菜と果物を取り扱う農産物のディストリビューターの社長と話をした際、日本の農産物を全く取り扱っていないので理由を聞いたら「日本の農家は誰も営業に来ない」と言われていました。

私はイスラムの国マレーシアで日本のハム・ソーセージを輸入販売したことがありますが、そんなことができるのは現地の豚肉のディストリビューターしかいないのでそこに輸入をお願いしていました。

販売したい商品を取り扱っていて輸入実績を多数持っているディストリビューターと直接商談することが輸出成功への近道となります。例えば日本の酒を売りたいなら、既に日本酒を取り扱っている日本食品のディストリビューターと交渉をするが、まだ日本酒を取り扱っていない現地のお酒のディストリビューターと直接交渉もする、ということです。

現地で大量に酒を売っている酒のディストリビューターに多数営業して、自社の商品を理解してくれるディストリビューターを見つけるのがグローバル営業の基本となります。

そんな専門ディストリビューターには、日本の商品を一切取り扱っていない会社がたくさんあります。そんな会社の経営者やバイヤーは日本のメーカーと商談したこともないし、日本食品の展示会にも行ったことがない人が多いです。ディストリビューターの特性をしっかり理解しておかないと営業先を間違ってしまいます。

ディストリビューターの見つけ方は実はとでも簡単です。私の友人で、3年間で60ヵ国にコンテナ単位で菓子を売ることに成功したマレーシアの若者がいます。彼のグローバル営業方法をも別途紹介します。

他には、アジアにはPL法がまだ存在しない国が多いということも知っておく必要があります。PL法の代わりに品質に関するルールがあり、小売が販売者責任を負う国も多いです。何か輸入すると外貨が流出するため国内製品を多く売る必要があり、現地製造業が作る国産品を売ることが奨励され、製造業は国の宝であり、それを保護するためにPL法がまだない途上国がまだ多いのです。

日本でもPL法ができたのは1995年です。PL法がなく品質責任を小売に負わせる国がまだ多いのに、日本的なリスクを考えて輸出に消極的な食品メーカーさんが多いです。しかし、東南アジアは常夏であり棚替えがなく一度商品が入り、売れていれば何年も長期間定番商品となるという美味しい可能性もあるのに輸出に取り組まないのはもったいない話です。

詳しくは「食品輸出の学校」で解説しています。ぜひご確認ください。

「食品輸出 実務と実践塾Eラーニング」2021年10月食品新聞社様で開講予定です。

図8

株式会社グローバルセールス 代表取締役 山崎次郎

食品輸出の学校 学校長

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