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グローバル商品開発の基本③「世界に売るための販売期限表示」

~日本の消費者向けの賞味期限を表示するか、海外の消費者向けの最終消費推奨日を表示するか~

食品には、その販売期間によって賞味期限又は消費期限と記載するルールになってることはご存知で通りです。賞味期限の意味を一言で言うと『美味しく食べられる期間』であり、消費期限は『安全に食べられる期間』です。賞味期限より消費期限が長い、というのはその言葉の意味からご理解いただけます。

では、海外ではどう考えどう表示しているかご存知でしょうか。

それをご理解いただくには、まず世界の食品のルールであるCodex(コーデックス)でどう記載されているか理解いただく必要がります。

賞味期限の定義は日本の認識と近いですが消費期限の認識は少し異なります。Codexでは賞味期限と使用期限として定義されています。この使用期限が日本の消費期限の考え方に近いです。

使用期限(Use-by Date)の定義として、最終消費推奨日(Recommended Last Consumption Date)と有効期限(Expiration Date)としてこう定義されています。「推定期間の終了を意味する日付を意味し、その後製品は消費者が期待する品質属性を持たず、市場価値がない。」とされています。

要は食べきる日という意味であり、日本の消費期限の考え方である「安全に食べられる期間」よりも長く感じられるニュアンスで定義されています。そしてCodexでそう定義されているため、海外の販売期限は長い傾向にあります。

日本人の多くは日本の食品の品質レベルが高いと思っています。実際その通りなのですが、海外ではそう思っている人ばかりではありません。その理由がこの販売期限と関係します。

日本では4~5ヶ月の賞味期限のスナック菓子が海外では18ヶ月の有効期限表示で販売されている商品もあります。例えばマシュマロは日本の最大手メーカーは5ヶ月の賞味期限で、海外のメーカーは18ヶ月の有効期限表示をしている商品もあります。

そして海外の食品業界の一部のでは「日本という国は劣悪な環境で食品を作っているから販売期限が短い」と言い、日本の食品の品質レベルは極端に低いとい考えています。

海外のディストリビューターでも何度も言われました。『日本の販売期限はどうしてこんなに短いのか?日本は自動車や家電商品で世界の最先端の技術を持っているのに、食品の販売期限はなぜこんなに短いのか?日本の食品メーカーは技術レベルがそんなに低いのか?』

因みに、日本の食品メーカーでも海外に商品を大量に輸出販売していたり、海外に本格的に進出している食品メーカーは当然のように日本と海外で販売期限の考え方を変えています。

ところが、そんな事情を理解していない食品業界人が、「あのメーカーは輸出商品の販売期限が長くなる不思議な会社だ。」などと、とんでもないことを言うのです。全くの勉強不足で海外に売る機会を逃しているだけなのですが勉強不足なだけです。

物流事情が悪く路線便もない海外の国で、日本と異なり数少ない食品メーカーが自社商品を遠方まで届けるには長い日付を打つ必要があるために、そうなっているのです。

賞味期限と有効期限の違いを、日本の食品メーカーに教育して欲しい。』私は海外のディストリビューターの責任者から何度も何年もそう言われ続けてきました。

「なぜ、日本の行政はマッチング支援ばかりして、肝心な海外向けの商品開発について何も教育をしないのか?」そう言われ続けてきたのです。

因みに、食品を海外に輸出するには日付の壁が存在します。その壁は、6ヶ月、9ヶ月、12ヶ月、18ヶ月です。それぞれの販売期間を越えれば輸出できる対象国がどんどん多くなります。ディストリビューターも食品輸出商社も販売期間で売り先を考えるからです。

常温加工食品で6カ月以上販売期限のない商品は、基本的に香港くらいしが取り扱ってもらえません。6ヵ月以上あれば、何とかアジアの国に紹介してもらえるかもしれません。9ヵ月以上あればアジアの国々に紹介してもらえます。12ヵ月以上あれば、何とかギリギリ欧米がターゲットに入ってきます。そして、18ヵ月以上あると、世界市場が視野に入ってきます。

長い販売期間を設定できれば輸出できる距離が伸びて、市場が広がると理解し、真剣に取り組んだ食品メーカーが世界市場を攻略できるのです。世界でのヒット商品を目指すのであれば18ヵ月の販売期限(日本の賞味期限ではなくCodexで言うところの最終消費推奨日)を目指す必要があります。

詳しくは「食品輸出の学校」で解説しています。ぜひご確認ください。

図8

株式会社グローバルセールス 代表取締役 山崎次郎

食品輸出の学校 学校長

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