2022年10月の記事一覧
たとえば永遠に失われた花が
たとえば。
この国では永遠に失われた花が、遠い異国で、誰かの手で、芽吹くこともあるだろう。
地球で永遠に失われたものが、他の星にて生まれ落ちることもあるだろう。
わたしたちが永遠に失ってしまったものが、いつかどこかで、産声をあげることもあるだろう。
絶望はしたくない、と思って、そうしようと決めて。それから信じることにした(信じられなくなるときもあるけれど、また信じることができればそれでいい)。
おばあさんの幸福の畑
ご近所に妖精がいそうな畑があって、おばあさんと彼女の亡くなった犬と、目に見えないものたちで整えられたそこがとても好きで。犬との散歩の途中に声をかけていただいて、おばあさんから花を分けてもらったこともあった。(オレンジ色の元気なポピーだった)
雪が溶け、春になってもおばあさんは畑に現れず、だんだん荒れていく場所を見て、あのおばあさんはもう帰ってこないかもしれない、少なくともわたしの目に見える形では