主要国立大学経済学部の科目の多様性比較

「経済学について幅広く学べる大学はどこなのか?」という素朴な疑問に応えるべく、各大学の教育課程表、開講科目一覧、シラバスなど、インターネットで入手可能な情報を使って比較を試みました。ただし、一部の大学では公開情報が少なかったり、あるいはデータソースの大学間の統一性が確保できていなかったりするので、一部に抜けがあったり、休講の授業が含まれていたりもする可能性はあります。ある程度の誤差はあるものとご承知おきください。また、関連科目に該当するかどうかは筆者の主観が入っている部分もありますし、目視によるカウントなので、ヒューマンエラーも誤差の要因となっています。

ミクロ経済学・マクロ経済学・計量経済学は、どこの経済学部でも当たり前に存在するので、今回はそれ以外の科目の多様性について着目します。確認する科目は、以下の16種類です。

国際経済学、金融論、国際金融論、経済史、経済学史・経済思想史、財政学、労働経済学、医療経済学、環境経済学、産業組織論、都市経済学・地域経済学、農業経済学・食料経済、開発経済学・経済発展、政治経済学、行動経済学、実験経済学

科目の選定にはやや恣意性もありますが、穏当なものだと思います。

それでは、以下の大学の経済学部で、上記の科目(あるいはそれに準ずる科目)のうちどれだけが存在するか、調べてみた結果を掲載します。

北海道大学:6
東北大学:11
東京大学:13
一橋大学:12(休講中の科目を含めると14)
横浜国立大学:12
名古屋大学:8
京都大学:11
大阪大学:12
神戸大学:9
九州大学:8

<参考値>
大阪公立大学:13
名古屋市立大学:13
(※大阪公立大学は府立大学と市立大学の合併効果あり)

ここに挙げたのは、成績優秀者が目指す国立大学の定番どころですが、誤差があることを考慮しても、随分と開きがあることが分かります。カリキュラムを見ても、学べる科目数の差は歴然としていました。

特に驚いたのは北海道大学でした。大学院科目を除いて学部の科目だけ見てみると、講義が存在しない分野というのがかなり多いのですね。もしかして、大学院の授業を学部生が受講できるのかな(だから少ないのかな)と思って調べてみましたが、そうでもないようです(そもそも北海道大学は部外者が学生便覧等を閲覧できずよくわからない部分もありますから、何かの間違いであってほしいとすら思います)。
北海道大学経済学部規程 (hokudai.ac.jp)

それと、経済学史の分野は、神戸大学にはなく、一橋大学は休講状態になっていました。これはいかがなものでしょうか。一橋大学はその他の科目の充実ぶりが際立っているので、惜しい所です。

「進学してみたら学びたい分野を専門とする教授がいなかった」ということのないようにしましょう。カリキュラムの科目に多様性があれば、様々な分野を学ぶことができ、経済学の面白さが増すと思います。受験生の皆さんは、大学名だけで判断することなく、教員一覧やカリキュラムまできちんと確認の上で受験校を選ぶとよいでしょう。