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文フリとアイドル力とわがままと

5月25日(水)

明日も来週も出張が入っているため、オフィスにいる今日はどたばたと仕事。スケジュールがおかしい。
昨日業務変更でやらなかった仕事が今日に回ってきたのでさらにどたばたする。昨日の暇な時間にちゃんと仕事しなかった自分を呪う。
無限にコーヒーが出てくる部屋にいたら、珍しくうちの部署のリーダーがやって来た。仕様変更が原因で立て続けにトラブルが起こっているので、そのことについて部署のリーダーと怒り口調の早口で話し合っていた。すると、それを聞いていた部屋の主(コーヒーを出してくれる人)に「話し方が怖い。いつもの優しい早乙女さんと違う」と言われたので、はあ?何言ってんだこいつ、と思いながらも「〇〇さんに怒っているわけじゃないですよーうふふー」とか返した。そうしたら部署のリーダーが「いやいや、これが早乙女の平常運転ですよ!この人はいつも怒ってるんですよ!」と援護射撃?してくれた。たしかに最近の私は、無限にコーヒーが出てくる部屋以外の場所では、たいていいつも怒っている。
夕方眉サロンを予約していたので、30分ほどで雑な企画書を作り、部署のリーダーに投げて退社。

眉サロンではいつも通り爆睡した。
眉を抜かれ終わったあとは伊勢丹に寄る気力もなく帰宅。日記をアップした。書くものも文フリ準備も新刊の付録日記も全てが停滞している。あと仕事も。

5月26日(木)

一日出張で外仕事。万全の日焼け対策で臨む。暑いし疲れるし、昨日の眉サロンで寝違えたらしく背中が痛いしで、最初はダウナーな感じでやっていたのだが、途中でめちゃくちゃ嬉しいことが起きた。チームの若い子は喜びすぎてその場で側転していて、私もぴょんぴょん飛び上がって叫んでいた。そしてその嬉しかった瞬間をちゃんと動画で記録しておいてくれる、今年私のサポートについている新人男子……優秀すぎる。
人相手の仕事だから、予想外の出来事がたくさん起こる。嬉しいことも、もちろん大変なことも。時折、予想外のはちゃめちゃに嬉しい出来事があって、その喜びを顧客や同僚と共有できるときだけは、この仕事をやっていて本当によかったなと思う。プライベートでも嬉しいことはたくさんあるけれど、この先の人生でぴょんぴょん飛び上がって喜ぶほど予想外に嬉しい出来事が起こる気がしない。今ちょっと考えてみて、「草野マサムネが目の前で私のためだけに歌ってくれる」とか「推しが目の前で(略)」とかしか思い浮かばなかった。

全ての仕事が終わると、暑さと疲労でぐったり。帰りは、車で来ていた同僚が家のそばの駅まで送ってくれた。
最寄駅の百均で文フリのための買い物をして、T氏と合流。クラフトビールの店で飲んだ。疲れのせいか酒がめちゃくちゃ回る。

ワインのようなビール
揚げた芋と何かのディップ


どんな文脈でだか覚えていないけれど、T氏に「ぐりこはわがままだから」と言われて、私はそれにいたく傷ついてしまった。別にその通りなのにね。そうか、私がわがままだから私と一緒にいる男はみんな病んでしまうのか。と思ったら笑えて泣けてきた。日記に書こうと思って、何をもって私をわがままだと思うのか問いただして、聞いたことを元に頭の中に日記の下書きまで書いたけれど、酔いが醒めたら一つも覚えていなかった。

5月27日(金)

気づいたら全裸で布団のなかにいた。風呂に入って二度寝。
午前中、新刊付録の日記の編集作業。最後の大詰めで誤字チェックをした。
仕事は休みの日だけれど昼過ぎに出勤する。たまっていた仕事を片付けて、あとこっそり文フリの準備。印刷機の調子が悪くて泣きそうになった。
とりあえず明日の仕事は乗り切れそう、というところまで働いてから退勤。神保町に向かう。夜、一ツ橋ホールでアンジュルム・佐々木莉佳子さんのバースデーイベントがあるのだ。引っ越して以来、神保町に来るのは初めてでわくわくしてしまう。行きたい店は山ほどあったけれど、時間もなかったので、おいしいカレーが食べたい&食後にコーヒーを飲んでゆっくりしたいという欲を満たすべくラドリオへ。

カレーが懐かしい


このほわほわの生クリームも懐かしい

後から入ってきた女子二人組も佐々木さんのバースデーイベント待ちだったらしく、ひたすらハロプロの話をしていたので心の中で相槌を打ちながら聞いていた。

佐々木莉佳子さんのイベントは、前半がファンの質問に答えるコーナー。言葉の端々に仲間やファンへの愛情が感じられてとっても尊い。そしてちっちゃな椅子にラフに腰かけている姿さえかっこいい。竹内朱莉さんの新しい趣味を考えて、という質問に「ドッヂボール」と答えていたのが笑えた。
そしてライブ。可愛い曲多め、という言葉通りの選曲だった。私は二部に入っていたのだが、一部とは全曲違っていたらしい。すごい。三曲目、映像でしか見たことなかった曲を生でやっていて鳥肌もの。胸のあたりをぎゅっと抑えながら聞いていた。その流れで四曲目のあのイントロが来てもう泣いてしまった。終盤でミスって最初から歌い直してくれたので二回目は冷静に聞けた。
帰宅して、文フリの準備をしようと思ったけれど、もう何もできない。

5月28日(土)

5時起きして、明日の文フリの看板とメニュー表を作る。メニュー表は初めての試み。今回、しゃんぶるぶらんしゅが文フリで抽選漏れしてしまって、早乙女ぐりこ個人のブースにしゃんぶるの本も置くことになるため、たくさんの本の内容と値段が一目でわかるようにしたかったのだ。看板のデザインはメイコが考えてくれたので、私はそれを加工したり文言をつけ足したりしただけなのだが、それでも四苦八苦。家を出るまでになんとかなったのでよかった。
出勤してどたばたと仕事。もう、ずっとどたばたしている。常に何かに追われている。トラブル対応もやって、夕方退勤。
池袋の美容室へ。一カ月半ぶり。担当美容師のMさんは疲労と腰痛でテンションが高く、私も入稿前からずっと続く変なテンションで、二人してひたすら、うきゃーとかいえーいとか言い合っていた。
一カ月半で前髪が伸びたのでずっとかきあげてデコ出しをしていたのだが、ぱっつんに切った。うん、やっぱりこの方が私らしい気がする。

百均で文フリのための買い物をして帰宅。看板とメニュー表をコンビニコピーして、明日持っていく荷物の準備をする。

チーズゴシックのしゃんぶるロゴ、メイコに褒められて嬉しい
メニュー表もなんとか完成してよかった


日付が変わってだいぶ経ってから就寝。なお、新刊通販の準備は手をつけていない。

5月29日(日)

文フリ当日。5時起床。寝不足よくない、と思いサプリを飲んで二度寝。
6時に起き出して通販発送の準備。スマートレターの封筒に、ラベルライターで作った宛名のラベルを貼っていく。かかる時間は手書きと変わらないけれど、誤字などのリスクがないのは良い。中に封入する手紙はこれまでと変わらず手書きした。
前回、来場者が予想より多くて、持って行った既刊があっという間に在庫切れしてしまったので、今回はキャリーケースにぎっしり既刊を詰めて持って行った。キャリーケースが持ち上がらない。エレベーターのあるマンションでほんとうによかったと思う。キャリーが重すぎて荷物を入れ替えたりバタバタしていたらメイコとの待ち合わせに遅刻して申し訳なかった。

入場時間より少し早く会場に着いた。設営の時間が一時間半たっぷりあったはずなのに、持って行った百均の台の組み立てや、新刊ZINEと付録の日記本をセットにしてぱりぱりの透明な袋に入れる作業に予想外に時間がかかって、パニックで泣きそうになる。だって、おしゃれなZINEって、たいていパリパリの袋に入ってかわいいシールで封してあるじゃん!(偏見)
自分でなんだってやってやるぜという気持ちで、苦手なこともいろいろ挑戦してみた今回の文フリだったけれど、根本的に私はポンコツなのだった。うまく新刊が袋に収まらなくてテンパってどうにもならなくなっている私の代わりに、メイコがブース上の飾りつけと通販分の新刊封入作業を全部やってくれた。神。

気づいたらメイコの手で設営完了していたうちのブース。

わかっていたけど、本が、多い!
以下、文フリ開始から終了までの所感、思い出すまま箇条書き。

・お隣のサンポーさん、とてもやさしくてありがたかった。
・会場の熱気がすごい。出店者も来場者も、コロナ禍で離れていた人たちが戻ってきた感じ。
・久しぶりにお会いする人もいれば著作を読んでいたけれどご本人に初めて会えた!という人もいて本当にうれしい一日だった。
・文フリは出店者も来場者もおしゃれな女子が多くて、普段私は身なりに気を使わないおじさんたちの中で働いているのでおしゃれで可愛い女子に本当に飢えており、自分のブースに来てくれた人が素敵なお洋服を着ているといちいちテンションが上がって誉めてしまった。きもくてごめんなさい。
・中でも武塙麻衣子さんのブルーの花柄シャツは最高だった。知らずに「素敵ですね!」と声をかけたら、それが武塙さんで、ばかみたいにテンションが上がった。
・てめえ調子乗ってんじゃねえぞと思われるのを承知で書くと、私は文フリで自分のブースにいるときに自分のことをアイドルだと思い込むことにしている。しているのだが、年々自分のアイドル力が衰えてきているのを感じる。記憶力とか体力とか即レス力とか相手に合わせて会話するコミュ力とか聴力とかいろんな面で。三十歳を超えてアイドルを続けている柏木由紀さんやnegiccoのみなさんに尊敬の念を覚える。
・いつも応援してくださっている方が、初めて彼女連れで文フリにいらしていて、「あれ、彼女さんですかー!!!」ってなってテンションが上がった。お幸せに!
・noteを読んでますと言ってくださる方、本当に本当にうれしかったです。コロナ禍でなければぎゅっと手を握りたいくらい。初めて文フリに来たとおっしゃっていたり、丁寧にnoteの感想を伝えてくださったり……。
・note日記を始めたときには、noteに書いた文章は紙の本とは違って、ネットの海に流れて消えてしまうものと思っていたのですが、文フリにnoteの読者の方が来てくださる度、そうではないのだと思い知ります。noteの日記は無料で読めるのに、文フリに行ってお金を払って紙の本を手に取りたいと思ってくださること。励みになります。「毎週note更新してくれてありがとうございます」と言っていただいて、「いやいやこちらこそ、毎週読んでくださってありがとうございます!?!?」という感じでした。
・元夫は生存していた。

いただいた差し入れ

・↑の差し入れをいただいたのに、それが誰だかわからなかった私、愚かすぎた。大きく書いてあった。もう、アイドル力とか以前の問題。注意力散漫。
・note日記読者の方に、「そしたら私の親より私のことよく知ってますね」と返したら、「そうは言っても日記には書けないこともたくさんあるでしょう」と言われ、何かあるかなあと思ったけれど、他人のプライバシーに関することで書けないはあっても自分の内面に関することで書けないことって本当にほとんど思いつかなかったです。さらけ出すスタイル。
・いつもは開始直後に好きな作家さんのブースにダッシュするのだけど、今回は新刊の封入でテンパっていてその時間がとれず。開場したら開場したで、なかなか自分のブースを離れる決心がつかず、やっとブースを離れてお買い物に動き出したときには、ほしかった本はだいぶ完売してしまっていて泣きたかった。
・梶本時代さんが新刊の原稿を書いているところを、私はおそらく誰よりも長い時間見守っていた(マウントとかでなく物理的に。オンライン作業会という形で)と思うのだけれど、私が行ったときには新刊が完売していてめでたいけれど泣いた。
・植本一子さん本人からサイン入りの往復書簡本を手渡してもらって感動した。
・ものすごい愛さんとしゃべれたのもめちゃくちゃ感動した。本当に愛のかたまりみたいな人だった。
・知人のMがブースにやってきて、◯○○○と言った。唐突ではあったけれど、数週間前にそんな内容の夢を見ていたので驚かなかった。私、自分は全然勘とか鋭いほうじゃないと思っていたけれど、あれ、予知夢だったんだなあ。

あっという間の五時間が過ぎ、撤収作業にとりかかる。寝不足と胃の調子が悪いのとで、昼食はゼリー飲料×2という意識高そうなメニュー。打ち上げもせず帰りはふらふらで帰宅した。メイコとひたすらしゃべっていて、何も疑わずに反対周りの山手線に乗ってしまって二人で慌てて乗り換えるなどした。
お花と宅配を受け取る予定があったので打ち上げなしでまっすぐ帰宅したのだが、家に着くともうお花は玄関先に届いていた。きれいな花に癒されて泣きそうになる。

ずっと眺めてしまう

部屋を見回す。しばらく余裕がなくてちゃんと掃除はできていなかったけれど、致命的に散らかってはいない。これまで、入稿〆切やイベントの度に部屋の中をひどく散らかしていたのに。『おうちにまつわるエトセトラ』という本を出した途端に気が抜けて部屋がぐちゃぐちゃになるかもしれないなと思っていたけれど、大丈夫だった。お花が来て、よりいっそう部屋も明るくなった。

床にへばって動けない。今日文学フリマで買った本たちを読みたかったのに、手を付ける気力がない。今月、余裕がなさすぎて一冊も本を読んでいないし映画も観ていなかったのだが、文フリが終わってもダメなら本当にこのまま何もインプットしないまま五月が終わるかもしれない。私のnote日記を読んでいると言ってくださった方たち、最近の私の日記を読んでがっかりしていないだろうか。本や映画の感想がなかったら私の日記なんかただ酒を飲んで気持ちを病んで仕事の愚痴を言っているだけじゃないか、と思って落ち込みそうになる。けれど、まあそれも私だしなと思える。ポンコツで事務能力皆無でも、アイドルになりきれなくても本読めなくても、私は私。しゃーない、それが今の私。そんな風に思えて低空飛行ながらなんとかやれているのも、自分をさらけ出した文章を読んで、それを肯定してくれる人がいるのがわかっているからだと思う。私のことは嫌いでも私の書くものを読んでくれたらうれしい。(アイドルっぽく締めるのやめろ)

うっかり、新刊も含めてすべての本の在庫を宅配で送ってしまって、現状手元に本が一冊もないし、pixivにお金を落とすことへの抵抗もあってtwitterではまだ宣伝できていないのですが、新刊・既刊ともに通販やっています。発送まで数日かかりますがよかったらこちらからご利用ください。

次回文フリについて。しゃんぶるぶらんしゅの出店は未定(メイコとこれから相談!)ですが、早乙女ぐりこ個人名義では次回も出店予定です。

次の本について。全然どうなるかわからないけれど、私は、私が「追悼:山本文緒」というテーマで渾身の一冊を作りたい、作らなければと、去年の末くらいからずっと思っています。実現させるとしたら分量・中身共にうすっぺらな本には絶対できないし、企画・執筆・編集・販売いずれの意味でもその重圧に自分が耐えられるかわからない。いろんなものが圧倒的に足りていない。やりたい気持ちだけがある。
本当に、どうなるかわからないけれど、もし、参加or協力できるよという方がいたらお声かけ下さい。

最後になりましたが、文学フリマ事務局の方々始め文学フリマ開催に向けて動いてくださった皆様、ご出店・ご来場のみなさま、本当にありがとうございました。あの素敵な空間にいられた私は最高にハピネスでした。またお目にかかりましょう!

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