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【レポート】自律した学びを育む ショートムービー制作PJ 「K-Tube」(上映会編)

2021年12月に、新宿区立柏木小学校で自律する子どもたちを育てる 創造性開発特別授業 1回目(物語づくり編)で、 考えた物語を発表した子どもたち。

特別授業1回目の終わりに、物語を発表した様子

テーマは「時空を超える〇〇の物語」
1回目の授業で作成した物語を、各自で2分の動画として表現しました。

そして、2022年3月23日にみんなの動画を鑑賞する上映会を開催しました!
上映会の様子や、動画の内容など、お伝えします。

ブーーーーーーーー・・・(開演ブザー音)

上映会の概要

上映会は、5年生と6年生をごちゃまぜにした3グループに分かれて行われました。

ショートムービーを6本程度上映した後、「良いな!」と思ったところを伝え合う「いいところ発見タイム」を行うという1セットを4回行いました。

上映会の大きな流れ

1) ショートムービーの上映のポイント
ショートムービーの上映中は、動画の世界に浸るために「物語の主人公になったつもり」で鑑賞しよう!

2) いいところ発見タイムのポイント
動画の完成度で評価するのではなく、「工夫しているところ」や「面白いと思ったところ」など、良いな!と思ったことを具体的に言葉にし、付箋に書いて共有しよう!

発見した「いいところ」を書いた付箋を動画の作者にわたし、みんなで認め合い、学び合っていきました。

1:ショートムービーの上映

教室に集まったら、自由に着席し、上映スタート!

上映の前のソワソワする子どもたちの様子
上映会開始!ホワイトボードに投影されるショートムービー
ニヤケ顔で動画を鑑賞する子どもたち

前のめりな姿勢でムービーを見る子や、時折漏れる笑い声、たまにツッコミが入ったりなど、動画に没頭しながら鑑賞していました。

ショートムービー紹介

上映されたショートムービーは全て力作ばかりでした!
全ては紹介しきれないのでピックアップした3作品をご紹介します。

● ボールペンの物語
〈あらすじ〉
主人公の「ボールペン」くんが、ある日未来の世界に飛ばされてしまう。
真っ白な未来の世界で、世界を色付け、人々を笑顔にするために仲間の文房具たちと協力する。

ペンの「書く」という用途と、描くことで生まれる「創造性」の部分に着目し、物語に落とし込まれている目の付け所が素晴らしい作品でした。

特に、未来の真っ白な世界にたどり着いた主人公のボールペンが「さぁ、世界を色づけよう!」というセリフが印象的です。

また、登場人物である文房具のみを実写として扱い、その他の要素は文房具たちが切り貼りしたり、描いたりして出来上ていくという、世界観の作り込みと、撮影方法の工夫が見られました!

●「カド」に住みくつくカドクッション
〈あらすじ〉
棚の角で子どもたちが頭をぶつけないように守っている主人公の「角クッション」は、孤独を抱えながらも自分の使命に誇りを持っていた。そんな角クッションも、寿命を迎えて天へ上り、天国に住む小人たちにソファとして使われるようになった。どんな形であれ「人に手助けをする」ということへの喜びを感じたのだった。

角クッションの「やわらかい」という特徴を、子どもたちの頭を守ったり、ソファになったり「人を助けるもの」として自分の中で再解釈し、ストーリーが考えられているところが素晴らしいと感じました!

また、角クッションの特徴を観察し、気持ちを描写している点からも、作者の観察力と想像力を感じました!

●アイロンの物語
〈あらすじ〉
主人公のアイロンは、投げられる側としてハンマー投げの大会に出ることになりました。大会には各国から集結したハンマー投げのツワモノが勢揃いしています。ムキムキ王国のムキ太郎選手によって投げられたアイロンは、遠くへ飛んでいきます。着地した場所で、こうたくんに出会い、本来のアイロンとしての役割を得て、こうたくんの手助けをするのであった。

アイロンの「片手で持ちやすい」形を観察し、そこから「投げたらどうなるんだろう?」と思いもよらいない発想の転換がとてもおもしろい作品でした!

登場する選手の背景情報や、選手の解説ナレーションなどとても凝った演出がされており、見ている人がついつい引き込まれ、ツッコミや笑いが起きていました。

2:いいところ発見タイム

動画を見た後は、発見した「工夫」や「具体的な面白いポイント」などのいいところを付箋に書いて共有していきます。

「あのセリフが良かった!」「ナレーションがすごい!」
など、各々感じた良かったところを話しながら付箋を貼りに集まってきました。

実物とイラストを織り交ぜた表現方法に注目した人
途中で出てきたセリフに注目した人
物語全体の面白さに注目した人

など、具体的にどんなところが良かったのかを一生懸命言葉にして伝えていました。また、他の人が張った付箋をみて「これ良かったよね!」と話す姿も印象的でした。


「視点」を意識するようになった子どもたち

1回目の授業では、「身近なものも、視点を変えると新たな発見がある」という発見をした人がいましたが、更に別の視点「見る人の視点になってつくること」を物語を伝えるための動画制作の中で体験したようでした。

動画を作る中で、友達と協力をして技術を高め合ったり
他の人の作品を見て終わるのではなく、良いところや分かりづらいところをを口にして伝えることで納得することができた子もいました。

「K-Tube」では、自ら行動・思考・判断できる自律した子どもたちを育て育む環境をつくるために、以下の3つの重要な要件を、前回の物語づくりの授業から、今回の上映会に組み込みました。

体育館に集まり、「時空を超える〇〇を探し撮影する」というミッションを与えられ、身の回りのモノを観察しながら自由に発想しながら未知のやり方に挑戦しました。

テーマや物語を考える中で、自分の個性や考えを何度も書き直しながらまとめ、自分なりの考えを試行錯誤しながら映像を完成させることができました。

今回の上映会では、みんなと作品を見せ合いながら、自分の考えを表明しあい、取り組みをメタ認知したり、考え方の違いを学びました。

自ら行動・思考・判断するということは、とても難しいことなので、悩みや不安も出てくると思います。上映会で作品を見たときに、助け合ったのであろう痕跡をたくさん見ることができました。

全てこなせることが自律ではなく、自ら行動・思考しながらも、周囲の人々に意見を求めたり、協力してもらいながら、自分なりに判断することが自立していると言えるのではないかと思います。

このK-Tubeを通じて、自ら行動・思考・判断することに対する何らかの気づきや、楽しさを体験し、参加した子どもたち同士で個々の取り組みや考え方を許容し合い、助け合えるような環境ができたように思います。

今回はショートムービー制作という枠組みの中で、テーマに対して自分なりに表現してもらいましたが、今後様々な活動でもたくさん失敗をしながら、自ら行動・思考・判断し続けてほしいです。


スタッフ:川村、和田、尾形、三澤、小野(グラグリッド)、中村佳奈子(パートナー)


▼前回の授業のレポートはこちら


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