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「正解探し」を打破するアート思考

第280回グローバル人材育成研究会は、「来期の人材育成・研修企画の必須要件!自社リーダー層の「正解探し」を打破するアート&デザイン思考」をテーマに、当社パートナー講師の泉本保彦氏をお招きし、当社代表福田と開催いたしました。

正解のない時代のリーダー育成、
「正解探し」を強化していませんか?

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グローバル・アジャイル・デジタルが加速する昨今。パンデミックを通じて私たちの働き方が大きく変わったように、不確実で複雑な事業環境下においては、たとえ経営者であっても、誰も「正解」を持っているとは限らない。そんな時代となりました。これからのリーダーには、いかに「自分の頭で考え、答えを出し、組織を変革へと導くことができるか?」が求められます。

しかし、上意下達や正解思考がもともと強い組織カルチャーの中において、従来型の知識習得を中心とする研修をぶつけてしまうと、ますます「正解探し」が強まり、正解思考が強化されてしまいます。結果として、プログラムの最終提言も「自社が持っているソリューションありき」「夢物語で終わってしまう」「スケールが小さい」といった声をご相談いただくことが増えています。

そもそも研修の成果とは、「どれだけ視野を広げ、自分で考え行動変容を起こし、成長があったか?」ではないでしょうか。研修とは、そのために「失敗は大歓迎!新しいものをどんどん試してみよう」という「挑戦」の場であるはずです。一方で正解思考が打破できないと、研修の中においても、はみ出すこと自体に制約や抵抗を感じてしまい、失敗を恐れて質問や発言もできない、という事態も生じてしまうのです。

正解思考を打破するには?

では、正解思考はどうすれば打破できるのでしょうか?

正解思考が強いと、まず「未知のもの、慣れてないもの」に対峙した時、「わからない」「難しい」「正しく理解できていないと不安・苦手」といった逡巡から、思考停止になってしまう、ということがしばしば起こり得ます。正解のない難題を抱える現代には、こうした「モヤモヤ」から逃げず、それを超えていくことこそが重要です。

誰も正解を与えてくれない時代に、リーダーとして方向性を指し示す。そのためには、まるで「霧の中を歩いているよう」なモヤモヤから逃げることなく、自分なりの答えにしっかり向き合い「自分の中にある考えを掘り起こす」ことが必要なのです。

将来どのようなインパクトを与えたいのか、今自分自身は何を課題と思っているのか。そうした根源的な問いに向き合わずして、「答えのないような問い」に対する自分なりの正解は、見つけることは難しいのです。

今求められる「両利き」のリーダー

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これからのリーダーの課題解決能力の向上には、「左脳」に限らず、「右脳」を使うことも必要になってきています。課題解決にあたっての「あるべき姿」を描く際に、他社とのベンチマーキングを通して作るのではなく、自ら「これが課題ではないか」と定義し、その解決をするという形で「あるべき姿」を描き示す。それは、正解のない世界において、そのリーダーとしての「プレゼンス」を高めることにもつながります。

左脳的な論理的思考力だけではなく、右脳的な課題設定力。どちらも「両利き」としてシーンに応じて使い分ける。こうしたことが、これからの世界、リーダーには益々求められるようになっているのです。

第2部では、当社パートナー講師の泉本保彦氏をゲストにお招きし、アート思考についてお話いただきました。「マクロ環境とシナリオプランニングを組み合わせる」「戦略策定にデザイン思考を取り入れる」といった境界線を越えたユニークな研修プログラムをご一緒に提供させていただいています。

自分なりの答えを見出す「アート思考」とは

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芸術家は、「作品」という媒介を通して自らの想いを表現し、創作を行います。同じように、「人が何と言おうが、自分がこれが課題だ」と思うことを世に問う。これがアート思考です。こうしたアートの視点が、近年求められているイノベーションイノベーションの創造に役立つとされ、注目を集めています。

これまでの企業活動の中心は、人々が抱える「問題」の解決、が中心でした。つまり「困りごと」をどうすればなくせるか?現状とあるべき姿のギャップ」をどう埋めるか?がビジネスの問いの中心であり、企業の多くは既に顕在化されている、他人が定義した問題を解決し続けてきました。
しかし、すでに多くの問題は解決されてきています。

だからこそ、これからのリーダーに問われるのは、「問題」ではなく「課題」を定義し、解決する力です。「マイナスをゼロにする」問題解決ではなく「ゼロをプラスに持っていきたい」という”思い”が起点となるのです。

泉本氏:「正解のない時代だからこそ、これからは創造力と想像力で、自分だけが持っている視点で独自の課題を設定し、ゲームチェンジャーになること。それこそが、リーディングカンパニーとなっていく唯一の道なのです。」

変化の激しい時代だからこそ、価値転換や顧客にとっての「意味」の構築を企業が実現するには、いかに「既成概念や固定観念」を打破できるか?が鍵となります。そのためには、これまでのような緻密な分析から左脳的に考えるアプローチだけでは足りません。既成概念に捉われず「自分自身の思考や感情」を起点とし、新たな課題を見つけていく。そうした新たな右脳を使った思考法としてのアート思考は、これからの時代の企業活動におけるイノベーション創造に欠かせない考え方なのではないでしょうか。

”日本人財緊急事態宣言”

スイスのビジネススクールであるIMDが公表している世界タレントランキングをご存知の方も多いかと思いますが、ショッキングなデータがあります。
日本の優秀な人材の「在庫状況」は、世界ランキングで「第54位」とされています。
実は、日本の「15歳の基礎学力」は、世界でもトップにカテゴリされており「第5位」に位置付けられています。
それにもかかわらず「有能なシニアマネジメント」となると、世界ランキングは「第61位」。15歳で5位だったランキングから、大幅に順位を落としてしまいます。

こうした日本人ビジネスパースンに関する調査結果に加え、泉本氏は「この度のパンデミックで2年ぶりにオンラインで接した欧州人財、北米人財に比べて、日本人財は内に籠っているように感じられ、欧米人財との差がさらに広がった」と話されています。泉本氏はこれを「日本人財緊急事態宣言」、と呼んで注意を喚起しています。

この状況を打破するためにまず必要なのは、私たちの日常をとりまく「当たり前」を疑うこと、ではないでしょうか。たとえば、日本でよくありがちなのは「意味がないとわかっていても、ルールであれば必ず守る」ということ。「昔決めたこと」で既に実情では破綻していることでも、「ルールだから」と誰も何も言わずに守り続けている。そうしたことが起こりがちです。

変革は「誰かが声を上げる」ということから始まっていきます。50年前のアート作品には、当時は「馬鹿げている」と言われたものでも、今は現実化している作品も多くあります。

「50年後、30年後考えるときは、今、少々ばかげたことを考えるくらいで、ちょうどいい」(泉本氏)

根強い正解思考があるからこそ、型にはまることなく、自由に発想する。
正解がない問いや思考法を通して「揺さぶり」を起こし、自分なりの答えに向き合う。

こうした視点こそ、これからの答えのない時代に未来を切り開くリーダーを日本で育成していくにあたって、欠かせないのではないかと私たちは考えています。

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アート思考・リーダー育成にご興味のある方は、グローバル・エデュケーションまで是非お気軽にお問合せください。

お問合せ先: グローバル・エデュケーションアンドトレーニング・コンサルタンツ株式会社 

■上記内容に関するお問合せは、こちらから

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