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「結婚は、リスク。 夫が女になる、なんて話、 よくあることだから」 タイ

 バンコクで、ユーズドの靴と鞄のお店をやっています。高級なブランド物の中古品だと、値段も安いし、クオリティも良い。中古の方が、気に入った格好ができるんじゃないか。そんな想いがはじまりでした。お店をはじめて、かれこれ10年以上になります。大変なときもありましたが、いまでは2カ所でお店を構えています。エカマイに面しているお店は、2年前は何もなかった土地です。2年の間にどんどん盛り上がってきて、服屋とか、家具屋、おしゃれなカフェなんかも次々にできて、おしゃれな若者が集まる注目のエリアになってきました。運がいいというか。近々、お店のとなりにカフェをオープンする予定です。

 最初はわたし一人ではじめたお店ですが、10年程前から、彼氏と共同で経営しています。彼氏は、日本人です。友だちの紹介で知り合いました。タイでは日本と同じように、学生時代の知り合いや友だちの紹介で、恋人を見つけることが一般的です。でも案外多いのは、家が近所だというカップル。家族同士も知っているので、安心ですし。タイ人女性と外国人男性のカップルも増えています。特に、高学歴で仕事ができる女性ほど、外国人の人と付き合うことが多い。タイは儒教の国です。「女性は一歩下がって」という考え方がまだまだ根強く、その古いしきたりを嫌う女性は特に。別の理由もあります。一説によると、女性の出生率は、男性の約2倍。そのため女性の方が多くて余ります。それにご存知のように、ゲイが多い国なので、さらに女性が余るんです。だから、外国人と付き合う人も必然的に多いと言えると思います。

 タイでも都市部では、30歳以上の独身女性が増えています。自分で仕事をして、生計を立てる人が多くなったので、おのずと婚期は遅くなります。日本と違うのは、親からのプレッシャーがないこと。タイでは、独身でもいいから、家にいてほしいという家庭が多い。「早く嫁に行け」という感じはありません。タイ人男性は、浮気性の人が多く、旦那が働かず、女性が養う場合も多い。そういうのを親も知っているので、むりに結婚する必要はないと思っています。たとえ結婚したとしても、結婚してからゲイになる。そんなケースもあります。いやこれ、稀な話じゃなく、よく聞く話なんです。浮気する可能性もあるし、ヒモになるかもしれない。おまけに、夫が女になる。そんな結婚はリスクでしかない。リスクを負いたくないという人も多くなってきたので、どんどん婚期が遅くなってきているのだと思います。

 わたしはと言うと、20代前半は結婚願望がありました。でも30代になると、20代でがむしゃらに頑張ってきたことが安定しだしました。まだまだいろんな可能性があるんじゃないか。そう思うと同時に、周りの意見に多かれ少なかれ影響され、思考が定まっていない自分にも気づきました。家族に結婚を急かされたわけではありません。自分の中の、説明のつかない焦りみたいなものです。30歳を機に、お寺に入りました。7日間の瞑想づけ。いっさい人と喋ってはいけません。自分の内を見つめる。自分に向き合う時間を持ったことで、視界がクリアになり、漠然とした不安や焦りから解放されるきっかけとなったように感じます。ゆくゆくはいまの彼氏と結婚すると思います。でもそれもどうなるか分かりませんが、結婚とは関係なく、地に足着いた生き方、死ぬ時に悔いがないような生き方をしていきたいと思います。

タイ/Jeabさん(34歳)/靴・鞄屋経営

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