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やらせたい事をやらない子ども。「怒る・あきらめる」ではない第3の選択肢

元テレビ局のアナウンサーで、NHKの「すくすく子育て」の司会も務めた天野ひかりによる連載です。 今まで5万人以上から相談を受けてきた親子コミュニケーションのプロが、実際によく相談される悩みをどうやったら解決できるか、自己肯定感を育てる会話のコツをお話します。

最近とても多いのが、こちらのご相談です。

子どもを早く寝かせたいと思っていたのですが、このnoteで子どもを認めることが大切だと知って、子どもの好きにさせてあげたいと思っています。
でも、放っているといつまでも遊んでいて、結局怒って寝かせることになってしまいます。早く寝かせることをあきらめるべきなのでしょうか?

子どものやっていることをやらせてあげなきゃと思うと、親がやって欲しいことを諦めることになって物事が進まず、モヤモヤ、イライラしてしまいますね。

今回は、
「やるべきことをやらせるために、怒る」
でもなければ、
「子どもの好きを優先するために、親がやって欲しいことを、あきらめる」
でもない、もう1つの方法を考えます。
まずはやってしまいがちなNG会話を見てみましょう。

子どものやりたいことを認めなくちゃ、と頑張ったお母さん。でも・・・。

■平成と令和の子育ては別モノ

子どもが夢中になって遊んでいることを認めようとして遊ばせ続けたのに、子どもが寝ようとしない。結局怒ってしまって、親は自己嫌悪に陥りますね。
自己嫌悪に陥るというのは、
「睡眠は大切。そして子どものやっていることも認めたい」
とお母さんたちが頑張っている証拠です。

これね、昭和・平成の時代なら、「もう寝なさい!」と叱って寝かせるのが定石でした。
ですから今の親世代は、こう育てられた方が大多数だと思います。じゃあ、やっぱり怒って寝かせたほうがいいの?と思いますよね。

でも、未来を生きる我が子には、大人の言うことに従う子ではなくて、自分で考えて行動できる力・自己肯定感を育てたい。そしてそれを伸ばす言葉がけをしたいですよね。
つまりそれは、親自身が受けてきた教育とは、違う教育をする必要があるということ。今は子育ての転換期なので、現代の子育て世代は大変です。

■「怒る」「あきらめる」ではない第三の選択肢とは

未来を生き抜く子どもに育てるためには、今が踏ん張り時。
やはり、子どもは何かに夢中になっているときに大きく成長するので、認めて、させることはとても大事なことです。

でも、
睡眠を十分にとることも、同じくらい大切なことですよね。

じゃあ、どうしたらいいの?
両立できないじゃん……と途方に暮れますね。
「怒るか」「あきらめるか」のどちらかではなく、子どもが自分で決断できる方法を考えます。OKマンガを見てみましょう。

子どもが「工夫したところや頑張ったところ」を認めてあげると・・・。

■「認める」とは「許す」ことではない

自らお布団に入ることを、待ち遠しく感じさせることができましたね。
早く寝かせることを諦めず、そして怒らず、さらに子どものしていることを認めることができました。

子どもを「認める」というのは、「遊んでてもいいよ」と許すことではありません
子どもが工夫したことや頑張ったことを見逃さず声をかけることです。

マンガの場合は「ブロックに夢中だね」「足を強そうに作ったね」と会話することで、子どもは「認められた」と満足します。

子どもは認められた後なので、今度は親の言うことを認められるようになっていきます。

また、寝る時刻が過ぎて焦るより、余裕のある時刻(あと20分でお布団に入ること)から、時間は有限であることを一緒に体感できるといいですね。
心の中で(早く寝かせなきゃ)と1人で考えていると、時間があっという間に過ぎてイライラしがちです。

■これからの時代を生きる子どもへの声がけポイント

大事なのは「怒って寝かせる」よりも、「自分からお布団に入りたい」と思えるようなポイントを探すこと。
今回のマンガの子どもは、(ロボットの冒険物語)に惹かれましたが、お子さんの好みや年齢によって、何がやる気を引き出すのか、会話を重ねて探していきましょう。

これはやがて、
怒って〇〇(例:宿題)させる、よりも、自分から〇〇(例:宿題)したい、と思える子に育っていくための親子の会話の練習になるはずです。

今日のコミュポイント
「怒るか、あきめるか、ではなく、子どもの興味を引き出す会話を重ねよう」

マンガ:とげとげ。

執筆:天野ひかり

上智大卒。テレビ局アナウンサーを経てフリーに。NHK「すくすく子育て」キャスターの経験を生かし、親子コミュニケーションアドバイザーとして 講演や企業セミナー講師を務める。子どもの自己肯定感を育てるため自身で立ち上げた「NPO法人親子コミュニケーションラボ」代表理事、一般社団 法人グローバルキッズアカデミー主席研究員。主な著書に『子どもが聴いてくれて話してくれる会話のコツ』(サンクチュアリ出版)や『賢い子を育てる 夫婦の会話』(あさ出版)などがある。