この本、好きすぎてしんどい。原田マハ「The Modern」
週に5冊の本を読もうと、今はなんとなく読書に耽りたい気分なようだ。
勉強する為なのか、ただ好きな本を読み漁るだけなのか、読書の目的は自分でもイマイチ掴めていない。
でも、本を読むことで自分の中の細胞が活性化されているような気がするから、自分の欲望に正直に本をただ読み漁る、そんな2021年秋。
そして私は新しい世界を見せてくれる作品に出会った。
本を読み自分の頭の中で作り上げた世界に今もまだワクワクが止まらない。
最近は辞書を使う人ってほとんどいないと思う。
でもインターネットの辞書、Wikipediaに関しては一日一回は見るんじゃないと言うほど、日常的に利用する。
ピカソの絵について調べるときも、本ではなくインターネットから情報を得ることが多い。
でもそういう情報は、あくまで一時的なもので明日になればすぐに忘れてしまうことがある。
自分の得意ではない分野なら特にそうで、"知ったつもり" で終わってしまうことがほとんどだ。
でもそこにストーリーが存在すると、情報の面白さや関心が深まり、「もっと知りたい」欲へと変わっていく。
原田マハさんの本はまさにそんな感じで、アートに関する作品や人物を、実に面白くおしゃれなストーリーと絡み合わせるから、本を読むと同時にアートに関する知識も深まり、”知ったつもり”の自分で終わらせることに恥ずかしさを感じ、もっと知りたいという探究心が生まれてくる。
小説(実話に忠実に基づくフィクション)から、アートの世界の面白さを教えてもらい、そういうところが本の良さであり、インターネット検索には無いところだなと思った。
ピカソやマティスをWikipediaで調べるよりも、この本を読んだ方がよっぽど為になるよと声を大にして言いたいところだ。
間違いなくそこから、自分の中のアートの世界が広がっていくから。
何気なく表紙をめくり、惹かれる字面が並んでいる。
・マンハッタン
・ニューヨーク近代美術館
・ロックフェラー・ギャラリー
・ピカソ
原田マハ 「The Modern」
本の厚さから見ても文章量は決して多くなく、多分1時間〜2時間程度で読み終えることができそうな本。
この本の表紙を飾る、パブロ・ピカソの「鏡の前の少女」を見てパッと名前が出てこなかったことは、あんまり言いたくない・・・恥ずかしい。
5つのショートストーリーで構成されており、全てに少しづつ繋がりがあって、そして大きな共通点は、
-MoMA ニューヨーク近代美術館-
日本の福島での災害や、9.11テロ、スティーブ・ジョブズまで、少ない文章量の中に極めて重要なキーワードがたくさん詰まっている。
福島の災害に関することでは、綺麗事だけではなく、日本人に向けての軽い蔑視など、日本に住んでいては決してわからないことまで書かれていた。
だけどそこに絡んでくるのが、言葉も人種の壁も越えてくる「アート」。
私は特に美術作品に詳しいわけではないけれど、言葉ではなく、心で訴えかけるものの凄さをなんとなく感じる。
MoMA 初代館長「アルフレッド・バー・ジュニア」。
今では美術館での展示が当たり前となった
・機械の部分(マシン・パーツ)
・芸術作品(アートワーク)
MoMAで展示する前は、そのような物を世界は "アート" として捉えていなかった。
でもアルフレッド・バー・ジュニアは、マシン(機械)、つまり "生活の役に立っているもの" に、美しさを感じた。
MoMAの基盤を作り、そして現代アートに多大なる影響を与えた人物である。
そんなことを原田マハさんの「The Modern」では、簡潔に、おしゃれに、そして儚く書かれている。
そして、
アップルの創業者である、スティーブ・ジョブズが、新時代のコンピューター(生活の役に立つもの)は、デザイン性に優れ、美しくかっこよくてはならない。
そうやってストーリーは繋がっていく。
私はこの本を読み終えて、インスタのストーリーに思わず呟いてしまった。
「この本好きすぎて、しんどい」
ダラダラと本の紹介文を書くよりも、本音がダダ漏れのこの一言を投げかけたくなった。
全てのショートストーリーに、共通するものは「アート」。
一つの作品を通して、色んなヒューマンドラマが生まれる。
それが真の影響を与えると言うことなのでしょうか。
言語や人種を超えてどこまでも。
世界でもっとも素晴らしい場所、
ニューヨーク図書館と、もうひとつはMoMA。
GoogleマップでMoMAの位置を調べてみた。
セントラルパークと、タイムズスクエアのちょうど真ん中あたり。
MoMAの初代館長が、今もずっと見守っているその場所へ。
ニューヨークの行きたい場所がまた増えてしまった。
この本「The Modern 」の最後から5行目。
Happy To See You.
ーーあえてよかった
私もこの本に出会えてよかった。
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