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生きることと幻想の間

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#祈り

240228

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珍しく晴れる。その下の土を思いながらざらついた雪を踏み締めて、祈りを込めて歩いた。一歩一歩、ただしく冬が行き春が訪れますように、と祈りながら。柏の枯れた葉がざわざわと挨拶をしてくれる。風が吹いている。あの山から、遠く、あちらの山まで。見えない道が敷かれ、糧を求める白鳥たちが声をあげて飛んでいく。

ふと目の前に湖があった。どこまでも続く巨大な湖だ。私はその中に波紋もなく立っていた。端は深い霧によっ

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祈りについて

祈りについて

「祈り」という言葉について想像するたびに浮かんでくるイメージがあって、光――雲間から差しているような金色の光に満ちた眩しい空、そびえたつ白に近い灰色の塔(装飾もないつるりとした壁、空を貫いてしまいそうなくらい高い)、塔の周りを飛ぶ鳩の群れ、そしてしなやかな白い手と皺のある老いた女性の手が編む真っ白い糸。
今現在のわたしの「祈り」に対するイメージだ。

前からなんとなく、祈りは編むもの、思っている。

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