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ショートショート

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みのるのショートショートを集めました。
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#小説

ショートショート 「スカートをめくる」

 とある女子生徒のスカートをめくる。別にそういう趣味が有るわけではない。俺が見たいのは、彼女の太ももに付けられた根性焼きや、針で刺された痕。昨日より増えている。

「誰にやられた?」

「…」

「仕返しが怖いのか?大丈夫だ。先生が守ってやる。だから言ってごらん。誰にやられたんだ?」

「…」

彼女は口を開こうとしない。いつもだ。俺はいつもの様にズボンを脱ぐと、タバコに火をつけた。生徒の前でタバ

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ショートショート 「面接」

面接官 「それでは面接を始めさせて頂きます」

2人  「よろしくお願いします!」

面接官 「えー、事前に説明した通りですが、今回採用となるのは、お二方の内1名のみとなります」

2人  「はい」

面接官 「採用となった場合は、最低勤務期間6か月以内となります」

大沼  「最低勤務期間?」

面接官 「簡単に言えば、最低でも6か月は働いて頂くということです。特別な事情がない限り、6か月以内に

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ショートショート 「compare」

「お待たせ致しました。レモンティー飲み比べセットです」

 この喫茶店に入るのは初めてだ。
 店の名前は『compare』 
 読み方はコンペア。“比べる”という意味らしい。

 何故この店に入ろうと思ったのか分からない。ただ、何となく。客は俺以外居ないようだ。

 そんなことより、目の前に置かれた3杯のレモンティー。1つは青いストローが、1つは赤いストローが、1つは紫のストローがささっている。

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ショートショート 「自動販売機」

「多分この辺りのはず…」

 俺はある物を探していた。それは、「恐怖」を買える自動販売機。友人から教えてもらったそれに興味を持った俺は、地図を書いてもらってそれを頼りにここまでやって来た。

 この地図が正しければ、このT字路を右折すれば目的の自動販売機があるはずだ。錆だらけのカーブミラーを横目に、期待を膨らませて右折した。すると、50m程先に真っ黒な自動販売機らしき物が見えた。

 近づいてみる

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ショートショート 「“妻”」

「この海来るの何回目だっけ?」

「さぁね…な~んて、私はちゃんと覚えてるわよ。3回目でしょ」

「あれ、それだけ?」

「そうよ。『何回目だっけ?』って聞くほど来てないわよ」

「そうか~。俺も年なのかな、6回位来たことあるような気がしてたんだけど」

「もう、しっかりしてよね」

「ハハハッ、ごめんごめん」

 私は笑いながら隣にいる妻、“翔子”(しょうこ)に目をやる。ちょっと変わった妻。首か

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ショートショート 「卵」

 卵を落とした。うっかり手を滑らせてしまって。スーパーの特売で買った卵。フローリングに落とした。しかし、割れなかった。珍しいこともあるものだと思いそれを手に取ると、卵の形をした白い石だった。石でオムライスは作れない。残りの卵は2個。オムライスを作るには最低3つは欲しい。近くのスーパーに買いに行くことにした。

 スーパーに着くと、真っ先に卵売り場へ向かった。いつもの様に卵パックが積み重ねられている

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ショートショート 『深夜コンビニ』

 ウィーン

 深夜のコンビニが大好きだ。何故かは分からないけど。取り敢えず1周まわってみる。店員はニコニコしながら俺のことを見ている。俺も笑い返した。店内の時計を見ると、針はいつも通り3時5分を指していた。買うものは特に無いが、いつものクセで缶ビールを手に持っていた。そのままレジへ向かう。

「よ!」

「うぃー、やっぱり来たね」

「何でか知らんけど、深夜のコンビニが好きでね」

「お前コンビ

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