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複数の企業管理SaaSを展開するWorkdayの解説:Global Tech Journal vol.1

お久しぶりです。

「Webマーケター1年目の教科書」を運営していた本アカウントですが、筆者の2年にわたる執筆ブランクを経て、この度、再開することにいたしました!!

実は、執筆を止めていたこの2年間で様々な変化がありまして、Webマーケティング戦略を担当していた筆者の業務領域は、「マーケ戦略→事業戦略→M&A戦略」へと変化をしておりました。

その中で、「Webマーケに関する情報が世の中に足りていない!」と感じていた当時の私から価値観は変わり、(日本企業の情報は身近にあふれているのに)海外企業の戦略/財務情報を日本語で読めるメディアがほとんどない・・・!」ということを、最近では課題に感じるようになっていました。

そんな時にふと、そういえば昔、Webマーケティングについて情報発信をしていたな・・・ということ、また、今回も同じようなお悩みを抱える方々が自分以外にも多くいるのではないか、と思いまして、この度、「Webマーケター1年目の教科書」を改め、「Global Tech Journal 〜海外IT企業のIRまとめ〜」を試験的に開始することにいたしました。

早速ですが、記念すべきGlobal Tech Journal vol.1は、企業管理SaaSを多数展開する海外IT企業である「Workday」を紹介いたします。

■沿革

Workdayは、2005年にAneel BhusriとDave Duffieldが共同創業した企業で、人事領域の管理SaaSから始まって、現在は複数の領域にSaaS事業を展開しています。

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◾️事業内容

・先述の通りでWorkdayは、企業管理の各領域でSaaSを展開しています。従業員のスキルや勤怠を管理する人事領域のSaaSの提供から始まり、売上・利益などの財務情報を管理するSaaS、調達プロセスや調達先への請求を管理する請求管理SaaSなど、領域は非常に多岐にわたり、また、それらの情報を分析するSaaSも提供しています。

・人事管理SaaS

人事管理

・財務管理SaaS

財務管理

・収支管理SaaS

支出管理

・分析SaaS

分析ツール

◾️直近の動き

・最近では、派遣社員や外部委託などの非従業員を管理するSaaSを提供するVNDLYを買収。これにより、すべてのタイプの従業員 (サラリーマン、時間給、派遣社員、外部委託) に対して、管理ツールを提供可能な状態を整えました。

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◾️今後の戦略方針

・Workdayでは、売上高100億ドルを目指して、ARR20%成長の維持を目標としています。そのために、財務管理SaaSにおいては、サービス対象となる業界の拡大、財務分析ツールのさらなる自動化、世界へのさらなる進出などを行い、人事管理SaaSについては、対象業務の拡大、従業員体験の促進、世界へのさらなる進出をしていくと打ち出しています。

・Workdayの目標

目標

・財務管理SaaSの注力領域

注力領域

事業拡大

・人事管理SaaSの注力領域

事業拡大3

事業拡大2

◾️財務情報(FY21終了時点)

・Workdayの売上は51.4億ドルと大規模でありながら、成長率はYoY19.0%と依然として高い水準です。一方、営業利益は-1.2億ドル、純利益は0.3億ドルと、赤字と黒字の境目をさまよう低い水準を推移していますが、自己資本比率が43.2%と高い(総資産は105.0億ドル、純資産は45.4億ドル)ため、安定した財務状況のもとで研究開発費への投資を続けているといえます。また流動資産が潤沢なため、今後はM&Aへの積極投資をする可能性もありそうです。

◾️KPI(FY21終了時点)

財務管理SaaSのユーザー数は1150社超、分析ツールは5700社超、収支管理SaaSは1250社超と非常に高い水準です。また、サブスク収益はYoYが31%(2021年7月31日に終了した12ヵ月間)とこちらも非常に高い水準にあります。

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◾️株価情報・マルチプル(FY22/7/29時点)

・現在の時価総額は394億ドル。米国金利上昇の煽りを受けて2021年末から時価総額は下落傾向にあります。PERは純利益が低いため487.9倍と非常に高くPSRは7.2倍と業界平均と比較して妥当な水準です。規模と成長性は高いですが、世間の評価は一般的な水準のようです。

チャート

■まとめ

以上、Global Tech Journal vol.1では「Workday」を取り上げて解説をしてみました。この規模感になっても成長&積極投資し続けているのは圧巻です。

もし本記事が勉強になったという方がいらっしゃいましたら、いいねとフォローいただけますと幸いです。筆者の執筆モチベーションになります。

ここまでご愛読いただきありがとうございました。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

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