若手デザイナーが思う、ビジョンデザインの4つのポイント
こんにちは。川村です。
5月11日に、金沢美術工芸大学にて人生はじめての講演会を行いました!
私は金沢美術工芸大学の出身で、三澤が大学で教えている「サービスデザイン」の授業を在学中に受けるなど、グラグリッドと金沢美大の関係はとても深いです。
グラグリッドで今日までどんな活動をしてきたのか、デザインをする中でどんなことを思ったのか、大学を卒業し、グラグリッドに入社して今年で3年目に投入した、ちょっと学生に近い私だからこその視点でお話をしました。
講演会での学生の様子や、私自身が感じたことなどをお伝えします!
講演会でお話したこと
■ ビジョンデザインの4つのケース
今回の講演会は「ビジョンデザインの現場」というテーマでした。
私達グラグリッドがこれまで関わってきたプロジェクトの中から4つをピックアップして、抽象的なデザインをなるべく具体的にお話しました。
1) 地域の施設コンセプトをみんなでつくった事例
2) 卸問屋が生産者や加工者や販売者をつないでいくビジョンをつくった事例
3) 関係者100人の思いを含めたこれからの研究領域を探索した事例
4) みんなが集まり共創するためのプラットフォームをつくった事例
社会の大きな変化の部分から、観光業界や飲食業界などの様々な業界での悩みを話し、グラグリッドが組織の存在意義をみんなで考える場を構想し、組織の土台となるビジョンをどのように作っていったのかをお話しました。
美大の学生の皆さんは、ものづくりがとても得意です。
だからこそ、私達グラグリッドの活動のアウトプットの部分だけではなく、活動の大きな価値や、活動に参加した人々の気持ちや、行動の変化を知ってもらいたいという思いがありました。
■ビジョンデザインの4つのポイント
私がこれまでのビジョンデザインの活動の中で感じた大事なことや、難しい…と思うことをお話しました。
具体的にどういうことかと言うと、、、
みんなで考えるためには、ファシリテーターが必要になります。
なぜならみんな、考え方にこれだけギャップがあるからです。
この図の「成果」だけを見ている人や、「成果」と「製品サービス」を見ている人、全体を見ている人など、人それぞれ見ているところは様々です。
ビジョンデザインを考えるときには特に、組織に関わる多くの人の声を聞き、トップダウンではなく、関わる全ての人が納得し、主体性を持ち行動できるビジョンが大切だと思っています。
そこで、部署や役職を超え、関わる人の目線を合わせながら、ひとりひとりの思いを聞く、そのためにファシリテーターが必要となります。
みなさんは所属している組織の原点や文化を語れますか?
創業者がどんな思いを抱いていたのか、今日までどんな歴史を経てきたのか、所属している組織の原点や文化を深く知らない方も多いかもしれません。
自分たちがどんな社会を作っていきたいのか?と考えるために、まずは組織のこれまでを理解することが大切だと考えています。
課題解決も大事ですが、主観的な未来を描くことが、組織のパワーにも繋がります。
一人ひとりの思い描く「創りたい未来」が、組織としての「創りたい未来」となり、思い描いた創りたい未来のために「できること」や「やるべきこと」が見えてきます。
一生懸命何かを作っていると、本当に提供したかった価値から外れた合うアウトプットが出来上がってしまうことがあると思います。
アウトプットベースで考えないように、大きな旗印としてのビジョンがあることで、今どんな価値を提供していくべきなのか、何を作らなければいけないのかが見えてきます。
ビジョンデザインは、ビジネス戦略の側面が必要なため、まだまだ私には理解できない部分も多くあり、常に苦戦しています。
ですが、様々な分野や組織の文化を見て、自分の知らなかった世界を知れる楽しみがあります。
また、人それぞれ考え方や見ている方向が違うので、目線を合わせて一緒に考えるためのファシリーテーションは高度な技術が必要なので難しいですが、みんなで答えを発見したときの達成感はとても気持ちがいいです。
学生の反応
活動に参加した人々の行動に影響を与えるということへの興味や、
世の中の大きな背景に興味を示す学生が現れました!
デザインの大きな可能性や、社会への影響など大きく捉えている様子でした。
また、ビジュアライズや、ファシリテーションなど、コミュニケーションの部分に関心を持っている学生も多くいました。
先生からはこんな質問もいただきました。
世の中は美大出身者以外の人の方が当たり前ですが多いです。
デザインの仕事をしている人の中にも、様々な経歴、考え方を持った人がいます。
そんな多様な方々と共に活動する中で、美大で学んだ制度の高いアウトプットを即座に作る力や、絵を描いてコミュニケーションを行えることは大きな強みになっています。
一方で、グラグリッドに入って思ったことは、美大でモノ作りを頑張っていたために、価値で考えるというところが抜け落ちてしまうこともしばしば。
また、上流のデザインではわからない用語が多かったり、文脈を理解することが難しかったりなど、言葉の面で苦労をしました(今も必死です)
終了後にはビジョンデザインやサービスデザインに興味がある学生が声をかけてくれました。
今回の講演会でこれまでの活動を説明する中で、私達グラグリッドの価値が見えてきました。また、自分自身を振り返る機会にもなりました。
学生さんが、授業の課題や、就職活動、社会人になってからなど、ふとしたときに今回の話を思い出し、これからの活動のなんらかのヒントやきっかけに繋がれば嬉しいです。
川村
講演会で紹介した事例を下記で紹介しています。ぜひご覧ください。
1)関係者全員が自分事で考え、自走できる組織文化をつくる
2)ビジョンを発信し、組織文化を作る
4)ビジョンのためのコミュニティを構想しプラットフォームを作る
▼グラグリッドの関連事業
▼金沢美術工芸大学の過去レポート
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