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食品輸出の基本知識②「食品輸出のマクロ情報と国の支援」

~食品輸出のためのマクロ情報と国の支援を知っておく~

海外に食品を輸出しようと考えるなら、食品輸出に関するマクロ情報を知っておく必要があります。どんなことを知っておくべきか、今回は食品輸出のマクロ情報について説明します。

まずは、どんな商品がどれくらいどんな国に輸出されているのか。どの国なら自社商品を輸出できる可能性があるのか。そして過去からどのように輸出金額が増加しているのか。国の輸出目標はいくらなのか。そのような情報から説明します。

次に、食品を輸出するにはどんな規制が存在し、行政は一体どんな支援をしてくれていて、どこに問い合わせれば色々教えてもらえるのか。そういうことを事前に知っておく必要があるので説明します。


食品輸出金額は農林水産省が実績を毎年発表しています。「農林水産省 輸出実績」と検索すれば一番上に出てきます。詳しくは農水省のサイトにまとめられていますが、2019年の輸出実績は9,121億円で前年比0.6%増加しました。2020年の目標1兆円ということで、国を上げて1兆円の目標達成のためにと取り組んできましたがほぼ前年通りでした。

国別の輸出金額の実績では「1位香港。2位中国。3位米国。4位台湾。5位韓国。6位ベトナム。7位タイ。8位シンガポール。9位オーストラリア。10位フィリピン。」と記載されています。

品目別輸出でも記載されています。加工食品より生鮮品のほうが多く輸出されていて、加工商品の輸出金額は思うほど伸びず、生鮮品の輸出金額が伸びているのが現状です。行政による支援は農林水畜産事業者向けの支援が充実していると言えますが、加工食品メーカーによる海外販路開拓の取り組みが充分行われていないという面もあります。

農林水産省が2020年のあるべき姿1兆円を発表した当初の数値は「加工食品5600億円。畜産品250億円。農産物550億円。水産物3500億円。」でした

2012年の実績が「加工食品1430億円。畜産品50億円。農産物130億円。水産物1700億円。」という実績であったことを考えると、この7年での輸出金額の伸びは全体が2.0倍で「加工食品2.5倍。畜産品5.9倍。農産物5.6倍。水産物1.7倍。」ということで畜産物と農産物が大きく伸びて加工食品の輸出金額は2.5倍になっただけです。スーパーマーケットの売上では加工食品が半分以上の売上を占めていることを考えると、加工食品が一人負けしている状況です。

また少し前の数字ですがこんな数字があります。三井物産戦略研究所さんが2014年に発表された「世界主要国の食品製造業概況」という数字です。

この数字によると、「世界の主要73ヶ国の食品メーカーは年間約683兆円出荷して約106兆円(15.5%)を輸出しています。」そして「日本の食品メーカーは約36兆円出荷して0.4兆円(1.4%)だけ輸出している。」ということで、日本の食品メーカーが世界平均の15.5%を輸出できれば加工食品だけで年5.6兆円輸出できたということになります。

加工食品の国の2020年の輸出目標が5600億円で加工食品メーカーの輸出平均からの理論値は5.6兆円なのに、日本の加工食品メーカーは3271億円しか輸出できてないのが現状です。日本は島国で不利な状況にはありますが、まだ10倍以上輸出を狙える可能性があり、まだまだ取り組みが充分ではないのです。

この大きな原因は2つあり「多くの食品メーカーの食品添加物のグローバル対応が遅れていること」と、「多くの食品メーカーの販売期限のグローバル対応が遅れている」というのがこれまでの経験から言えます。

行政が必死にマッチング支援はしてくれているのに、食品メーカーがこの支援を取り込めていないの状況です。世界どこでも売れる商品を最初に商品開発してから世界に売ればよいのに、日本向けに作った商品を海外に売りつけようとしているため、食品添加物規制に引っ掛かり輸出できないために輸出金額が伸びていないのです。

国によっては日本のように厳しく決まりを運用していない国もあり、特例基準で同一商品を一定個数までは輸入できたりする国もあります。そして正式な検査や書類を経ないで裏ルートで輸入して販売している会社も現地にはあります。

日本で売っている食品をそのまま添加物調査なしで商品の裏面の原材料表示情報で輸入できるのは食品添加物の基準の運用が厳しくない「香港・シンガポール・マレーシア・カンボジア」くらいです。

これらの国は色々な例外基準があるため裏面表示の確認だけで、一部認められていない食品添加物を使用してさえいなければ輸入できますが、それは特殊な話であり、通常の食品輸出は添加物のグローバル対応が必要となります。

また、食品を世界市場に売っていくには、国の支援を有効活用する必要があります。国がどんな支援をいているか知っていれば、無料で詳しい担当官に聞くことができます。

国の支援は、主にマッチング支援です。海外のディストリビューターや国内の輸出商社をどんどん紹介してくれます。

ある意味、顧客に営業するチャンスはいくらでもあるのです。食品を輸出するには、(1)海外のディストリビューターに直接貿易取引で売るか、(2)日本の食品輸出商社に国内取引で売るか、この2つが売り先ととなります。ジェトロや農水省がこの取り組みを進めているのでぜひ活用していただきたいです。

但し、仮にマッチングしてもらって売り先を見つけられたとしても、そこからいろいろ分からないことが出てくるので上手くいかないのです。実は、困ったことがあったら電話で相談できる窓口が設けられています。私も何度も利用してきました。

農水省 食品輸出相談窓口」と検索すると、農産省の「農林水産物・食品の輸出の一元的相談窓口」というページが見つかります。ここに各種問い合わせの連絡先が記載されていて、農林水産省輸出促進課の電話番号も記載されています。

ここが様々な支援の入口になっています。まずは、ここに電話をして自分が何を分からないのかはっきりと伝えて、どこに聞くと良いアドバイスを受けることができるか聞く必要があります。

ここに電話をして全て解決する訳ではありませんが、どこに連絡すればどんな支援を受けられるか教えてくれます。例えば「中国に輸出する際の書類を取得したいが何をどうすればよいか分からない。」そう質問すると、どこに電話すれば良いか丁寧に教えてくれます。

そして教えてもらった先に電話すれば詳しい話を聞けます。そうやって活用できる非常に便利な機能が設けられています。食品輸出に関しては分からないことは、皆同じで、同じ質問をしているので、電話を受ける方も慣れているのでぜひ有効活用いただきたいです。

しかし、キモとなる「食品添加物のグローバル対応」と「販売期限のグローバル対応」については誰も何も教えてくれません。以前、JETROの専門窓口に電話したら、『その情報が本当に欲しいのですが、情報がないのです・・・』と言われ、自ら『食品添加物海外対応ガイドライン』を作ってしまいました。こちらの連載記事で、ぜひとも確認ください。

株式会社グローバルセールス 代表取締役 山崎次郎

日本食品を世界で売る会 チーフコンサルタント

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ありがとうございます。ぜひ、販売期限のグローバル対応もご確認ください!
イオンで31年勤務し海外業務に28年関与。2か国9年海外駐在。海外業務・海外商品開発・品質管理のスペシャリスト。食品輸出事業の責任者経験から海外営業・海外商品開発を多数コンサルティング。2020年業界紙「食品新聞」1面最上段で食品輸出ノウハウを20回に渡り連載。食品海外展開支援。

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