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TREE, SEA, WAVE

 「ダメなことはダメだ」そんな当たり前のことを言う人は少ない、特に日本人はそうなんじゃないかなと思う。「仕方がないじゃん」とか「まあまあ、とりあえずそのことは後で考えようよ」とか「そんなことより楽しいことしようよ」とか。うん、そうだよね、そうした方がいいよね、わかってる。でもわかりたくない。わかってたまるか。お前らは間違ってるんだ。お前らの言動は間違ってる!

 ただ、間違ったことから目を逸らしたくなかった、自分が正しいと思う行動をしたかった、それだけなのに、いつの間にか、他人を責めるようになっていた。SHEINで服を買う人、ペットショップで犬を買う人、W杯で盛り上がってる人、投票に行かない人、みんな許せない。
 
 いつからだろう。誰かを責めることで自分は彼らよりも上位であることを示したいのだろうか。どうしてこんなにも、腑が煮えくり返りそうなほど、世間に対して怒ってしまうのだろうか。少しおかしくなってきているような気がしている。そして、誰かを責めれば責めるほど、私は息が苦しくなっていく。

 考えるのをやめてしまう前に、どうしてこう思うのか、ちゃんとわかっておきたかった。本当は誰かを責めたりしたくないはずだから。だってそれは何の解決にもならないから。それに、怒りは視野を狭くする。思考を鈍らせる。そして何より、わたしがしんどい。穏やかでいたい。大樹のように泰然と、揺るぎない芯を持って、どっしりと構えていたい。

 私は自分の正しさを示すために、他人を責めていたのかもしれない。正しさを示すならば、まずは自身が行動すべきだろう。ああだ、こうだ、言う前に。でも、もし目の前に間違いを犯している人がいたら、どうしたらいいのだろう。そういう人もいるよね、と受け入れるべきなんだろう。その懐の深さが私にはいちばん必要なのだと思う。

 "海のように大きく、波のように優しくなれたら"  そんなことを高校生のときからずっと思っているのに、まだまだ私は程遠い。

Goes On/10-FEET

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